同居する森と月と伊月のグルメ

同居する森と月bot @doukyomi5

伊「今さらこんな疑問を持つのもあれなんだけど、なんで森山さんオレと同居しようと思ったんだろう？誰か、ってことなら寮暮らしの葉山でもいいんだし。葉山よりオレのが家事炊事できそうに見えたから？ 同居って、森山さんの後輩に対する距離感を越えてるように感じるんだよね……」

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伊「あぁー……森山さんと同居してるの、日向にはまだ言ってないんだよな。なんか言いにくくて。日向、怒るかな。ああでもこんなこと考えてたらますます言いにくくなる…」

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伊「伊月のグルメ、第五回。今日はオレが晩御飯担当の日。今日はどうしようかな？暑くなってきたし、疲れの取れるもので検索、と。うーん、焼くだけっぽいし豚の生姜焼きでいいかな。帰りにスーパー寄って…。副菜はなんか野菜の多いスープ…あ、しょうがなくても生姜焼き！キタコレ！」

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伊「あ、あと『作ってあげたい彼ごはん』はね、違います！森山さんがああいうカフェっぽいオシャレご飯好きでしょ？だから参考に買ったんだよ参考に。三校が参考にして産興するキタコレ。それだけだよ！」

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伊「と、いうことで。作り方片手に作ってるからひどい失敗はもうしないハズ……とは思うけど、森山さんの好み、まだ微妙なとこがわかんないんだよな。オレの家よりちょっと味つけ濃くて、香りがするのが好きみたいだけど……。今日のご飯もマズくはないけど、まあ普通の生姜焼きの味のような」

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伊「食べ終わった皿洗ってたら、森山さんが『美味しかったよ』ってオレの頭ぽんって叩いた。嬉しかったけど、半分リップサービスだろうなって思って、『評価するとしたらどのくらいです？』って訊いたら、『頑張ってるで賞？あ、ちがう、森山賞。森山由孝賞でどうでしょう』って」

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伊「「ありがとうございます。でも『森山由孝賞』はもっとオレが腕を上げたら、その時ください」って言っておいた。オレまだ料理ヘタ、ていうか圧倒的に経験不足なの自分でもわかるんだよね。……森山さんに、美味しいって思ってもらうようなの、食べてもらいたいな」

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伊「伊月のグルメ、第何回……だっけ？あ、ちなみにオレ朝は毎日作ってるよ。ただ朝は目玉焼き焼いてちぎっただけのサラダ出してヨーグルトでもつけとけばいっかってなるからほとんど悩まないんだよね。（森山さんも7割くらいまだ寝てて食べる時も無言でもしゃもしゃ食べるだけだし）今日は…」

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伊「肉じゃがにしようかな。副菜は酢の物…マリネで。森山さん、もともと食が細いのに暑くなると途端に食べなくなるみたいだから、泣き落としてでも口に入れさせないと……。あっ、なんだろうこの責任感。病人介護してる気になってきた。」

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伊「今から料理作りながら独り言呟くから、連投がウザかったらみゅっとミュートしててくださいね！キタコレ！……って、『みゅっと』ってなんだよ我ながら」

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伊「よしあとは蓋して待つだけ。土曜日？うん、コガにちょっと話って言って呼び出された。深刻な声だったし、先約だったから悪いと思ったけど森山さん振り切っちゃった。居酒屋で（呑めないけど）二人で近況話してたら、突然コガが「オレ、水戸部の言うことわかんなくなってた……」って言い始めた。

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水戸部とコガ、二人は進路違って、今コガは大学で環境系の学部、水戸部は医療福祉士系の専門学校に通ってるんだよね。 オレは、二人が進路別れるって聴いて、水戸部は大丈夫かなって心配したんだけど、メールで話聞いたら上手くやってるみたいで安心した。コガの方は今まで心配したことなかった。

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コガがこの間、街で偶然専門学校の友達と一緒にいる水戸部に会ったらしくて、水戸部ーって声をかけたのに、こっちを見た水戸部の言うことがわかんなくなってたってさ。

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水戸部の周りの、専門学校の友達は、昔のコガみたいにはっきり水戸部の言いたいことがわかってたわけじゃないみたいだけど、身振りとか表情とかで上手くくみ取ってて、でも自分はそれもできなかったってコガが。

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インターハイ前、もう再来週には応援とか壮行会の準備とかで誠凛OBが集まるし（もちろんオレも行くよ）、そこで水戸部にどう接したらいいかわからない、それまでに何とかしたい、っていうのがこないだの土曜日に聴いたコガの悩み。

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とりあえず話聞いて、オレもふだんは練習あって時間取れないからまた今度の土曜日に会って話聞くことになった。その間に水戸部にメールして、と。 ……当たり前だけど、みんな高校の時のままじゃない。もう卒業して一年半経ってるし。成長もするし、変化もする。 関係も、昔のままじゃない。

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森「家帰ってきたら伊月が親の仇を取りに来た少年剣士みたいな顔で肉じゃがの入った鍋見てたんだが……。あれなに？おいしくなる呪いでもかけてたの？」

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森「あと、食べてる時に伊月にめっちゃガン見された。落ち着かなくて『な、なんだよ』って言ったら、「森山さんそれ全部食べてくれなきゃ泣きますから」って鬼気迫る声で言われた。怖い伊月怖い。冗談が通じない時の顔してる。ヤンデレの伊月に死ぬほど愛されて夜も眠れない系のアレなのかこれは」

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伊「週に一回の夕ご飯担当なのに毎週頭を悩ませてる伊月です。森山さん口ではもっと適当なメニューでいいよって言ってくれるのに、自分が作るのも最近メニュー考えてくれてるみたい。前は森山さんも、肉焼いた（だけ）にスーパーの惣菜コーナーのサラダとかつけてたんだよ」

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伊「あ、でも今日はもうメニュー決まってるから楽。ラクダのメニューは楽だ…。スーパーあいてるうちに練習終えて帰らないと…」

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伊「森山さんと手巻き寿司パーティ（なにが楽しくて男二人で手巻き寿司パーティなのか）をやりながらぼちぼち話す。「合宿、いつからになったんですっけ？」「24日から一週間。去年お世話になった民宿に今年も泊まるよ」「24日…。IHに間に合いますね」カレンダーを確認する。

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そりゃそうだ。IHに間に合わせる日程で組んだからな。うちはオレも葉山も伊月も応援行くし」 ―――勝手に応援行くことにされてる。いや、行くけど。