【15】咲くは江戸にもその素質

このマンガがにごい？ @Nirgoyee_comic

【15】 作品名：咲くは江戸にもその素質 作者：沙嶋カタナ 掲載：comico リンク：urx.nu/a901

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web漫画サイト「comico」からの紹介です。紹介、なのですが……なんというか、これは、まず予備知識一切ナシで真っ先に第一話を！読んでいただきたい！！「どういう漫画なんだろう？」と分からないまま読み進めていくと、最後にその真相にたまげるはずです……！

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とはいえそれではここで紹介する意味も薄いので、一話を読んだ人にも読んでいない人にも本作の紹介をば。

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時は江戸時代、手習所に通う主人公・サクは、その歳にはまだ少し難しい小説「南総里見八犬伝」を興味本位で読み始めてからというもの、男同士の恋愛、即ち「衆道」に惹かれるようになる。後ろめたさを理解しながらも、衆道を想う気持ちは八犬伝を読み進めていくにつれて大きくなるばかりだった……

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ひらべったく言うと、江戸時代に「南総里見八犬伝」で衆道、つまりはBLに目覚めた腐女子のお話。あ、直接的なBL描写はほぼ皆無ですので、そのテのジャンルが苦手でも普通に楽しめるギャグ漫画です。

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まず本作の面白いところは、BLを想うサクの真っ直ぐ（すぎてかなり怖い）な心理が臨場感たっぷりに描かれているところ。親友に己の趣味を打ち明けるまでの肚の探り方など、ともすればバカみたいな会話（BL好きの人にとっては深刻ですけど）をこれでもかとシリアスに描く様はなんともシュール。

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comicoの漫画は少し独特で、コマのひとつひとつを縦にながーく連ねたものを下にスクロールして読んでいくんです。これが意外と読みやすい。そして、スマホよりもパソコンで読むことをオススメします。パソコンのサイズで読めば、ひとコマひとコマがまるで大ゴマの大迫力！

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少し余談ですが、マンガのサイズってけっこう重要だと思うんですよね。紙媒体でも、単行本サイズで読むより少し大きい雑誌サイズで読んだほうが迫力・臨場感は増すと思うんです。映画も家のテレビじゃなく映画館のスクリーンで観たほうが、と言い換えると分かりやすいですかね？

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さて、そんな臨場感たっぷりに腐った女の子の残念な様を堪能できる本作ですが、これ、わざわざ江戸時代にこんなことやってるのもまた面白さの一つだと思うんですよね。というのも、先に紹介したように、サクははじめ秘めていた己の趣味を、親友のフミとカメにカミングアウトしたりするんです。

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他にも、上下関係、上と下という言葉を使って受け攻めの論争をしたり、八犬伝由来のかんざしや櫛を身につけてはしゃいだり、同い年の仲良し男子二人を見て胸をときめかせたり、自分で八犬士の絵を描いたり……。なんだか、今の時代の腐女子とやっていることの本質は同じな気がしませんか？

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そんな今昔変わらない腐女子模様を、あえて江戸時代を舞台に展開しているのがなんというか、倒錯的とでもいいましょうか、そのおかしさがクセになります。時代が時代ですので、完全にアナログなかたちで衆道の新しい楽しみを見出していくサマも面白い。

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まさにアイディア勝ちの作品ですが、出オチに終わらないのは本作の地力の高さの表れでしょうか。単純にギャグ漫画としての完成度も高いんですよね。それは先述の、comicoの独特の形態に作品がマッチしていることもあるのでしょう。

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「咲くは江戸にもその素質」は現在も連載中、第24話まで公開されています。更新は毎週水曜日。次回の更新は明日ですね！

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そういえばサブタイトルも秀逸なものが多い本作。第1話の「江戸にて覚醒」は個人的にすごいツボで、ほんとに1話を読んだときのインパクトは大きかったです。