病理AIと病理愛の話

ワー!暗い!負!バランス
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

がん病理診断、AIが支援…画像を比較・判定 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞) yomidr.yomiuri.co.jp/article/201702… きた……もう今年からだ! あっという間にくるぞ……電脳医師の世界が……

2017-02-20 16:38:39
病理医ヤンデル @Dr_yandel

楽しみだ 病理医でいてよかった この流れの中に身を置けるというのは、なんというか、まんま「プロジェクトX」のど真ん中にいるような感覚がある 病理医という仕事がめちゃくちゃ高度に進化するだろうし、これからの10年でどう立ち回るか選べる場所にいるっての、とても熱い わくわくする

2017-02-20 16:54:14
病理医ヤンデル @Dr_yandel

4月29日(土)、病理学会のオープンフォーラムで「10年後の病理医は何をしているか」という演題でしゃべることが決まってるのですが、そのプレゼンも半分できました。残り、ちょっと「仕掛けます」。今日もこのあとちょっと相談してきます。ぼくを指名したからには、病理学会も覚悟しているはずだ pic.twitter.com/I07yxYslbx

2017-02-20 16:56:29
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医とAI(人工知能)についての話題が昨日のヨミドクターの記事あたりから活発に見られるのですが、現段階でのぼくの考えをちょっとまとめておきます。以前にも何度かつぶやいているのですが、あのあと勉強して、また少しずつ考え方が変わってきました

2017-02-21 09:04:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

病理医(特に、大学で研究に携わっている人ではなくて、病院で病理診断をしている医師)の仕事は、おそらくほとんどがAI(人工知能)に飲み込まれると思います。大半の人々が言う、「これからは人間がAIを正しく使う時代になる」という見通しは甘いです。仕事は消える方向に向かうと思います

2017-02-21 09:05:36
病理医ヤンデル @Dr_yandel

①顕微鏡を見て「形態から診断をする作業」については、AIの特性を考慮すると、「形態認識→ディープラーニングによる予後との紐付け」は人間よりも圧倒的に優れているかもしれません。人間がやるべき仕事は「マクロからの切り出し」に収束していくと思います

2017-02-21 09:08:04
病理医ヤンデル @Dr_yandel

②「コンピュータに、人間の直感が真似できるのか」→できます。むしろ直感的な「仮説の選択」はAIがもっとも得意とするところだと思います。

2017-02-21 09:08:56
病理医ヤンデル @Dr_yandel

③「そもそもコンピュータが診断をくだすとして、それを信用できるのか」→信用できるかできないかを決めるのは病理医ではなく、臨床医、そして患者です。95%の精度があるとわかっていれば、それを踏まえて戦略を立てればよいだけの話です。

2017-02-21 09:09:54
病理医ヤンデル @Dr_yandel

④ただでさえ専門家いちじるしい臨床医学では、病理医とて全ての臓器に習熟することなど困難です。それでも、顕微鏡がみられるから、という一点で職務のプライドを保ってきましたけど、この顕微鏡観察をAIが変わってくれるのならば、他の細かい形態の検討は各科の臨床医がやればよいのです。

2017-02-21 09:11:04
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑤生体由来の検体を用いて、遺伝子検索や分子生物学的検討、創薬などを見据えた基礎研究への橋渡しをする。これもまた病理医の大切な仕事ですが、こういうのはそもそも市中病院の常勤病理診断医ではなく、大学にいる「病理学講座の基礎研究者」がやればいいことです。ていうかすでにそうなっています。

2017-02-21 09:12:14
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑥WHO分類や日本のがん取扱い規約などの「分類」を考えるのも病理医の大切な仕事でしたが、形態分類も、遺伝子変異などによる系統樹的な分類も、統計学的な妥当性の評価も、どれもこれもAIが得意とするところです。人間が監査する必要があるでしょうが、これは別に病理医でなくても大丈夫です

2017-02-21 09:13:12
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑦「他科の医師と比べて、圧倒的に顕微鏡をみる技術に優れており、圧倒的に肉眼的診断も得意で、分類や進行度評価に特化した医師」である病理診断医は、大半がAIで代替可能になります。

