短歌研究新人賞についていろいろ考えたまとめ【2014年版】

2014年度の短歌研究新人賞について、自分のTweetをまとめました。
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久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

短歌研究届いた。受賞作「父親のような雨に打たれて」(石井僚一)は読後感は悪くないな~でもなんか近いものを知ってる気がするな~と。さっき思い出したけどこれでした。bit.ly/1l3GxMm

2014-08-24 03:00:09
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

このCMに関しては、一時代前の父と子の物語で感動させようとしてくる押し付けがましさが好きではないです。石井さんの作品は当たり前ですがCMではないので押し付けとかは感じませんが。「父親のような(略)」はもっとストレートにこのテーマを語っていて、まとまってます。

2014-08-24 03:07:55
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

審査員に指摘されてた細かい言葉の使い方の荒れは、「父と息子」物語における息子の未熟さやひたむきさを逆によく醸し出す。ただ、テーマの掘り下げ方、つまり感傷(浪漫)のポイントはスバルのCMと同じところは出ていない。父の死はそれを強調してる。煙草とネクタイの扱い方もかなり直球です。

2014-08-24 03:22:03
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

読後感が悪くないな~というのは、一時代前と言いつつ直球の「父と息子」物語には感動を惹起されるとこがあるのかもしれない、自分も。先も書いたけどそういう方向ではまとまっているので。あと何かまだあるかもしれないけど、とりあえず以上。

2014-08-24 03:37:39
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

短歌研究の話。以前、本郷短歌会の服部恵典さんが短歌研究新人賞選考会の"性別当てゲーム"を指摘していた(本郷短歌三号)ので、話題にもなったし何か変化があるかなと思っていたけど、作中主体の性別を推測するようなくだりが全くありませんでしたね。

2014-08-24 12:12:15
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

受賞作の「父親のような雨に打たれて」は実は作中主体の性別を特定できる要素は一切ありません。でも、審査員のコメントをよく読むと「無頼派」「ハードボイルド」他、作中主体=男性という前提で話を進めているとしか思えない表現が出てきます。

2014-08-24 12:16:24
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

昨日書いた通り「父親のような(略)」は、王道な「父と息子」物語として読める物です。これは自動車会社がCMで昔から広めてきたメッセージを私も審査員もよく知っているから。ほかにも更に煙草を吸いながら父に素直になれなかったという歌など、「父と息子」の典型を裏切らない。

2014-08-24 12:27:02
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

「父親のような(略)」に対して審査員が作中主体=男性を前提にしているのに、単なる「親子」等と表現している。性別当てをしなくなったのは前進のように見せかけて、そもそも服部さんが批判していた「歌人=男」観はまるで変わってないし、むしろ隠れたなと思います。

2014-08-24 12:34:11

久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

美しい田舎 どんどんブスになる私 墓石屋の望遠鏡/北山あさひ「グッドラック廃屋」 今回の短歌研究新人賞応募作ではこの一首が一番印象的だった。

2014-08-24 12:49:00

久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

今年の短歌研究新人賞の選考会で、北山あさひさんの〈友達の妊婦としてのひとときがきれいだ朝のソファのように〉について加藤治郎が「現代短歌が産む性、産まない性(略)に関してずっと議論してきたところを踏まえていなくて」とコメントしている。(続)

2014-10-23 23:18:35
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

この見解には二点ほど異議があって。一つは、歌が産む性に関する議論を踏まえて作られたか、なんてそう簡単に分かるものではないということ。加藤治郎が議論の歴史にこの歌を位置づけしていないだけだ。この言い方では歌に要因があるかのように取れてしまう。 @okirakunakuma

2014-10-23 23:28:51
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

もう一点は、この歌は産む性に関する議論の歴史に位置づけできるのではないかということ。現在の産む性の歌は、過去の変遷を経た上でこういう形になるのではないかということ。ただちゃんと書くには調べ物が要るので、今は可能性の段階だけど。 @okirakunakuma

2014-10-23 23:35:27
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

初産の話するひとと春の陽のそこにたゆたう雲呑を食う/温井ねむ 白いものが光に変わるはつ夏にあなたはおかあさんになったね/鳥栖なおこ どちらも同人誌「口実」から。モチーフは違うのに北山さんの歌と雰囲気が似ているんですね。

2014-10-23 23:44:19
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

唯一共通なのは「他人(それも近しい人、友人)の妊娠」を見つめている点。雰囲気が似ている原因は、光を感じさせるモチーフによって生じる透明感(誰も座っていない朝のソファ、春の陽のわんたん、光に変わるもの) この透明感は、重要な登場人物である妊婦にも及んでいると考えるのが妥当。

2014-10-23 23:50:04
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

「透明な妊婦」はどこか幽霊めいている。普通は肯定的な雰囲気を出すために使われる「きれいだ」「春の陽」「はつ夏」といったワードだが、これらの歌での解釈は一筋縄ではいかなそうだ。たぶん明らかな肯定でも否定でもない、微妙な心持ちが存在していると思うんだけど、まだ言語化できず。

2014-10-23 23:54:45
久真八志(くまやつし) @okirakunakuma

あとさっきも書いたけど、これらの歌を産む性の議論の歴史の先に位置づけられるか、は調べないと結論出ない。好奇心だけで進めるにはまだ時間かかりそうだなあ、というわけでメモ代わりに呟きました。(原稿依頼があれば別です。誰か依頼ください)

2014-10-24 00:10:43