広告鎮守府

有利 @HatiariX

#広告鎮守府　の感想乞食になろうと思うのです。　＃広鎮　で感想いただけたら多分咽び泣くのでよろしくお願いします

有利 @HatiariX

今年も夏休みがやってきたので去年行った鎮守府お仕事案内ツアーをまた組むことになりました、と言ったら８割方の子らがすっごい嫌そうな顔したんだけど君ら自分の仕事をよく思い返してみようか。　＃広告鎮守府

有利 @HatiariX

その話が出たのはじわじわと暑さの出てきた５月のことでした。冷えた緑茶に手を付けることも許されない程の勢いで、机を挟んだ向かいに座るとても軍人とは思えない醜い体格をした中年の男はこちらを見ることもなくべらべらと喋り続けています。 　＃広告鎮守府

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そして口と喉が渇くと冷えた茶を飲んでから、秘書でしょうか。慣れない足取りで分厚いファイルを運んでくる潮の尻を嫌らしい目をして眺めていました。そういえば、この中年の管理下にいる艦娘は綾波型と睦月型が多かったと思い出しました。どう見てもロリコンですね。 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

こりゃあ秘書としての仕事よりも下半身の世話をさせられている時間の方が長いのではないかと思っていると、聞いているのかね、と肉だるまがこちらを見ました。しまった全然話聞いてなかった 　#広告鎮守府

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「申し訳ありません。なんでしょうか、中将殿」「人の話を聞け。……まぁいい、今年も頼むぞ。」「はい？」何のお話でしょうか、と聞くと肉だるま兼ロリコン兼中将兼中年の男は呆れたような顔をして、それから観光ツアーだよ、観光ツアー、と言います。 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

「去年のが好評だったからな。上の皆さんが今年もどうかと言い出されたよ」マジかよクソジジイ共、という言葉が口から飛び出しそうになるのを堪える。「そうですね、皆様が喜ばれるのでしたら是非」「君たちの鎮守府はそれぐらいしかやることがないからな。大変だなぁ、人気者は」　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

長い長い時間つぶしにもならない話が終わり、それでは失礼しますと部屋を出ようとしたら机の上の分厚いファイルを指差してツアー用の資料だから持って帰れと言われました。どうせ去年と内容は同じだろうと思っていたら所々改変しているから全部に目を通しておけとも。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

５月とは思えない気温の中この重い資料持って帰れってか。という言葉を飲み込んで、張り付いた笑みを浮かべます。中年の横で縋るような目でこちらを見る潮からも目を逸らして部屋を後にしました。 　#広告鎮守府

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特殊…イベント海域も始まりそうなこの時期になんてこと言い出しやがる、とも思いますが、上層部からの指示と言われたらこちらは黙って首を縦に振るしかありません。縦社会の辛い重みが全身と、分厚いファイルを下げた紙袋からじんわりと伝わってきました。「……帰ろう」 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

東京の中心部から少し離れた下町よりは新しいというややこしい場所にその鎮守府はありました。駅前から商店街を抜けてまっすぐ進み、住宅街に入る手前で右に曲がって、そこからまたずぅっとまっすぐ進んだ、人気のない場所です。　 ＃広告鎮守府

有利 @HatiariX

人のいないそこに国の指示で立派な建物が建てられ、人が住み始めたのはもう随分前の話です。そして、そこが有名になったのはつい最近、去年の春先からのことでした。　＃広告鎮守府

有利 @HatiariX

「今度のwebコラムにコメント書くのって誰でしたっけ」 「榛名だろ？新入りだからってコメント欲しがってたじゃん」 「それはインタビューだろ？」 「そうだっけ？」 執務室と繋がった開け放たれた扉の先から、何人かの声と、ばさばさと紙をめくる音がします。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

「インタビューは第一艦隊の奴らのコメントいるから忘れんなよ」 「ああ、そうだった。ところで天龍、来月の原稿できてる？」 「あー、もうちょい」 「締切破んなよ」 「わかってるよ」 一応確認とっておきましょうか、と聞こえてからすぐに赤城が顔を出しました。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

「提督、聞こえてました？」 「うん。インタビューが榛名と第一艦隊、コラムが摩耶。月イチコメントは天龍だよ」 「コラム摩耶でしたか」 「うん。でも二日前に遅れないように伝えたよ」 確認を取る赤城にスケジュールの紙を渡して答え、締切を破らないようにと一応伝えておきます。#広告鎮守府

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了解しましたと言う赤城の腕には今週の秘書艦を示す白の腕章が付いていた。 「次にコラム書くの筑摩ですよね、伝えておきます」 「あ、ありがとう」 こちらが言う前にやることをやってくれる。付き合いが長い一部の艦しかできないけれど、その中でも赤城の勘のよさは人一倍だった。#広告鎮守府

有利 @HatiariX

机に戻り、第一艦隊のメンバーファイルを開いて、次の出撃のメンバーを考える。時雨と加賀を入れようか。彼女らは人気がある。それに新入りの榛名を加えて、後輩を支える頼もしい先輩の図を作ってやれば見栄えは良いだろう。なにより華があった。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

さて、他のメンバーはどうしようかと考えていると、赤城の消えて行った部屋から控えめなノックの後に摩耶の声がします。「提督ぅ、できたぜコラム。チェックしてくれよ」　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

摩耶の手から下書き用のレポート用紙を受け取って、目を通していく。相変わらずこの子は字が綺麗だ。その間も摩耶は喋るのを止めない。 「しっかし面倒だよなァ。あたしらの仕事はこんなのばっかじゃねえってのによ」 「仕方ないよ。うちはそれも業務なんだから」　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

「ま、取材もコラムもたまのことだから摩耶様はちゃっちゃとこなしてやるけどよ」 ふふん、と自信ありげに言う通り、なるほど。確かに出来は悪くない、けれども。 「摩耶」 「うん？」 「誤字多いよ」 「げ」 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

「あとここの文章おかしい」 「えー…」 不満げな顔で赤のついたレポート用紙を見つめる摩耶にとって、これはちょうどいいエサになる。 「それ終わったら明日の出撃メンバーだから、頑張って」 「マジで！？」 俯いていた顔が上がり、ぱぁっ、と目が輝く。ゲンキンだな 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

一気に機嫌をよくして、ちゃっちゃと終わらせてやるぜ！と言いながら作業部屋に戻る摩耶の背を見送る。日本各地の鎮守府の主な業務は、深海棲艦との戦闘と海域の警備、輸送船の護衛だ。が、うちの鎮守府はそれに加えてもう一つの業務があった。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

机に積み上げてある書類の山から外部関連の物だけを抜き取って目を通していく。艦娘と一緒のインタビューが２件、秋にあるＴＶ中継演習の打ち合わせが１件。新聞社の取材が１件。ＴＶ取材が１件。 　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

長期スケジュールとして観光ツアーが１件。どれも分厚いファイルで、これに目を通すことを考えるだけでも嫌になってくる。結構な量だが、これでも一時期に比べれば少なくなった。　#広告鎮守府

有利 @HatiariX

これに加えて通常業務は当然のようにある。 去年から行っていることだから慣れたといえば慣れたが、まだまだ探り探りでやっていかなければならない。 外部への取材の受けすぎで深海棲艦との戦闘に支障が出たら本末転倒だ。 　#広告鎮守府