稲川淳二のつぶやき怪談　2014年8月27日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その時、自分の影の後ろから、ニョキッ、と女の子の影が現れて自分のほうを見た。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『あれっ！』 と思って後ろを振り向いた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

誰もいない・・・・・。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

何か妙な気持になったんですが、和田先生は児童たちのほうへ戻っていったんです。 心配になったから全員を集めて点呼を取りました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

全員揃っているので、問題はなかった、と一安心したんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ただ、自分たちの児童が無事だとしても、すぐ近くでどこかの子供が事故にあったりしたら、後味が悪いですから、 他の引率の先生に断ってもう一度、淵を見にいくことにしたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

少し高見から深い淵を、じーっ、と見たのですが、全く誰の姿もない。 見下ろすと深い青緑色の淵が見えるだけです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

じーっ、と見ていると、今にも淵の中から、 “ニュッ！” と、白い手が出てきて自分の足首を掴んで、 “ググッ！”

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、引きずり込まれそうな、そんな錯覚を起こす少し不気味な深い淵なんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

和田先生、また児童の所に戻ってきて、しばらく遊んでから、 「お～い、みんな引き上げるぞ！」 今夜、宿泊する宿に向かったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

宿に帰る時、子供たちが和田先生に、 「知らない小さな女の子が自分たちに混じって遊んでいたよ」 と、あどけなく言ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「え、知らない小さな女の子が遊んでいたの？」 少し驚いた和田先生。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『あぁ、そうか。お爺さんの言っていた女の子って、その子だったんだな』 と思ったんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『初め、その女の子は淵で遊んでいて、お爺さんに注意された』 『自分が淵に行った時、その女の子はすれ違いに戻っていて、うちの学校の子供達と遊んでいたんだ』

稲川淳二 @Junji_Inagawa

『だからその女の子はいなかったんだ』 そう思って納得したんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

宿に戻って夕食も終わって、自由時間になったので、和田先生は他の先生方と一緒にくつろいでいました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

すると３人の子供がやってきて、 「昼間、川にいたあの小さな女の子が、今、遊びに来ているよ」 楽しそうに教えてくれたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

よく聞いてみると、その知らない女の子は、土田さんという大人しい子供と一緒に遊んでいると言うんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

和田先生、こんな時間に小さい子供が遊びに来るなんて妙な話だな、と思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「すみません。ちょっと見にいってきます」 他の先生に断って、教えてくれた子供たちの部屋に行ってみたんです。 でも、そんな女の子はどこにもいないんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

土田さんを呼んで、聞いてみると、 「昼間ね、川原で私に言ったの」 「後で遊びに行くねって」 「だから私も、うん。と答えたの」 そう話したんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

更に詳しく聞いてみたんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

土田さんが夕飯が済んで皆と遊んでいると、 「来たよ」 と声がしたので振り向いたら、どこから来たのかわからないけど、そこには昼間遊んだ小さい女の子がいたそうなんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして、しばらく自分と一緒に遊んだ。 そう和田先生に話したんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「その子はどこにいるんだい？」 「今、帰ったよ」 和田先生、妙な気がしたので外に飛び出していった。