台北故宮展シンポジウムの備忘ツイート

2014年7月5・6日に開催された、特別展「台北國立故宮博物院―神品至宝―」開催記念国際シンポジウム「中国皇帝コレクションの意味―書画における復古と革新―」を聴講した内容を忘れないように。。
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ごまだんご @gomadango74

7/5、6に行われた台北故宮展シンポジウム「中国皇帝コレクションの意味」を聴講しました。歴代王朝の内府に収蔵された文物のうち書画について、日台の学芸員らによる報告。 テーマは作品論ではなく収蔵論。収蔵印からわかる文物の来歴や、表装に意図された宇宙観など、興味深い話ばかりでした。

2014-07-09 01:12:57
ごまだんご @gomadango74

[台北故宮展シンポジウム]孫過庭「書譜」は徽宗の時代に宮廷に入った際に表装が改められ、その際に徽宗自ら書いた題簽と璽印がいまも残っている。現在は長さ9mの長巻であるが、徽宗の時代には2巻であったことが『宣和書譜』(徽宗が編纂した収蔵目録)の記録からわかる。

2014-07-09 23:46:17
ごまだんご @gomadango74

[台北故宮展シンポジウム]孫過庭「書譜」 元明清代に民間に流れたのち、乾隆帝の時代に内府に再収蔵され表装が改められた。徽宗が書いた題簽は巻の最初の部分に残されているが、清代に表装を改めた際にずれて貼ってしまったことが、2005年の東京文化財研との共同調査でわかった。

2014-07-09 23:47:07
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]孫過庭「書譜」 巻頭に残る徽宗の題簽には「孫過庭書譜序下」とあるが、「序」の字の下に切り貼りした跡があり文字のずれがわかる。2巻だったものを1巻にした際に、題簽の文字と璽印の状態のいい部分を残したのかな?と想像。 pic.twitter.com/4U6V9i06HX

2014-07-09 23:47:59
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ごまだんご @gomadango74

故宮展シンポジウム 徽宗が編纂したコレクション目録『宣和書譜』『宣和画譜』。 乾隆帝による目録『石渠寶笈』『秘殿珠林』。 現在故宮に所蔵されている書画の多くがこれらの目録によって徽宗の時代まで遡ることができる。また、徽宗と乾隆帝の好みの違いによると思われる評価の違いが見られる。

2014-07-10 02:19:04
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]蘇軾「寒食帖」 孫過庭「書譜」と入れ替わりで後期に展示される「寒食帖」は大正〜昭和の時期日本にあった。乾隆帝に神品とされた蘇軾の傑作は、英仏連合軍に円明園が破壊された際に民間に流出。日本に渡った後も関東大震災、第二次大戦の難を逃れて、台北故宮の所蔵となった。

2014-07-11 01:40:46
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]蘇軾「寒食帖」 「寒食帖」の後ろには、蘇軾の弟子の黄庭堅、乾隆帝の御書など、1000年の間に多くの人が書いた跋文が続く。日本に所蔵されていた時期、内藤湖南も跋文を書いている。

2014-07-11 01:41:08
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]蘇軾「寒食帖」 「寒食帖」と並ぶ蘇軾の名品「李白仙詩巻」は皇帝コレクションには入らず、清代には民間に伝わっていた。清末ごろ?日本に渡り、現在は大阪市美術館の所蔵(こちらも内藤湖南の跋文あり)。 日本でも人気の蘇軾だけどそのような縁もあったのかと感慨を覚える。

2014-07-11 01:41:22
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]王羲之と小野道風 楷書・行書・草書…さまざまな書体に通じていた書聖・王羲之。日本でも奈良時代には書といえば王羲之、と認識されていた。孫過庭が王羲之の正統性を書いた「書譜」も平安時代には日本に写本が伝わっていたと考えられる。

2014-07-13 00:11:13
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]王羲之と小野道風 王羲之の生まれかわり(羲之再生)と称された小野道風(894〜966)もさまざまに書体を書き分ける能書家であった。仮名書きのスタイルが整った時代に生きた道風は、王羲之の書を日本で発展させ、漢字仮名交じりの「和様の書」を構築した祖といわれる。

2014-07-13 00:11:58
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]王羲之の書 今回出陳されている王羲之「遠宦帖」(前期のみ)には乾隆帝の璽印が捺されていない。乾隆帝の好みから外れるためと考えられる。 (乾隆帝はあらゆる書画に璽印を捺す、讚を書くなどガンガンしたため、故宮のガイドさんに「落書きおじさん」と呼ばれるそうです)

