提督と艦娘達のカーニバル

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

恥ずかしそうな表情で、壬生さんは私に言う。確かにここまで懐かれてるのを見られるのは、恥ずかしいものだ。私はそう考えながら、私の部屋まで向かおうとする。その途中、氷室さんの部屋の前から「誠士郎……あっ、そこ、そこ……！」と喘ぐ、ビスマルクの声が聞こえた。 #提督と艦娘達のカーニバル

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どうやら彼は彼の妻の一人と楽しんでいるようだ、少し手伝ってほしいが、彼に迷惑をかける訳にはいかないだろう。 ……と、状況がもう少し穏便なら考えてる所だが、そんな状況では無かった。あの不知火を止めれるのはもう氷室さんだけだろう。 #提督と艦娘達のカーニバル

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私はドアのノブに手をかける、この手のはカギをかけてない場合も多いからだ。そして運が良い事に、鍵は開かれていなく、そこには敷布団の上で、氷室さんの上に跨るビスマルクと、彼女の腰を掴む氷室さんの姿があった。 #提督と艦娘達のカーニバル

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「へ、あ……？」突然の私の乱入に目を丸くするビスマルク。だけど、私の目的は彼女ではない。「氷室さん、取り込み中悪いけどちょっと手伝ってくれないかな」「え、いや、その……」戸惑う氷室さん、彼の名誉の為私はそっと顔を逸らす。 #提督と艦娘達のカーニバル

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「少し待ってます、終わったら来てください」そう言って扉を閉め、扉の前で待つ。すると「なんなのあの人、失礼しちゃうわ！」とビスマルクがもっともな怒りを述べ、それで氷室さんが宥めるやり取りが聞こえた後、扉が開かれる。 #提督と艦娘達のカーニバル

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「……幾等なんでも行為中にいきなり乱入は予想外だ」タバコを咥え、火を付ける氷室さん。「ごめん、ただ叢雲、不知火、夕立、電が暴走してるからね、止めるのを手伝って欲しいのさ。ビスマルクさんも手伝って欲しいけど、電を止める義理はないかな、と」 #提督と艦娘達のカーニバル

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「……エリ……ビスマルクには気にしないでくれ、と言われたけど、やっぱりやらないといけないか……」「ここに来るまでにワイヤートラップの山、二枚ぐらい引き戸が蹴破られた跡……まぁうん、収拾つけないと怒られる話だ、付けなくても怒られるだろうけど」 #提督と艦娘達のカーニバル

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彼に頼むのは申し訳ない、と思いながらも、私は語る。そんな私の話を聞いて、氷室さんは一服し、吸い殻を携帯式の吸い殻入れに入れた。「行くか」「すまない、ありがとう……とりあえず、私の部屋のベランダから向かおうか」 #提督と艦娘達のカーニバル

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彼の決心に、私は礼を述べ、そして私の部屋に二人で入る。 私の部屋は電気がついており、椅子の上で陽炎は仏像を彫っていた。「あ、■■、おかえり！上の方で叢雲さんとそっちの司令の不知火達が何かはしゃいでるみたいよ？」 #提督と艦娘達のカーニバル

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陽炎は私の名前を呼びながら、楽しげに私に報告する。「ありがとう、そこでじっとしてくれれば助かるよ」と、私は彼女に近づき頭をそっと撫でると、陽炎の顔が嬉しそうな笑顔になる。 #提督と艦娘達のカーニバル

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彼女は私や一部の艦娘意外に懐かない、だが、懐いた人間には明るく、楽しげな顔を素直に見せる。単純に人見知りが激しい訳ではないのだろう、もっと根深い闇があるのを私は知っている。そして、それを一時の感情に任せ掘り出してしまったのも。 #提督と艦娘達のカーニバル

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撫で終わると、陽炎は鉈と彫っていた仏像をテーブルに置き、足元の鞄を取り出し、軽く叩いて木くずを払った後、私に差し出す。「はい、止めるんでしょ？そう思って用意してたのよ？別にいいのよありがとうなんて、当然の事をしたまでなんだから」 #提督と艦娘達のカーニバル

