#ウシオガーディアントレイラー  まとめ

か弱い綾波型駆逐艦十番艦、潮。彼女の身体は駆逐艦にしては中々の身体つきだが……その身体目当ての魔の手が潮に伸びるその時、必ず現れるという存在があるという。その名は、ウシオガーディアン。 原案:@QewWyuki 勝手にやらかした奴:@sukamelancholy
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高峯みやび @sukamelancholy

……遅くなっちゃった。 季節は夏。日が昇る時間が長い事で油断しきっていた。気が付けば時刻は夜の7時を越え、辺りはすっかり闇が降りており、そんな中を一人、綾波型十番艦の駆逐艦、潮は小走りで帰路についていた。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:37:42
高峯みやび @sukamelancholy

というのも、潮は他の鎮守府で勤務している綾波型の姉妹、特に朧、曙、漣とは特に仲が良かった。今日は久しぶりに会い、時間も忘れて美味しいケーキを食べた。そんな事をしていたらこんなにも時間が過ぎてしまったのだ。急がなければ、寮母さんに大目玉を食らう。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:40:23
高峯みやび @sukamelancholy

潮は息を弾ませて自分の勤務している鎮守府の寮へと急ぐ。夜になっても妙にじめじめとした時間で、汗で服に張り付いているのが気持ち悪いが、気にしている時間はない。早く寮に行って寮母さんにバレないように、戻らなければ。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:42:22
高峯みやび @sukamelancholy

潮が走る度、その駆逐艦にしては豊満な胸が上下に揺れる。他の駆逐艦には羨ましがられてはいるが、潮にとってはコンプレックスでしかない。それに、道行く男性は決まって潮の胸を見る。その視線は気弱な潮には苦手であり、男性に対しても苦手になるのには十分だった。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:49:52
高峯みやび @sukamelancholy

さっきもそうだ。通り過ぎたコンビニの前でたむろっていた柄の悪い男性達に、汗で服が貼りついた身体をじろじろと見られたのだ。走って疲れていたが、潮はその視線に耐えられずにまた走って通り過ぎた。 ……男性は、苦手です。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:53:51
高峯みやび @sukamelancholy

鎮守府までは後少し。疲れ切って汗だくな身体をお風呂で流したい。そんな事を考えていたら──。 「お嬢さん、一人で危ないよ」 後ろからそんな声が聞こえたかと思うと、タオルで口を塞がれ、急に自身の身体が浮いたのだ。混乱する潮の目の前には先ほどの男性たち。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:57:14
高峯みやび @sukamelancholy

大声を上げたくても口を塞がれている。しかも集団で潮の身体を捕まえ、まるで荷物のように運んでいるのだ。身動きすらも出来ない。さらに、走り続けた疲れで力も余り出ない。苦手な男性たちに捕まった事で、潮はパニックになる。恐怖で何も考えられない。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 14:59:29
高峯みやび @sukamelancholy

「ほらよ」 乱暴に投げ出されたのは見知らぬ倉庫。薄暗く、豆電球の灯りだけがある。他には捨てられたコンテナや、コンビニの袋が散乱し、煙草の吸い殻も捨ててある。彼らの隠れ家だろうか。 「君、良い身体してんな」 男のいやらしい視線が、潮の身体に降り注ぐ。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:02:18
高峯みやび @sukamelancholy

……がりがり。 ……がりがり。 重い何かを引き摺る音。 怖い、怖い怖い怖い! 潮はさらにパニックになる。彼らは誰で、何故自分を拘束してここまで連れてきたのか。何が目的なのか。わからないから怖い。涙が止まらない。 「いいよなもう。俺らで楽しもうぜ」 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:04:44
高峯みやび @sukamelancholy

潮にはそれが何なのかが理解出来ない。いや、理解したくない。その凶器で一体何をするのか。その凶器の標的は誰なのか。潮の恐怖心は益々増大する。死よりも恐ろしいモノが、すぐ前まで──。 誰か、誰か助けて──! その潮の心の叫びは、誰にも届かないのか。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:11:16
高峯みやび @sukamelancholy

……がりがり。 ……がりがり。 ふと、男たちは辺りを見渡す。これからお楽しみの時間だったというのに、それに水を差すような不快な音。何か重い物を引き摺る音が、段々と近付いてきているのだ。しかし倉庫内にあるのは小さな豆電球のみ。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:13:40
高峯みやび @sukamelancholy

