薔薇と吸血鬼と嗜好

戚　泰継 @isyutamu

そういえば吸血鬼の食事が薔薇の何だのって話をみたけど、逆に主食が血液だとして、「貴方なんか怖くないわ」って受け入れるテンプレではなく、「貴様本当に人間が最上の食事だと思っているのか？もっとも美味だと思う血液を探求はしなかったのか？貴様それでも日本人か！」という展開があってもいい・

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吸血鬼「貴様の血を…」 人間「人間以外の血を試したことはあるのか？」 吸血鬼「え？」 人間「牛豚鳥魚……数多の動物に通う血を、貴様は味わったことがあるのかと聞いている」 吸血鬼「え……いや牛とか豚マズいんで」 人間「ならば羊は。山羊は兎は鹿は猪は」 吸血鬼「えっあのっ」 みたいな

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人間「笑止！貴様は血を主食とするくせに、手近で手ごろな人間に逃げているにすぎない！」 吸血鬼「えっはい」 人間「貴様に足りないのは探究心だ。いいか、これより貴様にとって最上の食事を探す旅に出ろ。いい機会だ」 吸血鬼「いえあの、人間の血が」 人間「美味を求めずして何が日本人か！！」

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吸血鬼「あの、一応人間の血が合っててですね」 人間「他の血を試しもしていない愚図が何を訳知り顔で断言している」 吸血鬼「ぐ…」 人間「貴様も一応日本に生を受けたからには、己の味を見つけてみろ。その無駄に長い寿命は何のためにあると思っている」 吸血鬼「少なくともこの為ではないと…」

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人間「ではその寿命は一体何の為にある」 吸血鬼「えっ」 人間「答えろ老いぼれ」 吸血鬼「お、え、そんないきなり」 人間「答えられないと言う事は！貴様の人生の目的はまだないと言う事だ！」 吸血鬼「へ、へぇー」 人間「そしてそんな貴様に私が目的を与えてやろう。探せ、貴様の味を」

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そして吸血鬼は勢いに押されるまま旅に出て、様々な動物たちをガブガブしました。東に熊がいると聞けばマタギのコスプレをし、西にイルカがいると聞けば人魚の振りをして通報され、そもそも水に入れない己に気付いて半ば本気で悔し泣きをし、鯨を味わう為に船をチャーターしたり、徐々に体は鍛えられ

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やがて吸血鬼は人間の血を頼らなくても生きていけるほど健康になりました。むしろ近年の人間の血は防腐剤やら保存料やらでどんどん味が落ちています。天然ものの兎とか鹿とかジビエ最高ー！と狩猟免許を手に吸血鬼は人生をエンジョイする機会を手に入れたのであります。

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人間「そういえば貴様薔薇は駄目なのか」 吸血鬼「え、いえ薔薇でもいけますが」 人間「貴様にとって最上の薔薇とは何だ」 吸血鬼「あっなんか既視感」 人間「答えられぬのなら貴様はまだ薔薇を探求していないということ！」 吸血鬼「デジャヴュ！超デジャヴュ！」 人間「探せ！最上の薔薇を！」

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人間「怖くない」 吸血鬼「えっ……」 人間「生肉だからって寄生虫など怖くはない！我々には虫下し様がおられる！」 吸血鬼「すげー！何かよくわからないけど虫下し様強そう！」 人間「ではこれより鹿の生レバーに挑む！」 吸血鬼「はい先生！」 人間「全て自己責任だ愚か者！」 吸血鬼「えっ」

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人間「そういえば何故薔薇なのだ」 吸血鬼「ええと、何ででしょう」 人間「他の花は試したのか」 吸血鬼「いえ、薔薇が手っ取り早いですし…」 人間「たわけ！野の花の美しさと美味も知らずに手近なものに手を付けるとは貴様ジャンクフード大好きな小学生か！！」 吸血鬼「薔薇ってジャンク！？」

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昨日から呟いている吸血鬼と人間。最終的に 人間「この世のお前の食物という食物は、全て私の思い出と関連づいてしまったようだな！」 吸血鬼「ホントですよ。どうしてくれるんですかもう」 人間「しょうがないから永遠に私を覚えていればいいさ」 吸血鬼「ホントに……どうしてくれるんですか…」

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吸血鬼「ねえ。今日はヒグマ取ってきたんですよ。血は飲んじゃったから、肉が残っちゃいました」 人間「……」 吸血鬼「お花もね、持ってきたんですけど。薔薇は食べちゃったんで、他のにしました」 人間「……」 吸血鬼「何であの時最後にもう一回人間の味を確認してみろなんて言ったんですか…」

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人間「薔薇に限らず他の花はどうなんだ」 吸血鬼「どうと申されましても」 人間「ちなみにこれはどうだ」 吸血鬼「小さくて可憐な花ですね。名前は？」 人間「オオイヌノフグリ」 吸血鬼「　」 人間「オオイヌノフグリだ」 吸血鬼「犬の睾丸って名前の花を食わせようとか鬼ですか知ってたけど」

