rsbs日誌#2

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

千代田は姉の千歳とは別の場所で拾った。偶然入ったきな臭い飯屋…そこで働く小汚い娘がそれまでの千代田であった。酷い労働環境じゃった。朝も明けぬ内に動き夜は更けに更けた時間に漸くみすぼらしいマットに体を横たえたと言う。　#rsbs日誌

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こっそりと偵察機を飛ばした五十鈴から話を聞くとわしは懐から札束を取りだし店主の頬をそれで撫でた。二束三文で買った惨めな艦娘が札束に化けたのであれば喜んで手放すことじゃろう。わしは千代田を連れて帰ってやった。録なメンテもされなかったらしい　#rsbs日誌

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二式大艇に積んだ機材で体を清め、そして治療を施してやる。錬度も儘ならぬと言うのに使えぬと言う烙印を押され、見た目は良いからと奴隷市場に捨てるように売り出されたと言う。そしてきな臭い飯屋に辿り着いたと千代田は涙を流しながら身の上を語ってくれた。　#rsbs日誌

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わしは静かに背中を撫でながら囁く。「清算したいかや。辛く惨めな過去を。刻みたいかや？空と海の狭間で栄光と勝利を」千代田は泣きながら頷いた。では飯屋の店主とその家族に従業員をぶっ殺せるとしたらどうする？と問い掛けた所、千代田はキョトンとした。　#rsbs日誌

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「そんなこと、出来るわけ」出来るんじゃなぁこれが。嘘ならわしの首を切ればよい。そう言ってわしはナイフを彼女に渡した上で幾つもあるテレビの前に座らせた。黒潮や、準備はよいか？『何時でも大丈夫やーやっちゃったりー』無線機に返事が入る。　#rsbs日誌

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テレビの向こうには猿轡をされてガッシリと全身を拘束されて転ばされた店主とその家族がいた。違う画面には酒盛りをしていたであろう店員たちが同じく転ばされており、最後の画面には奴隷商人の顔があった。『ドカンと花火やー』けらけらと笑う黒潮の声が千代田を興奮させた。　#rsbs日誌

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やるかや？人殺し。わしは直球で問い掛けた。「…やる！」強く言い切った千代田にわしは起爆装置を手渡した。千代田は楽しそうに「さーん、にーい、いーち…」とカウントを刻み、「ぜーろ！」と高らかに宣言するとボタンを押した。　#rsbs日誌

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幾つかの画面はノイズを長し、同じ数の画面が建物を粉微塵に爆破する様子を中継した。爆破の音と揺れはここにまで響いた。外を見た千代田はあの爆破が本物であることを知った。自分を縛り付けていた糞のような町が吹き飛ばされたのだ。千代田は幼気な少女のように腹を抱えて笑った。　#rsbs日誌

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破壊工作に出ていた黒潮以下、駆逐艦たちを回収しわしは二式大艇を飛ばした。千代田は窓から燃える町を見下ろしていた。ふと気が付く。テレビの画面以上に燃え上がる場所があることを。あれは違う悪党の建物じゃと説明してやった。花火は派手な方が楽しかろう？と　#rsbs日誌

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そして言う。「よいか千代田。ぬしは己の復讐を果たしただけじゃ。あすこの主と関わりのない悪党は『わしが殺した』物じゃ。決して主の罪にはならん。よいな？」「はい」「わしがこの町に来たのも、あ奴らを殺すが為。その殺す方法が主の花火の添え物になっただけじゃよ」「はい…！」　#rsbs日誌

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千代田は再び泣き出した。喜びと感極まっての涙じゃった。わしは胸を貸してやり、泣きじゃくる千代田の背中をそっと撫でてやり続けた。後日。件の町で謎の同時ガス爆発事故が起きたと新聞の記事が出た。警察は証拠が見つからず、捜査は打ち切りになってしまうとコメントしておった　#rsbs日誌

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それからと言うもの、千代田はメキメキと頭角を顕し、見事に軽空母へと改装に次ぐ改装を果たした。彼女の横顔に当時の憂いは残っていない。そして今では、提督の身の回りの世話をするのが彼女、千代田の幸せとなっておった。　#rsbs日誌

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「提督、今日も御髪が綺麗ですね」そうかや？「はい、クレオパトラなんて目じゃありません」かかか。千代田は面白いのう。「それと提督。幾つかの手紙が来てましたよ。後で必ず読んでくださいね」うむ、苦しゅうない。忘れとったら言っておくれ。　#rsbs日誌