ポータブルオーディオにおけるソニーの功績(TE-ST56BからMDR-EX70へ)

須山歯研須山社長からソニー松尾伴大氏へのリレーツイート
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須山慶太 @kindo3

ポータブルオーディオにおけるソニーの功績について、最も偉大なる製品はウォークマン第一号機「TPS-L2」と言えますが、それと同じ位同社製バイノーラル補聴器「TE-ST56B」が果たした役割が大きいと思います。再販、もしくはブラッシュアップしての新製品希望っ!!

2014-07-18 15:54:19
須山慶太 @kindo3

さて・・・。ポタ研直前!年寄りの昔話シリーズ「ポータブルオーディオに大きな功績を残したソニーTE-ST56B」をお送りします<誰得? pic.twitter.com/LZ9dIrtEcF

2014-07-18 16:46:35
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須山慶太 @kindo3

TE-ST56Bは確か1994年か95年、ソニーが発売したポケット型補聴器。元々TE-ST55と言う同形状の製品からのアップデートですが、スタイリッシュなデザインは使いやすさや軽量さという使い勝手とともに、既存のポケット型補聴器の概念を覆すものでした。

2014-07-18 16:47:28
須山慶太 @kindo3

なによりその音への配慮が素晴らしく、一般的なポケットタイプが本体にマイクを持ち、そこで集音した音を増幅/調整した後イヤフォンに送るのに対し、耳穴位置にマイクを設置することでバイノーラル音声を得ることができました。

2014-07-18 16:47:50
須山慶太 @kindo3

音質的にもマグネチック型レシーバーが用いられることが一般的だったポケット型補聴器にいち早くダイナミック型レシーバーを採用し、ワイドレンジでそれこそ音楽をも楽しむことができる素晴らしいものでした。

2014-07-18 16:48:12
須山慶太 @kindo3

って、連投するとウザいわね。あとでどっかにまとめといて>中の人。

2014-07-18 16:48:31
須山慶太 @kindo3

技術的なブレイクスルーとしては、音を集めるマイクと音を発するレシーバーが極めて近い位置にある際に発生リスクの高まるフィードバックの抑制でした。今なら位相反転技術で高い効果が望めますが、当時はダナヴォックスがアナログタイプの回路を開発していた頃で、まだ実用には程遠いものでした。

2014-07-18 16:50:56
須山慶太 @kindo3

バイノーラルポケット型補聴器最初の製品となるTE-ST55では、ダイナミック型レシーバーに耳穴方向へ再生音を誘導するプラスチック製のイヤーチップを付けたタイプで、少しでも音漏れを防ぐという試みがされました。サイズも耳に合わせるためS/M/Lが用意されていたと記憶しています。

2014-07-18 16:52:09
須山慶太 @kindo3

「ちょっと耳をサポート」と言う用途には非常に画期的な製品でしたが、しっかりした補聴器としての利用を考える方はすでにある程度のゲインが必要となることがほとんどで、ノーマルのヘッドセットのままではかなりの割合でハウリングが発生してしまうと言う問題が生じます。

2014-07-18 16:54:04
須山慶太 @kindo3

その当時、須山歯研はソニー補聴器の販売と同時に、カスタムイヤーチップやイヤーモールドの製作でソニー補聴器の技術部とやり取りをしてましたが(戸松さん、お元気かしら?)、このハウリング対策のため、プラスチック製イヤーチップに代わりカスタムシェルを製作するという仕事をしておりました。

2014-07-18 16:56:36
須山慶太 @kindo3

ダイナミック型を密閉空間で使用することは、ダイヤフラムへの気圧の影響やそれによる動作不良/音質変化など難しい所もありますが、耳甲介腔部に15mm径程度のダイナミック型を置き、内部空気容積も大きい構造ゆえ、さほど問題にはならなかったと記憶しています。

2014-07-18 16:57:54
須山慶太 @kindo3

ソニー公認とは言え、無論本来は想定されていない使用方法だけに(その頃っから改造ばっかだな、おい)、取り付けなどにも接続部にコーキング材を充填するなど正直無理はありましたが、あれが振り返ってみればFitEar黎明期だったのかも知れません。

