狭間】ひと気はない。波の音が聞こえ、潮の匂いがする。海風。 伊達組との取り引きを終えて、ひとりになる。手にしたケースの上に屈み込む。かぱ、と蓋を開ける。
2014-07-11 21:12:50葵】そうして空中でくつろぐように足を天に投げ出して浮いている。黒い髪は自然の重力に囚われない。ただ風を受けてふんわりと靡くのみである。
2014-07-11 21:16:17狭間】試射は必要だ。 (…サイレンサーって、けっこうデカいな、) 実際使うときには持ち歩けないだろう。しかし今は、つけておこう、と思う。かちゃかちゃ、金属の鳴る音が、響きもせずに夜の潮風に流されてゆく。
2014-07-11 21:18:21葵】(わ、わたの はら) 口の動きだけで和歌を紡ぎながら、目線を東京の明るい街並みから埠頭の方へと移す。すれば、不自然な位置に、不自然な明かりがちっぽけに瞳に映りこんだ。
2014-07-11 21:20:59狭間】立ち上がる。立ち上がる動作は、もたつく。片手だと、重いな、と感じる。脚の位置を調整して、コンテナに、杖を立てかける。 「………、」 弾丸を込めて、両手で構える。すう、とまっすぐな風のレールを、海の方角に向けて流す。
2014-07-11 21:21:03狭間】拳銃など構えるのは、当然初めての経験だ。どのくらいの音が出るのだろうか。消音器は、完全に音を殺すものではないらしい。それは調べて知った。 ヒト気はない。ここなら咎められることはないだろう、と考える。
2014-07-11 21:24:45葵】口を僅かに動かして、じっと目を凝らそう。たかが視力はしれているが、くるりと姿勢を戻し、音も出さずに少しだけ相手に近づくように地上との距離を縮める。見えるそれが、誰かはまだ判断がつかない。
2014-07-11 21:26:13葵】(………) こんな夜中にこんな場所に、誰かがいるということ自体普通じゃない理由だとはありありと分かる。まぁ、だからここに己もいるのだが。
2014-07-11 21:27:58狭間】引き金を引く。 衝撃でやはり後ろによろけそうになる。自分はたたらは踏めない。背後すぐに位置しておいたコンテナの鉄壁に、背中が軽くぶつかって止まる。
2014-07-11 21:29:49葵】その音の正体を直ぐに理解して、自然、口元に笑みが浮かぶ。そしてさらに、相手の背後の頭上から近づけば、それが何者なのかもわかった。分かった瞬間、笑みは消えたが
2014-07-11 21:32:23狭間】「………、」 その音が、大きいか小さいかは今ひとつ分からない。それよりも、両腕に伝わった反動の衝撃が大きい。びりびりと震える…弾丸の軌道は、風のレールより下に潜っていった、その感覚だけを捉え、 (…思ってるより、上に向けるべき…、)なの、かな…と、びりびりした心地で考える。
2014-07-11 21:33:06狭間】片手を放して銃を身体の横に提げる。空いた手で、コンテナに手をついて身体を支える。立ちなおす。 ひと呼吸入れる。 「……、」 周囲にいまのところ騒動がないことをざっと確認し、もうひとつ、あらためて風をつくる。 ふたたび、拳銃を夜の海に向けて構える。
2014-07-11 21:37:14@c_yu_n 葵】もう一度くるりと反転し、身体が上下さかさまの状態のまま、相手が構えた軌道の直線状にすう、と下りて撃つ前に姿を見せよう。自分の真下には海。 「何してんの」 何を表情に表すでもなくそう声をかけよう。
2014-07-11 21:37:57@TIS_AKUYAKU 狭間】「うおっ!!?」 びく、とする。思わず腕を曲げて、頭上垂直に、跳ね上げるように銃口を向ける。出現したなにかを正面に見て、それがなにかを一瞬捉えない。…声に、聞き覚えがある。 トリガーに指をかける前でよかった、反射的に撃たなかったことにほっとする。
2014-07-11 21:41:07@c_yu_n 葵】例え撃たれていても、自分ならば異能の力で事なきを得る。だからそうして姿を現した。相手の反応に薄笑いを一瞬だけ浮かべ 「それ、自分の?」 目線を相手の持つ銃に向ける。
2014-07-11 21:43:36