2017-02-21 09:14:53
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑧こういうと必ず反論されるのですが、「いやいや、臨床医と細かくディスカッションをする医師は必要でしょう。病理を人として統合する知性が必要だ」という考えについては、ぼくは懐疑的です。そもそも今いる病理医の大半は、全科の臨床医とはすでにディスカッションできていません

2017-02-21 09:15:47
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑨消化器病理が得意なら、消化器内科の医師とディスカッションはします。肝臓病理が得意なら、肝臓内科や外科の医師とディスカッションをしています。けれど、これらを横断して、「すべての科の医師とまともにディスカッションをできている病理医」が全国にどれだけいるでしょう。

2017-02-21 09:16:36
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑩たぶん、ですが、今いる病理専門医2300人のうち、60歳前後の800人程度(概算)は、昔はそのように全ての科とディスカッションをしていたのです。しかし、これだけ臨床各科の専門性が上がった今、これから病理医になる若い医師が全科のドクターとディスカッションするのはほとんどムリです

2017-02-21 09:17:40
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑪そこでAIが登場します。各科の臨床医が、病理医に診断をゆだねることなく、ある程度AIで病理の方向を見極め、それをもとに臨床データを専門的にチェックして、最終診断を出す。この過程で、「自分の分野に特化していない病理医」はもはや仕事がありません。

2017-02-21 09:18:32
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑫病理学会はこれまで、病理医が足りない、地方の病理診断がやばいという声をうけて、病理の広報をしてきましたが、「フレックスに働ける」「ワークライフバランスがよい」といった方向が主であり、各科の臨床医とコアなディスカッションをできる統合知性としての存在をあまり強調しませんでした

2017-02-21 09:19:57
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑬結果、たとえば北海道では、地方の病理診断医の配置はまさに壊滅的といったところで、すでに退職した70歳近い病理医を嘱託医として再雇用し、必死で診断を回しているところが多くなっています。そもそも常勤病理医がいなくてセンター外注しているところも増えました

2017-02-21 09:21:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑭センター外注は信用できない、やはり人間の病理医に診断をしてほしい。現場はそう思っています。これを打開するために「デジタルパソロジー技術」があります。地方病院でプレパラートをPC取り込みすれば、中央にいる病理医が出張をせずとも診断ができる。この技術によって、病理医は中央集権します

2017-02-21 09:22:45
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑮デジタルパソロジー技術が進歩し、プレパラートの電子取り込みが進むということは、「いつでもAIに取って代わる素地」ができるということです。地方病院には、いちいち中央の病理医におうかがいをたてなくても、AIが95%の診断を出してくれるよという営業が来るでしょう

2017-02-21 09:24:13
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑯ここで問題となってくるのは、「お金」です。今後の日本は、「AIの仕事をチェックするだけ」の人間に、医師としての給料を払い続けることを是とするのでしょうか。ワークライフバランスが他の医師に比べてよい、というのであれば、そこに高給が支払われることを社会はどう思うのでしょう

2017-02-21 09:25:03
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑰極論をすれば、AIが知性の補完をしてくれるのならば、病理診断は病理医がやる必要がなくなります。「病理診断技師」でも、「病理士」でもいいでしょう、今より薄給の、しかしやりがいのある、ワークライフバランスも保たれた新たな職種が登場すればよいのかもしれないじゃないですか

2017-02-21 09:25:55
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑱そして一番の問題は、ぼくがたどりついたこの暫定的な不安感を、おそらく今後、医学生たちが同じように感じるだろうということです。ぼくの中には、「病理医にはもっと大事な仕事がある」という見通しが少し見えてきていますが、その見通しは必ずしも病理の世界で共通したものではないです

2017-02-21 09:26:47
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑲ぼくは今、多くの病理医が言っている「AIが出ても病理医はなくならないと思うよ」の意見の大半を論破できるのではないかと思っています(しませんが)。ぼくはしませんよ。でも、医学生はするかもしれません。そんな職業に、これから若く優秀な人が入ってくるのでしょうか?

