研究紹介16 左側の顔は信頼できない:信頼性と感情表出における半顔の非対称性 Brain and Cognition, 2013
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続いて研究紹介です。 「左側の顔は信頼できない:信頼性と感情表出における半顔の非対称性」 goo.gl/ppIaDX
2014-07-08 19:23:28今回は前回の研究紹介「偽りの笑顔は嘘つきの検出を阻害する」の続きの研究です。 こちらは専修大学の大久保先生の研究グループによるものでした。 前回のまとめはこちら。 goo.gl/ZB6OnU
2014-07-08 19:23:48前回の研究から人は基本的に他者の外見から嘘つきを検出できるけど、嘘つきが笑顔のときは検出率が落ちることが示されました。 今回の研究は嘘つきが笑顔のときに検出率が低下するのは、嘘つきの左側の顔の影響によることを示した研究になります。
2014-07-08 19:24:18興味深いことに、左側半分をひっくり返して合成した顔は信頼性が高く評価されていました。 人の顔は右半分と左半分で左右非対称であることがわかっています。通常、人の顔を見ているときはほとんど気にならないと思いますが、それぞれの半顔で合成してみると非対称性にすぐに気づきます。
2014-07-08 19:24:43左右の合成顔を検索していたら非常にわかりやすい画像を見つけたので紹介させていただきます。 Bussiness Insider(goo.gl/DhwSMx)というサイトにこのような画像がありました。 pic.twitter.com/zxSqBRQX6g
2014-07-08 19:26:12実は左右の顔が非対称であることにも意味があるようです。先行研究によると顔の左側の方が感情が強く表出されることが報告されています。
2014-07-08 19:26:53論文にはいくつか文献が引用されていましたが、最近の研究はこちらです。 「3次元処理した感情表出における半顔の非対称性を検出する」 goo.gl/vl0mMa
2014-07-08 19:27:06英文は"Detecting hemifacial asymmetries in emotional expression with 3-dimensional computerised image analysis"です。
2014-07-08 19:28:14左側の顔の感情表出が強くなるのは、感情表出の処理にはラテラリティ(laterality)があり、右半球が優位であることに由来するようです。
2014-07-08 19:28:33感情処理に関するラテラリティのレビュー論文はこちらです。 「感情処理の脳のラテラリティ:「優勢処理」を包含する歴史的な背景と将来的展望 goo.gl/GfDYI3
2014-07-08 19:29:01英文は"Brain lateralization of emotional processing: Historical roots and a future incorporating "dominance"です。
2014-07-08 19:29:26左側の感情表出が強いだけでなく、右―右合成顔よりも左―左合成顔の方が感情表出の強度が他者から高く評価されることも報告されています。
2014-07-08 19:29:41著者たちは、協力者よりも嘘つきは左側の顔の感情表出をうまく利用できるため、笑顔のときに信頼されるという仮説のもと研究を行いました。
2014-07-08 19:29:54また、信頼性評価に関する性差も想定していました。女性は微妙な感情表出の差異に敏感であり、見知らぬ男性の顔写真から過去の浮気歴を検出できる(すごい!)という先行研究から、女性の方が合成顔からより強い影響を受けることを想定していました。
2014-07-08 19:30:21女性が見知らぬ男性の過去の浮気歴を見抜ける研究は次回に紹介させていただきます。ちなみに男性はぜんぜん見抜けていませんでした。
2014-07-08 19:30:49文献はこちらです。 「見知らぬ男性の顔から女性は浮気癖を判断できる」 【Women can judge sexual unfaithfulness from unfamiliar men's face】 goo.gl/sOe3gK
2014-07-08 19:31:07協力者や嘘つきの定義は前回のまとめをご参照ください。実際に囚人のジレンマゲームに似た課題を行わせて、協力していたか嘘をついていたかを測定しています。 嘘つきの人は嘘つき得点がほぼ満点でした…。折り紙つきの嘘つきです。
2014-07-08 19:31:21実験はディスプレイの上下に同一人物の左―左または右―右の合成顔を提示し、どちらの顔が信頼できるかを選択させています。上下に呈示される顔の表情は同じで、笑顔か怒りか中性表情でした。
2014-07-08 19:31:34実験計画は、表情(笑顔・怒り顔・中立顔)×特性(協力者・嘘つき)の2要因の参加者内計画でした。
2014-07-08 19:31:49実験の結果、笑顔のときに右―右合成顔よりも左―左合成顔の嘘つきは信頼できると選択される割合が高くなっていました。この効果は協力者の信頼性評価には見られませんでした。
2014-07-08 19:32:19また、信頼性の評価に関しては予測された性差が見られました。女性は左側で合成された笑顔・怒り顔・中立顔の全てに影響を受けていた一方、男性は笑顔と怒り顔の影響しか受けていませんでした。
2014-07-08 19:32:29以上の結果から、嘘つきの人が笑顔のときに信頼度が高く評価されるようになるのは、顔の左半分側の影響が強いことが示されました。 今回の結果を応用しておれおれ詐欺(新名称:母さん助けて詐欺)対策に使えないかなーと夢想しました。でも顔の右半分だけ見るのは非常に難しいですね・・・。
2014-07-08 19:33:33