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人間「では様々な花を試してみよう。鈴蘭だ」 吸血鬼「可愛いですね」 人間「彼岸花」 吸血鬼「綺麗ですね」 人間「エンゼルトランペット」 吸血鬼「わあ鈴生り」 人間「水仙」 吸血鬼「なんで毒花ばっかりチョイスなんですか」 人間「体に悪いものは大体美味しいと相場が決まっているからだ」

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吸血鬼「一目見た瞬間に決めてました」 人間「…」 吸血鬼「貴様の血をもらうぞ」 人間「ねるとんか」 吸血鬼「えっ」 人間「悪いがまだその手の番組に出るほど差し迫ってない」 吸血鬼「えっと、お、お前の血をもらうぞー！」 人間「だが断る!!」 吸血鬼「困る!!」 #薔薇と吸血鬼と嗜好

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人間「貴様が困ろうが私は困らん!!」 吸血鬼「そこを何とか!!」 人間「大体何故私の血なんだ!!」 吸血鬼「美味しそうなので!!」 人間「気のせいか!!」 吸血鬼「一応経験と勘に基づきます!!」 人間「そうかだが許さん!!」 吸血鬼「お慈悲を!!お慈悲を!!」#薔薇と吸血鬼と嗜好

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人間「そんなこともあったな」 吸血鬼「懐かしいですねー」 人間「第一印象は完全に不審者だったな…」 吸血鬼「酷い!!」 人間「出会い頭の初対面の相手に突然血を寄越せだとか完全に不審者」 吸血鬼「言い返せない!!」 人間「相手が私でなかったらどうなってたか」 #薔薇と吸血鬼と嗜好

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人間「大体な、街角でロングコートの男が立ち塞がる時点で通報だぞ」 吸血鬼「道を尋ねる紳士かもしれないじゃないですか…」 人間「そして本性を現そうとした所で武闘派が相手だとチンコ潰しに来る」 吸血鬼「現代社会怖い!!」 人間「男女問わずにな」 吸血鬼「怖い…」 #薔薇と吸血鬼と嗜好

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吸血鬼「っていう会話を二年前にしましたよね」 人間「したな」 吸血鬼「最近マタギ仲間に教えてもらったんですけど、チンコ潰しには来ないらしいじゃないですか!!」 人間「あれは比喩だ」 吸血鬼「何のですか!?」 人間「社会的生命の死の象徴だ」 吸血鬼「重い!?」 #薔薇と吸血鬼と嗜好

戚　泰継 @isyutamu

@maturitya 人間「世界を革命する力を!!」 吸血鬼「何ですかコレ」 人間「アミノ酸。これをお前が獲ってきた猪に使います」 吸血鬼「はあ」 人間「すると何ということでしょう!!」 吸血鬼「えっ」 人間「私だけが得する」 吸血鬼「はあ」 人間「以上」 吸血鬼「えっ」

戚　泰継 @isyutamu

「あの、血液じゃなくて涙でもいいらしいんで…」 「アア！？」」 「ヒィッ！　すいませんすいません！」 「よし玉ねぎを持て」 「え……いいんですか？」 「やってみようではないか。だが玉葱の染みる成分が混ざった涙でも絶対飲めよ」 「え」 「飲むよな？」 「えっ」 #薔薇と吸血鬼

戚　泰継 @isyutamu

「……」 「……」 「暑いな」 「暑いですね」 「寝苦しいから何かしてみろ」 「隣の人間は実は吸血鬼ですが」 「ははは片腹痛い」 「笑うところじゃないと思うんですが…」 「貧血になれば涼しくなるか？」 「そういうこと前向きですよね無駄に」 #薔薇と吸血鬼

戚　泰継 @isyutamu

「大体お前ら夏の暑さは大丈夫なのか」 「あ、はい」 「腐ったりせんのか」 「ゾンビと一緒にしないでください」 「人間でも薔薇でも鹿でも良かった奴が」 「フレッシュといたんでるのじゃ大分違いますから」 #薔薇と吸血鬼

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「何故棺を見てるんですか」 「いや、あれにお前ら寝るんだろ？」 「はい、吸血鬼の最後の領地ですから」 「冷蔵庫」 「え」 「チルドルーム」 「やめてください保存庫だけどそうじゃないんです」 #薔薇と吸血鬼

戚　泰継 @isyutamu

「そうか、お前旅先で仕留めた獲物をどうやって持ち帰ってるのかと思ってたが、そういうことか」 「どういう事ですか」 「棺チルド」 「違いますチルド小包です」 「そして自分をチルド棺に」 「合ってるけど違う」 「常温か？」 「えーと……」 #薔薇と吸血鬼