……がりがり。 音が大きくなる。 ……がりがり。 益々その音が近付く。 ……がりがり。 ただその音が聞こえるだけなのに、威圧感すら感じる。 ……がりがり。 もはやその音の正体は倉庫の中にいる。 ……がりがり。 真っ直ぐにこちらへ来る。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:15:34
高峯みやび @sukamelancholy

男たちはナイフや鉄パイプなどを持ち、その奇怪音の正体を迎え撃とうとする。何故かはわからない。しかし何か、恐ろしいモノが居る。 ……がりがり。 近い。だが何処にいる。 男たちは口々に罵声を飛ばす。 ……がりがり。 ……がり。 音が、止まった。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:18:14
高峯みやび @sukamelancholy

その奇怪音は、潮にも恐怖を与えていた。死よりも恐ろしい事をされる直前だったが、今度はもっと恐ろしいモノが来ているような気がしたのだ。既に潮の精神は限界まできている。 ……やがて、潮は気を失い──。 「ぐぎゃぁぁっ!?」 死が、執行を始めた。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:21:07
高峯みやび @sukamelancholy

男の断末魔が倉庫に響き、動揺が広がる。そして、唯一の灯りの豆電球のみ。下に投げ出されたのは、恐怖と苦痛で歪んだ表情の男の上半身。右肩から左のわき腹まで一気に斬られたその遺体。男たちは悲鳴をあげた。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:23:55
高峯みやび @sukamelancholy

そして闇の中から現れた、奇怪音の正体。腰にはボロボロの布、上半身は何も身につけておらず、筋肉しかないような肉体。そしてその頭には、巨大な鉄。それが三角状になっていた。 奇妙、そして奇怪。鉄の三角頭の男が、そこにいたのだ。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:28:52
高峯みやび @sukamelancholy

さらに男たちは悲鳴をあげる。その鉄の三角頭の巨体の男は、自身と同じほどの大きさの鉈を持っていたのだ。その鉈は錆で汚れているが、赤い血が付着していた。先ほどの身体を切断された男の血だ。 男たちは雄叫びを上げて鉄パイプやナイフを三角頭の男に振るう。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:32:02
高峯みやび @sukamelancholy

しかし、それらの全てが跳ね返される。腹筋が浮いているその身体は、ナイフの刃も、鉄パイプの打撃もものともしない。 そして三角頭の男は男の頭を掴み、投げ飛ばす。 ぐちゃ。 見えなくともわかる。投げられた男はただの肉塊となった。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:34:47
高峯みやび @sukamelancholy

そしてさらに巨大な鉈を振り、同時に二人の男の上半身が転がる。一方的な処刑。一方的な死刑。三角頭の男は見る見るうちに潮を犯そうとした男たちを殺していく。あるものは頭を潰され、あるものは踏みつぶされ、あるものは鉈で串刺しの後、縦に真っ二つにされた。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:38:56
高峯みやび @sukamelancholy

残るは、潮に声をかけ、性器を露出した男のみ。歯をがちがちと鳴らし、性器を仕舞うことすら忘れ、失禁していた。三角頭の男はその物の頭を片手で持ち上げる。みしみし、と頭蓋骨が悲鳴を上げる。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:41:27
高峯みやび @sukamelancholy

男は命乞いをする。 「た、たすけ、たすけへっ! もうしない、しないがらぁ!」 だが三角頭の男は聞く耳を持たない。頭を掴んだ男の身体に手を突き入れ、一気に男の身体の皮を剥いたのだ。全身に走る苦痛。その最中、男の目の前には、あの巨大な鉈。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:45:18
高峯みやび @sukamelancholy

頭部に鉈が突き刺さり、そのまま壁に磔にされる。 残るは、気絶した潮のみ。 三角頭の男は潮に近づき──。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:47:12
高峯みやび @sukamelancholy

その小さな潮の身体を大切なもののように抱え上げ、男に突き刺さった鉈を抜いた。 三角頭の男は潮を抱えたまま倉庫を後にする。死臭漂うこの倉庫に、潮は相応しくない。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:49:06
高峯みやび @sukamelancholy

……気がつけば、潮はベッドで眠っていた。いつ、寮に帰ったのか。全く見に覚えがないのだ。……あれは、悪い夢だったのだろうか。潮は首を傾げ、遅いお風呂へ向かう。 ……何処かから、がりがり、という音が聞こえたような気がしたが、気のせいだと思うことにした。 #ウシオガーディアントレイラー

2014-07-21 15:51:35