病理医ヤンデル先生の「統計の正しい読み方」

赤ワインを適量飲むと体にいい?
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

優れた医療統計学者であればあるほど、出てきたデータに対し「合理的解釈ができるかどうか」=「データの意味」をきちんと追います。統計の「意味」や「理由」がうまくはまらない場合、その統計には何らかのバイアスやエラーが入っていると考えられるため、より正しい統計学的処理をできるからです。

2014-07-25 11:15:40
病理医ヤンデル @Dr_yandel

かつて、「赤ワインが体にいいはずだ!」という理屈ありきで作られた大規模な統計データがかつてあったのですが、そのデータには致命的な欠陥がありました。

2014-07-25 11:16:56
病理医ヤンデル @Dr_yandel

赤ワインを適量飲むと体にいい、というデータが出たので、ワイン産出国もお酒の会社もみんな大喜びしたのです。ところが、年齢・性別など多くの因子についてはきちんと標準化していたものの、「赤ワインを行儀良くたしなむ人」はそもそも生活レベルが高いということを、統計学者が失念していました。

2014-07-25 11:18:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

「赤ワインをほどよく飲む人」は、「衛生環境的にいいところに住んでいて、自身の健康に興味がある人」ばかりだったのです。結果、データの母集団に「ゆがみ」が生じたのですが、「赤ワインはカラダにいいはずだ」という思い込みが先行したためゆがみに気づきませんでした。

2014-07-25 11:19:24
病理医ヤンデル @Dr_yandel

赤ワインが健康によさそうだ、という結果に「合理的解釈をしよう」と考えた医療者たちは、「ポリフェノール」のような「動物実験レベルである程度人間の健康に影響がありそうな物質」を探し出し、「これによって健康になるのだ!」と結論したのです。しかしこの類推は今考えても少々乱暴でした。

2014-07-25 11:20:09
病理医ヤンデル @Dr_yandel

「統計データ」を読む際には、「なぜこのような統計データになるのか?」を慎重に考える知性と、データに踊らされない「ホンモノの統計力」が必要だ、というお話でありました。

2014-07-25 11:20:57