たとえばSEとの比較から見る「出版と契約に関する法務的な問題」
- akinosora_
- 4837
- 0
- 2
- 1
連載開始直前中止の件、本当にヒドいと思う。その上で。「下請け法違反では?」との声もあがっていたようですけれど、版元は基本、「著作物を預かって出版する」だけのところで(だから「印税」が発生するわけです)、そこに下請け関係は発生していないのですよね。「預かって」がポイント。
2014-07-13 13:41:05その割に、著作者が独自に何やろうとすると権利者ヅラして止めに入る編集部をいくつも知ってますけど(幸い、取引先ではありません)、それはさておき。出版契約書はあっても発注書とかは存在しない。契約書についても多くは刊行後にようやく締結される。ブラックな話が発生しやすい土壌ではあります。
2014-07-13 13:44:28なおかつ、支払いが発生するのは成果物のみで、作業時間は考慮されません。今回の件で二番目にひどいのがそこで(一番は当然、連載中止そのもの)、数ヶ月の準備期間の作業工数はあくまでも著作者側の負担となってしまうわけです。但し、その体制でようやく回っているとも言えるのが今の出版界ですね。
2014-07-13 13:48:59他業種との比較をしますと--たとえば、僕は何気にプログラマ出身で、開発会社を経営していたこともあるわけですが(廃業済)、クライアントからの発注は「○○のプログラムにいくら」という形でかかるものではなく(たまにそういうケースもありますが)、まずは見積依頼から始まります。
2014-07-13 14:06:47クライアント提示の仕様・納期にもとづき、調査・開発・テスト・プロジェクト管理などの細目について人月あるいは人日単位で、作業量を割り出します。つまり、何人の人間がどれだけの日数でその仕事をやるかあらかじめはじき出すわけです。人月が何人日計算になるかは、会社によってまちまちですね。
2014-07-13 14:09:151人月いくらというのも会社によってまあ差異があります。つまるところ、「納品物の値段」ではなく、「拘束期間」が計算のベースになるわけですね。ちなみに、納品物がまるごと買い切りか、そうでないか(開発側に転用・応用などが可能)かどうかで人月いくらかを変えたりもします。
2014-07-13 14:11:15最終的にはじき出された見積もり金額がクライアントの予算枠その他モロモロと一致しますと、そこで正式な発注が行われ、ここで「下請け」が発生します。契約書が仮にこの時点で交わされていない場合も、納品予定日までに交わされるのが普通です。
2014-07-13 14:13:34これを踏まえて出版ではどうなん?というところをかいつまんで説明しますと、「○月○日までに、これこれの内容で、こんくらいの量の原稿(文字なり絵なり)を提出してくれれば、発行物に載せてあげなくもありませんよ。報酬はたぶんいくらいくらくらいだけど、それは後で相談しましょ」という口約束。
2014-07-13 14:16:05ひどいところがそう、ではなく、基本これです。信頼と性善説で回ってきた業界なのでしょうね。がっちりした法務を抱えている大手版元の契約書を見る機会が増えましたけど、びっくりするような大穴が空いていることが多く。僕が営業担当だったら外に出せませんよ、あれ。(元ソフトメーカー営業管理職)
2014-07-13 14:23:51と、いう具合にだんだんと個人的な不満に傾いてきたのでこのあたりで。このあたりを「きちんとしよう」とすると、たぶんこの業界回らなくなるんだろうなあ、とも思えるところがなくもありません。ううむ。(-,,,-; )
2014-07-13 14:25:22