ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/11/18

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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小夜啼き鳥 @sa4nakidori

この時期の約束はどこか心許ない。それはまるで、来ないであろうサンタクロースをもしかしたらと待ち侘び、諦めを抱きしめながら眠りに落ちるイヴの夜みたいだ。浮かれないようにと一層固くする心は、いつだって愚かで切ない。どうせ悲しみが来るのなら目一杯はしゃげばいいのに。 #twnovel

2010-11-18 00:22:29
ひょろ @hyoro4779

『先生の思い出』 #twnovel 担任の萩原先生の口癖は「忘れないように手のひらに書いておけ」でした。特に僕は忘れ物が多かったので同じことを何度も言われました。先生は4年生の終わりに他の学校へ移って行きました。離任式の日、僕は先生の名前を手のひらに書きました。忘れないように。

2010-11-18 01:52:47
@Japanese_Fairy_

俺は残虐な殺人鬼となっている。電車内は騒然とし、周りの乗客は俺を遠巻きにし怯えている。隣に立ってる塾帰りの小学生が俺に偉そうに諭す。「おじちゃん、優先席では携帯電源切らなきゃ怒られるよ」なに?俺は、携帯の電波で人殺ししてる最中なんだよ! #twnovel

2010-11-18 02:10:34
@ttmmsys

統計として幽霊は存在する。ただしその存在確率が非常に低いために、実体として観測するのは困難である。そこで「幽霊を見た者達の集団」で観測を行った所、確かに幽霊の存在が確認された。さらに、幽霊の存在確率が観測者の主観に影響されることが証明された。次回は神を観測する。 #twnovel

2010-11-18 02:15:49
杏泉しのぶ(Theatre劇団子) @anz1022

#twnovel ねぇパパ。サンタさんてほんとうはパパなの?あのね。でもね。ママがいーっつもいってるの「パパはオンナゴコロがわからない」って。でもね。サンタさんはね。いつもあたしがいちばんほしいものをくれるんだよ。だからねパパはサンタさんじゃないよね。…パパ、なんで泣いてるの?

2010-11-18 05:30:21
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 赤鬼は泣いていた。もう人を殺したくないと嘆いていた。人を殺せる度胸のある人間が減った今でも、死ぬべき人間は幾らでもいた。人に似て人でない鬼達に、人の悪行が押しつけられた。殺した奴に夢で会うから眠りたくない、と赤鬼は言った。構わず僕は次の殺害対象の写真を手渡した。

2010-11-18 07:22:40
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 山の上から見下ろすと、街はもうすっかり滅んでいて、あちらこちらから黒煙が立ちのぼっている。ビルも家も人間も骨組みだけが残り、道は焼きすぎた真っ黒焦げの肉で埋め尽くされている。そのうち空から彼らがやってきて、黙々と後片づけを始めるのだろう。次の世界を創るために。

2010-11-18 08:33:33
ジュン @jun50r

#twnovel 「失恋したから髪をきりたいの」「承知しました。新たな恋に出逢える素敵な髪型にしましょう」美容師は真剣な表情で髪をきった。「気に入ったわ。だけどなぜこれが新しい恋に出逢える髪型なの?」「その…僕の好みというか…」美容師は女性客と鏡越しに目が合い、顔を赤くした。

2010-11-18 11:08:56
TAG @bttftag

#twnovel 「昔のWEBサイトのカウンターのキリのいい番号を踏んだ人を発表したりしてたよね。あれ何だったんだろう」「今でも、ちょうど○○ツイート目とか言ったりして、昔と変わらないよ」「何が人をそうさせるのかな?」「十進法は分かりやすい、ということだよ」「二進法もね」

2010-11-18 11:36:25
まくるめ @MAMAAAAU

わがはいは独身である、名前は元に戻った。掃除をしても部屋がきれいにならない理由がとんと見当がつかぬ。掃除機の排気口からはじめじめした風が流れるばかりである。吾輩はここで始めて掃除機そのものを掃除しなければいけないということを知った。 #twnovel

2010-11-18 11:55:05
藍 真史 @shin1960

#twnovel 背後から首筋を切りつけられスーツの上から脇腹を刺されている。フローリングの床にはおびただしい血。死体の横には凶器と見られる包丁。部屋が荒らされた形跡はない。怨恨か。刑事の問いに妻は答えた。いい人でした。驚いています。あたし以外にあの人を恨んでいる人がいたなんて。

2010-11-18 16:24:49
わたりさえこ @watarisaeko

「何を作ったの」と母親が聞くと、男の子はにこにこして「合わせ鏡箱」と答えました。母親は箱の中を覗いてみました。貼り合わされた鏡が無限に像を結び、母親は何だか目眩のするような気持ちになりました。ふと気付くと、男の子は興味深そうな顔で母親を上から覗き込んでいました。 #twnovel

2010-11-18 17:22:58
わたりさえこ @watarisaeko

極めて正確な絶対音感を持つ少年がハーモニカを習い始めた。「ドの音を鳴らしましょう」と指示されて、何度も何度も吹き直す。教師は「上手にできているじゃない」と言うけれど、「ずれている。それに揺らぎがある」と少年は意固地。少年はいつまでもいつまでもドの音を探し続けた。 #twnovel

