地球物理学たんの台風のお話

地球物理学たん @geophysics_tan

さて、準備ができたので始めようかしら。

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昨日は、台風11号が西日本に直撃して各地で大雨や突風による大きな被害が出たわね。

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台風11号は7月29日にマリアナ近海に発生後発達しながら西に向かいその後北上、8月7日に大東島地方に接近したのち昨日高知県に上陸、瀬戸内海に抜けた後兵庫県に再上陸し、近畿地方を縦断して日本海に抜けて今日の午前中に温帯低気圧に変わったわ。

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ところで、台風は熱帯低気圧がある一定以上の風速になったものをいうけど、この熱帯低気圧は私たちがよく聞く低気圧とは全く別物よ。共通しているのは中心付近の気圧が周囲より低くなっていることぐらいね…

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台風は簡単にいうと水平方向にほぼ一様な強い条件付き不安定な場で、水蒸気が凝結して(水的に変化して)潜熱を放出し、暖められて軽くなった空気が上昇、断熱膨張に伴ってさらに凝結が進んで加熱されるというサイクルによって発達するわ。

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○水滴 ×水的ね…

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潜熱は液体の水が同じ温度の水蒸気になるために必要な熱ね。水蒸気が水滴になる時には逆にこの熱が放出されて周囲の大気を温める作用をするの。断熱膨張は周囲と熱のやり取りをせずに膨張する現象で、温度が低下するわ。露天温度も低下するんだけど温度の方が大きく下がって飽和すると凝結するの。

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だから台風が発達するためには大量の水蒸気が必須よ。この水蒸気は海の水が蒸発して供給されるの。水蒸気の供給は海水の温度が高ければ高いほど盛んになるので、台風は海水温の高い日本のはるか南の海上で発達することが多いの。

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でも、日本のすぐ南まで海水温の高い領域が広がっているときは、台風が日本のすぐ南まで発達を続けたり、そうでなくても強い勢力を維持したまま日本に接近したりするわ。今回の台風11号もなかなか勢力が衰えないまま高知県に上陸したけどこれは日本の南の海水温が高かったからなの。

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一般に私たちが低気圧というものは温帯低気圧のことね。この低気圧は南北で温度が急速に変化しているとき(これを傾圧性が大きいという)、暖かい空気が上に、冷たい空気が下に行こうとする力をエネルギー源として発達するの。このような領域のことを前線というわ。

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まとめると、台風のもととなる熱帯低気圧は水平方向に一様な大気で水蒸気の凝結をエネルギー源にして発達するのに対し、温帯低気圧は南北の温度差による大気の位置エネルギーをエネルギー源にして発達することになるわね。

地球物理学たん @geophysics_tan

ちなみに、今回の台風は暴風域を伴ったまま温帯低気圧に変わったので、まだ強いのに台風じゃなくなっちゃったの？と思っている人も多いかもしれないよね。これはつまり、台風が南北の温度変化が大きい日本付近に来て、その構造が熱帯低気圧から温帯低気圧のものに変わったからなんだ。

地球物理学たん @geophysics_tan

温帯低気圧になってしまうと、どんなに中心付近の風速が大きくなっても台風と呼ばれることは決してないわ。だから、今回は中心付近の風速が大きいまま、台風から温帯低気圧に変化したの。決して台風が弱くなったからじゃないということをよく覚えておいてね。

地球物理学たん @geophysics_tan

台風11号から変化した温帯て気圧は18時現在、北海道の西にあって閉塞前線、温帯前線、寒冷前線を伴っているわ。これは典型的な温帯的かつの姿なの。ちなみに、寒冷前線付近では発達した積乱雲によって突風や大雨が頻発するので、今夜は東北から北海道にかけては今まで以上に要注意よ。

地球物理学たん @geophysics_tan

というわけで今回の台風を受けての、台風に関するツイートはこれで終わりにするわ。何か疑問や質問、わからないことなどがあったらリプライを下されば可能な限りお答えしますわ。ありがとうございました。