黒猫シャノワールと別れと出会い

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「そうじゃな！いっぱい食べれば大きくなれるはずじゃ！」そういうわっちにあずきが笑う。「それでも限界があるよ。食べれる量も限られてるし」まったくつまらん奴じゃ。限界など越えるものじゃ。これが動物と人間に違いじゃな。@000plankton000 #空想の街 #黒猫 #みじんこの冒険

みじん子 @000plankton000

@ce1039 シャノワールさんはみじんこを応援してくれました。あずきさんは相変わらず苦笑していましたが、最後は同じように応援してくれました。「がんばるのです！」みじんこは、道行く人が持つ風船くらいに成長して、また二人に会おうと心に決めました。#空想の街 #黒猫 #みじんこの冒険

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

素敵な出会いに再会の約束をして、わっちらは本来の目的地に向かった。浴衣を二着、作ってもらうために #仕立屋 に行く。浴衣はとても涼しい着物だと聞く。わっちも本当は猫の姿でいるつもりじゃったから有り合わせの服しかなかったしちょうど良い。#空想の街 #黒猫 @naholograph

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

じゃが #仕立屋 に入るとあのうさ耳の娘っ子がおる！なんでこんなところに！風船を結ばれた尻尾が震える。でもここで引き返すわけには行かぬ。今は人間の姿じゃ。うさ耳っ子も気づくまい。わっちは冷静を装って「浴衣を二着欲しいんじゃが」と言った。#空想の街 #黒猫 @naholograph

七歩 @naholograph

@ce1039「どんな浴衣にいたしますか？」キョロキョロするその子。今ここには私しかいない。はじめてここに来る方だと思うんだけれど、どうしたのかしら。 #空想の街 #黒猫　#仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「わっちはやはり黒がよいのぉ。あずきは何にする？」「私は青がいいです。息子の好きな色だからすぐ目に止まるかも」なるほど。やっぱり母親じゃな。「それでお願いできるかや？このタウン誌の割引券も使いたいのじゃが」@naholograph #空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

こくこくと頷くうさ耳姉妹がきょろきょろと辺りを見渡す。ヒソヒソ「猫ちゃんのにおい」「なのにいないの」「「おかしいの！！」」ヒソヒソ。ダダ漏れだ。@ce1039 #空想の街 #黒猫 #仕立屋　クーポンを受け取りうさ耳姉妹は駆ける。「黒、青、黒、青」「浴衣に黒青」「「承りました！」」

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

わっちは安堵して店を出た。同時に尻尾をだらっと垂らす。今回は無事じゃった。でもあの娘っ子は双子じゃろうか。姉妹が一緒にいるというのは、やはりいいものじゃな。わっちも姉さまとはあんな感じじゃった。@naholograph #空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

「仕立屋仕事」「青黒浴衣」「「二枚！！」」#空想の街 #黒猫 #仕立屋　お客様の様子を聞いて私は布を整える。うさ耳姉妹の耳は確かだ。「なんかー」「猫の音がしたの」「「いないのに」」この街には人のような猫くらいいくらでもいるから不思議でもない。ウサギのような小娘がいるみたいにね。

七歩 @naholograph

まずは黒からはじめようか。黒を選ぶなんてどんな妙齢の方かと思ったらうさ耳姉妹曰く、「「小娘だったの」」らしい。悪態つくってことは若くて可愛かったってことだと思うんだけど、可愛い女の子で黒。ならばこうしよう。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

私はドールハウスから「女子」を取り出し、同じく取り出した「イケメン」の隣においた。女子が猫をかぶりだす。肥大した猫が望みの大きさになるまで待ってイケメンを隠せばほら、猫がとれた。女子にもお帰りいただいて、その被られていた猫を布にする。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

空っぽの猫には命も心もない。触れば黒猫の毛並みなのに、その実薄い布でしかないそれを浴衣に仕立て上げる。黒一色じゃ淋しいから帯に工夫が必要だなと思う。黒なんて選ぶ子だから派手なものは嫌がりそう。浴衣とは質感の違う黒い帯には金銀でたくさんの星の刺繍。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