2014-07-13 00:14:50
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]王羲之の書 王羲之の代表作「蘭亭序」。欧陽詢の模写による「定武蘭亭」(拓本)は東博にも所蔵されているが、台北故宮所蔵のものが一番整っている。九博のみで展示。

2014-07-13 00:15:20
ごまだんご @gomadango74

「故宮展シンポジウム」皇帝コレクションと模写 中国の歴史の中では、至宝の数々を継承することでその王朝・皇帝の正統性を示していた。皇帝コレクションとして内府に集められた文物は整理・評価され、コレクション目録に記録、そして模写、模造される。

2014-07-15 00:08:53
ごまだんご @gomadango74

「故宮展シンポジウム」皇帝コレクションと模写 この目録と模写は全国に下賜(皇帝の威光の公開)されたが、次第に単なる複製ではなく純粋な鑑賞画として制作されるようになる。内府には真筆だけでなく優れた模本も収蔵されており、真筆は「上等」、精美な模本は「次等」のようにランク付けされる。

2014-07-15 00:09:24
ごまだんご @gomadango74

「故宮展シンポジウム」皇帝コレクションと模写 南宋・馬遠の名作「華燈侍宴図」の真筆とその後世の模本はどちらも乾隆帝のコレクションに入っており、2点とも九博で展示される。

2014-07-15 00:10:26
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]日本における模写事業 一方、日本で名品と言われる書画は中国の皇帝コレクションように一箇所に集中しておらず、各地の名士の所蔵となっており公開されることはなかった。狩野派は全国へ門弟を派遣し、各地に分散する絵画の模本を制作させた。

2014-07-15 00:11:19
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]日本における模写事業 こうした模写事業は絵画の調査・研究や技術の継承の目的であったものが、次第に模写作品そのものを楽しむ、芸術の再生産とも言える現象が起こった。

2014-07-15 00:11:51
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 唐末〜北宋の時代、中国絵画史に水墨画の成立という巨大な変化が起こる。唐代の絵画(写真)は輪郭線を描いて彩色を施す鮮やかなものであったが、墨一色の濃淡で山や木々を表現する水墨山水が飛躍的に発達した。 pic.twitter.com/TxTZarjQZM

2014-07-17 00:07:59
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ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 今回展示されている「蕭翼賺蘭亭図(しょうよくたんらんていず)」の作者・巨然(きょねん)は江南山水画の始祖とされる。本図の画題「蕭翼賺蘭亭」とは、唐の太宗の使い・蕭翼が山深い庵に住む僧・辯才を訪ねて、王羲之の蘭亭序を騙し取るという故事。

2014-07-17 00:08:44
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 この絵が本当にそのテーマで描かれたのかどうかは不明だが、そのストーリーを念頭に置いて鑑賞すると、あらゆる至宝を集める歴代の皇帝たちはどんな気持ちでこの絵を眺めたのかな?とニヤリとしてしまう。 pic.twitter.com/btGA82K3LI

2014-07-17 00:10:01
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ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 巨然らの水墨による卓越した空間表現は、のちに宋元の文人画家たちに受け継がれ、写実性よりも精神性を重視するようになる。(中国絵画においては、「気」を描き出すこと、絵に表現された「気」を感じることが重要)

2014-07-17 00:10:20
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 文人画はあくまで個人の愉しみや親しい友人のために描かれたため、流通・公開されることはなかった。元末四大家(黄公望、呉鎮、倪瓚、王蒙)らの傑作は乾隆帝の内府に収蔵され、この時代の絵画は日本に伝わらなかった。

2014-07-17 00:10:58
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界 今回、東京・九州合わせて11点もの宋元山水画の傑作が来日。(来日していない)黄公望「富春山居図」にはいくつか模本があり、清代の鑑定で真筆とされた「子明本」には乾隆帝の賛がびっしり書き込まれている。npm.gov.tw/exh100/fuchun/…

2014-07-17 00:12:58
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]元代書画の世界・富春山居図 しかしその後の調査研究で、「無用師本」が真筆と判明。清代には模本と見なされていたために、絵としての生命が損なわれずに済んだ。npm.gov.tw/exh100/fuchun/…

2014-07-17 00:14:07
ごまだんご @gomadango74

[故宮展シンポジウム]澄心堂紙 文人のこだわりアイテム、文房四宝(硯・墨・紙・筆)のひとつ、紙。澄心堂紙(ちょうしんどうし)は南唐時代に生産された、非常な名声を得た名紙。その特徴は表面が氷のように滑らかで細かい繊維で出来ている。後世の人が同じ紙を作ろうとしてもできなかった幻の紙。

2014-07-17 23:29:05