2014-07-18 16:58:43
須山慶太 @kindo3

その後、音漏れによるハウリング対策として登場したのがTE-ST56Bです。プラスチック製イヤーチップの先端には刻みが入れられ、そこに今ではおなじみのクラゲ型シリコンイヤーチップが取り付けられていました。このシリコンチップにもS/M/L(あれ、LLも?)が用意されていました。

2014-07-18 16:59:35
須山慶太 @kindo3

この改善によりハウリングは劇的に抑制され、装着にあたってのフィット感も一般的なポケット型で利用される砲弾型イヤーチップと比較し素晴らしいものでした。しばらくソニーのポケット型と一部耳かけ型補聴器で利用されましたが、1999年ソニーが補聴器事業を撤退するとその姿を消してしまいます。

2014-07-18 17:00:44
須山慶太 @kindo3

それと入れ替わるように、同年にソニーは世界初となる密閉型イヤフォン「MDR-EX70」を発売。これには取り付け方法や形状こそ修正がありましたが、まさにTE-ST56Bで開発されたあのクラゲ型シリコンイヤーチップが取り付けられていたのです(胸熱)!

2014-07-18 17:01:45
須山慶太 @kindo3

フィット感向上と耳穴サイズや形状にも適応させるため、9mmと言う当時としては超小型のダイナミック型レシーバーを採用。レシーバーの鼓膜方向への近接配置と密閉によるアコースティック要素を活かし、良く伸びる高域と豊かな低域を持つ再生音を実現し、その後のカナル型イヤホンの元祖となります。

2014-07-18 17:05:55
須山慶太 @kindo3

ここで重要なポイントは「密閉型」であったこと。これまでもオープン型と密閉型の差につきツイートしてますが、ポータブルオーディオという大前提ではどうしても騒音環境下での音楽鑑賞が想定されます。

2014-07-18 17:06:23
須山慶太 @kindo3

音漏れのマナー的な問題もあったかとは思いますが、耳穴を遮蔽することで、耳穴内のS/Nを劇的に改善するという大きなメリットを得ることに成功し、現在のイヤフォンでは非常に広く用いられるスタイルとなりました。

2014-07-18 17:07:31
須山慶太 @kindo3

で、その遮蔽性が、今やダイナミックレンジの確保と言う観点で、ポータブルオーディオのみならず、音楽鑑賞において非常に重要であると言うのが話の主旨なんですが、そーゆー訳ですので松尾さんっ!!TE-ST56B復活して下さいっ!!!@bandai13

2014-07-18 17:10:13
須山慶太 @kindo3

@i__t 厳密には密閉型イヤフォンは当時他にもありましたが、超小型ダイナミックと装着感/遮蔽性の高いクラゲ型シリコンイヤーチップの組み合わせは、非常に高いレベルでそれを実現したと言う意味では間違いなく世界初だと思います。その元々がTE-ST56Bと言う事なですよっ(興奮)!!

2014-07-18 17:22:02
須山慶太 @kindo3

奇跡的に時代の生き証人発掘っ!!右が初代TE-ST55用、手前が56B用、そして左がカスタム。カスタムと言っても、シェルと言うよりはイヤーモールドに近い構造。 pic.twitter.com/JhC4JhfdZN

2014-07-18 17:33:55
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須山慶太 @kindo3

シリコンイヤーチップの固定方法が中央の梁をステムに切られたスリットに差し込み、奥の広がった箇所に引っ掛けるというものでしたが、クラゲ形状はほぼ同じ。微妙に楕円形になっているなど、今見ても非常に高い完成度です。 pic.twitter.com/AOALXYD3TC

2014-07-18 17:37:17
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須山慶太 @kindo3

こちらはFitEar黎明期。実は1985年に補聴器事業をスタートした後、フィリップとかソニーとかシーメンスの仕事とかもしてたんです。 pic.twitter.com/b3QbxhAtX7

2014-07-18 17:39:00
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須山慶太 @kindo3

@Kaji_tiny 補聴器ですので、年配の方の利用を想定し、右/左表記の上、耳甲介腔部を活かしかなり大きくプリントされています・・・、って、これ暗がりとかで左右各人が必要な業務用でもアリっすかね(実は暗いから読めないんですが、笑)?!

2014-07-18 18:04:30
須山慶太 @kindo3

ちなみに弊社コネクタ部には「右側」に左右識別用の突起がありますので、暗転の際などにご利用をいただければ幸いです。 pic.twitter.com/uRWb2HtoKa

2014-07-18 18:12:34
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