星は流れる。浴衣の裾に願いを叶えた星がたまっていく趣向だ。黒は出来上がり。お次は青だ。青い方は、「「ま、そこそこの女だった」」つまり年上で我らの敵ではないとうさ耳姉妹は判断したということ。ひどい話よね。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

「あと母の音がしたの」「みつかりたがる音も」よくわからないけれどそう言うからにはそうなんだろう。目印になりたい青。こちらは浴衣に星を使おう。倉庫から流れ星の布を探しだす。この中から青い星だけを探すのだ。「えいっ！」「ここか！」うさ耳姉妹がお役立ち。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

集めた青い星を夜空でできた薄い布に放つ。青い星だけが上品に瞬く夜空の浴衣が出来上がり。帯箪笥からとりだした鈍い銀色の帯は月光を編んで作られている。これとさらに帯留めには月を添えて、できあがり。ふんわりと二つの包みを作ると私はうさ耳姉妹に託す。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

七歩 @naholograph

@ce1039「お届けに」「きてやったのー」可愛い女子にはとても厳しいうさ耳姉妹。 #空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

ドーン！と押し付けるように着物を届けに来たうさ耳娘っ子。でも大事な商品だからそこまで押し付けないのはさすが宅配のプロ。あずきも可愛いうさ耳の可愛さにメロメロ。でもあずきには優しく手渡す。わっちだけ！なんでじゃ！@naholograph #空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

あずきがうさ耳っ娘にお礼をいい「開けていい？」と聞いている。「いいの！」「我らも手伝ったの！」「「刮目するの！！」」やけに自信たっぷりだなと思ったがそれもそのはず、青い星が散りばめられた素敵な浴衣じゃ。銀の帯に月の帯留めも趣があってよい。わっちのは…。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

包みをガサゴソと開ける。「「そっちは手伝ってないの！！」」こやつら…。でも出来上がった浴衣は一級品じゃった。上質の黒に、星が散りばめられた帯。どういう訳か、その星は動く仕組みのようじゃ。さすが、極めた者の作る品は最上級じゃな。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

さっそく着替えるところを探したいが、その前に勘定をせねばな。うさ耳娘っ子に代金を払い「店の主人のお礼を伝えてくりゃれ」と言うと「「承知したの！」」と元気に返事した。しかし頭を撫でてやろうとすると”ぴゅー”と行ってしまう。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

あずき腰を屈めて「またね」と言って手を伸ばすと、うさ耳っ子は”ぎゅー”とあずきとハグをした。この違いは…。でもアレが母親というものか。母親の愛とは、広くて深いものじゃな。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

「仕事終わりなの！」「やり遂げたの！」「「さらば！！」」そう言ってうさ耳っ子は脱兎のごとく行ってしまった。元気な娘たちじゃな。いつの間にか尻尾のことも忘れとった。あやつらもこの街にいるということは大切な誰かを亡くしたんじゃろうか。今日は会えると良いな。#空想の街 #黒猫 #仕立屋

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

浴衣に着替えたわっちらは早速あずきの息子、光(こう)探しに出発じゃ。といってもアテはない。子供じゃから楽しそうなところ、美味しそうなところにいるかもしれんの。特徴は七歳の男の子で黒髪。背丈はあずきの腰ぐらい。わっちと比べたら肩ぐらいまでかの。悪かったな小さくて。#空想の街 #黒猫

咲良 潤　#言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

浴衣にあう下駄も買ってカランコロン鳴らしながら歩く。「こうちゃんね、昔のおもちゃとか大好きでね」あずきがぽつぽつと喋りだした。「コマとか回すの得意で、でも周りのみんなはテレビゲームとかでしょ？だから話が合わなくてね。でも一人で遊んでるの」#空想の街 #黒猫