2017-02-21 09:27:37
病理医ヤンデル @Dr_yandel

⑳ぼくなら入りません。もっとやりがいのありそうな仕事を目指します。

2017-02-21 09:27:57
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コメント

BABA Motoharu @calc3 2017年2月21日
ゴールドマンサックスのトレーダーの次は病理医か。「えっ、そこ!?」て職業がAIに取って代わられるの、対岸から眺めてる分にはとっても興味深い
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OhriHisanagi @Ohri2902 2017年2月21日
病理医だけの課題ではありません。社会全体の職のあり方が同じ問題に直面しますね。外部情報を参照して正解や最適解を探す作業はAIが独占していくことでしょう。AIの方が圧倒的に、早く、正確で、幅広いから。そういう領域ではAIに勝てないんだ、と素直に認めて話を前にすすめることが大事なのかな。
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伍長 @gotyou_H 2017年2月21日
職人の手作業ではなく、機械による「正確」な判定(と監視者)、といった感じになるのかな
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TBT1102 @TBT1102 2017年2月21日
そして放射線診断医もいなくなった
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ヘルヴォルト @hervort 2017年2月21日
開発者になれない中途半端なホワイトカラーは収入が高い順に不要になりそう。逆にそもそもコストも低いブルーカラーが一番侵食されるの遅そう。
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出奔_復帰 @spooky_desire 2017年2月21日
診断よりも所見が欲しいです(小並
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keyray @Keyray7 2017年2月21日
タイトル悠理愛かと思った
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病理医ヤンデル @Dr_yandel 2017年2月21日
はじめて強調を使った みんなに知ってもらいたかった とても重要なポイントだから……。
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やし○ @kkr8612 2017年2月21日
Dr_yandel 「えっ、そこ!?」(コメント欄から反応をパクる)
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kikuzoh @kikuzooh 2017年2月21日
何スかその『入部した初日だけ異様に優しいセンパイ』みたいな強調箇所はw
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義明_雑談用 @yoshiaki_idol 2017年2月21日
Keyray7 まさかその名前を思い出す人が居るとはw
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YY @meranattou 2017年2月21日
AIが医療職にとって代わる近未来、という設定でヤンデル先生にSF小説を書いてほしいなあと思いました
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ぎが @giga_1021 2017年2月21日
病理医の仕事すらAIに取って代わられるならひたすら切って染めての単純作業を延々やっとる検査技師はどうなるんや…ガクブル
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幸箱亭ミミック(妖怪はげまーき) @happys_toolbox 2017年2月22日
「高学歴エリートは高学歴エリートのやるべき仕事に邁進してほしい」と考える高卒ブルーカラーのボクからしても興味深いお話。
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あぶらな @ab_ra_na 2017年2月22日
ヤンデル先生のウサギのAA、今後アルパカに見えちゃうかもしんない
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緑川⋈だむ @Dam_midorikawa 2017年2月22日
自動運転と同じで、AIの致命的な欠陥として「トラブルが起きた時に詰め腹を切らせてマスゴミが溜飲を下げる」という能力が欠けているんだよな。次にAIの開発で必要とされることは「生存本能と、断頭台の上で泣きわめいて命乞いをする能力」かもしれない
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keyray @Keyray7 2017年2月22日
それはAIを扱う技師(とされる非正規雇用者)の仕事になるだろう
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諸々 @g_n_ch_d_m_ 2017年2月22日
何故か星新一の「おカバ様」を思い出した
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ma08s@フォロー外からごめんなさい @bygzam_ma08s 2017年2月22日
「診断」という分野では、病理でも画像でも、確かにAIが伸びていきそうだなぁ。おそらく流れは止められないし、ある意味では病理医、画像診断胃の負担軽減にもなる。ただ、AIはあくまでも「過去の蓄積データ」から導き出した仮説と診断しかできないので、実際そこに限界を感じてもいる。症例数が増えれば、診断はより正確になっていくだろうけど、その「新しいデータ」を集めるのは、まだ人間の仕事なんじゃないかな(やや楽観的な未来予測)
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