2010-11-18 17:48:42
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 私は他人の死期が見える。頭上に亡くなる日付が浮かぶのだ。愛した男の頭上に一年後の日付が浮かんだ。彼は癌になった。末期には混乱したのか彼は自宅の鏡を全て割り、自宅から出るなと私に命令した。亡くなった後、街の鏡に私の頭上の日付が見えた。彼が鏡を割った理由が分かった。

2010-11-18 17:51:49
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。今宵の獲物は三つ星レストランの女シェフだった。「あたしを食べる?それともあたしの料理を食べる?」二者択一を迫られて「よし、じゃあまず料理を食べてやろう。まずかったらその時は覚悟しろよ」その後彼は彼女の店の常連になったという。 #twnovel

2010-11-18 18:21:53
@QuaibunBocchi

ぼっちには少なくとも二通りある。ひとつに、大衆に見放されたもの、もうひとつに、大衆を衆愚とみなしたもの。但し後者に分類されるには、大衆に歩み寄って、それに同化するための一方ならぬ努力を経験しなければならない。挫折と諦念。代償なくして成立しないぼっちもまたある。 #twnovel

2010-11-18 18:25:23
すわぞ @suwazo

#twnovel 薄暗い石牢で私は私の死刑執行を待つ。大きな斧を持った執行人が現れる。だが彼は何故か私の手に斧を持たせ、膝をついて項垂れる。混乱しながら私は斧を降り下ろす。死の間際、彼はアリガトウと呟く。私は悟る。彼もかつて罪人だったのだと。私は新しい死刑執行人となったのだと。

2010-11-18 19:33:12
ジュン @jun50r

#twnovel 病死した私は彼の背後霊になった。私は彼の為、懸命に働いた。悪霊や災厄には全霊で立ち向かい、彼の夢の為に霊世界の人脈も広げた。だけどごめんね。彼に新しい恋人ができたら、私はきっと邪魔をする。と、彼が私のお墓に何かを置いた。指輪だ。「俺がくたばるまで返事は待つよ」

2010-11-18 21:44:10
@asidity_dabyy

妖怪「お茶啜り」を紹介しよう。お茶啜りとはお茶を淹れた人間が用を足しに行っている隙に、気づかれない程度に飲む妖怪である。類似種として妖怪「ボトル詰め」がいる。ボトル詰めは誰かが淹れたお茶をペットボトルに詰めて自室に持ち帰ってしまう妖怪だ。畜生またやられた。 #twnovel

2010-11-18 21:44:12
まる @kuroi_kitsuneko

会社の飲み会で「仕事の話禁止!」と提案した。皆「いいね!」と賛成。10分後、誰も口を開かなかった。いいや、口を開いても何も出てこないのだ。僕たちを繋いでいるものは仕事だけ。それを取り去れば、もう何も残らない。注文した唐揚げが来た。みな一斉に「レモン…」といった #twnovel

2010-11-18 22:16:06
tk_zombie @tk_zombie

帰宅して飼っているゾンビの様子をみにいくと「このコンテンツは権利者の申し立てにより削除されましたこのコンテンツは権利者の申し立てにより削除されました」と赤黒く染まった男がつぶやいている。周囲に散らかる四肢と臓物。こちらを振り向いた男の手元で何かが光った。 #twnovel

2010-11-18 22:39:51
まる @kuroi_kitsuneko

銀行員になるのは結構大変で、入行当初はゴム行員からスタート。そこから鉛行員、錫行員、鉄行員、銅行員と昇進してようやく銀行員を名乗れる。上には金行員、プラチナ行員と続くが、ここまで来るのはごく一部。大半はゴム行員の段階で焼き切れ、残りも鉄行員あたりで錆びつくから。 #twnovel

2010-11-18 22:41:52
@K_Ichida

#twnovel 心のスタンプ。手にするまでは、なにもないスタンプだが、手にした瞬間持ち主の心を反映した模様に変わる。うさぎ、犬など動物の模様の人が多い。僕は、どんな模様になるだろう。わくわくしながら、スタンプを押すと小さな虫の模様だった。しかもびっちりと一面にあふれている。

2010-11-18 22:46:11
@K_Ichida

#twnovel 自殺しようと思ったが、両親を悲しませたくなかった。自分そっくりのロボットを身代わりに用意した。でも自分に似て性格の歪んだいやなヤツだ。こんなヤツを残すわけにいかない。破壊しようとした時、そいつが首を絞めてきた。「考えることは同じだな」どちらともなくつぶやいた。

2010-11-18 22:54:15
とおる6th @windcreator

絡繰娘は的を射る。糸も歯車も鋼も、その身を形作る全ては彼女が矢を放つ為にある。彼女は全身全霊をもって矢を放ち、的を射る。幸か不幸か彼女の主人は酔狂であった。「なぁ、俺の人生に『的を射た』助言とか出来ない?」絡繰娘は矢を放つ。初めての言葉の矢を。「働け主人」 #twnovel

2010-11-18 23:22:50