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私はそれを受け取り、テーブルの上に置いて必要な道具を持ち出す。それは折り畳み式のコンパウンドボウと、鏃が電磁棒となっている矢である。「こんなものが使えるのか？」氷室さんが私に問う。「大丈夫、問題ないさ」 #提督と艦娘達のカーニバル

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私は笑顔を造り返し、不安を和らげながら、ベランダまで向かう。「ああもうちょこまかちょこまかすばしっこい！あんた実は鼠なの！？鼠なんでしょ！？」「捕まったら死ぬでしょう！？」「いい加減死になさい……！」「夕立が電ちゃんを捕まえるっぽい！」 #提督と艦娘達のカーニバル

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ドタバタとした屋上での追いかけっこ……それが軍人のものでなければ、微笑ましいものではあったのだが、割と本気で大人げない展開になっている。 #提督と艦娘達のカーニバル

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私は椅子をベランダに持ってきてそれを台にして、まずは弓矢を屋根の上に投げ入れ、その次に私自信が屋根の端を掴み、よじ登る。弓矢が何とか落ちない所に置けたと確認した後、私は後ろを向き、氷室さんに手を差し伸べ、登る手伝いをする。 #提督と艦娘達のカーニバル

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そうして二人で登った後、屋根の上の惨状を認識する。 予想外ではあった、死闘と言っても過言ではないだろう。 叢雲が追い、電が跳び超え回避、不知火がその先に待ち構え回し蹴りを撃とうとするも、電は苦無を投げ不知火はそれを回避。 #提督と艦娘達のカーニバル

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床に刺さった苦無を回収する時に飛びかかる夕立に対し苦無を引き抜き、転げまわるように回避しそこに叢雲が接近するも跳躍する光景。 互いに決定打を打たないものの、ギリギリの戦いがそこにあった。 #提督と艦娘達のカーニバル

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叢雲や不知火の一撃は明確に殺意を持った一撃に変貌している、電もまたなりふり構わない。何時死人が出てもおかしくないまでに、この拮抗した戦いで変貌して行っている。 「氷室さんは、電が倒れたらストップをかけて欲しいかな」 #提督と艦娘達のカーニバル

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「……解った」 彼の重い返事を聞くと、私は弓に矢を宛がい、引く。矢の放たれる先は駆逐艦電、だが、斃れる場所が悪かったら彼女はタダでは済まない。叢雲が狙う時は論外だ、木刀の一撃で頭蓋がはじけ飛ぶ可能性が高い。 #提督と艦娘達のカーニバル

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

不知火の時もだ、彼女も興奮して何をするかわからない。だとすれば、遊び半分で襲ってる夕立、彼女が狙ってる時にやるしかない。私は電を見据え、動きを観察する。 #提督と艦娘達のカーニバル

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叢雲の横に薙ぐような一撃を後ろに飛び回避、不知火が上から重量を乗せた踵落としを叩き込もうとするので、右側に飛ぶ。 その瞬間に、私は矢を彼女の未来位置に向け放った。 #提督と艦娘達のカーニバル

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矢が吸い込まれるように電の体に当たり、その衝撃で電流が流れ、電の意識が跳び、斃れそこに夕立が飛びかかる。「捕まえたっぽい！」気絶した電を掲げ上げる夕立。叢雲と不知火も、彼女に視線を向ける。 #提督と艦娘達のカーニバル

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「ああ、そこまでだ。叢雲、電は見逃せ、これは命令だ」私は声を大きくし、彼女らに目線を合わせる。「不知火も流石に今回はいい加減にしろ、気持ちはわかるがはしゃぎすぎだ」氷室さんも、それに続いて述べた。 #提督と艦娘達のカーニバル

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彼にも落ち度はあるが、それを棚に上げないといけない時だってある。「……わかったわ、やりすぎてたみたいね」叢雲は謝罪し、恥ずかしそうに顔を逸らす。 「わかりました、ですが、もうこんな事はしないと、約束してくれますか？」 #提督と艦娘達のカーニバル