1943 ザ・バトル・フォア・ミッドウェイ#1

2014夏イベSS、はじまりはじまり。
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劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

2014-08-27 20:30:17
劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss を使用していただけると大変ありがたいです。宜しければ暫くの間、お付き合い下さいませ)

2014-08-27 20:31:22
劉度 @arther456

【1943 ザ・バトル・フォア・ミッドウェイ】#1

2014-08-27 20:33:13
劉度 @arther456

夜のミッドウェーが、曳光弾によって照らされている。日没と同時に仕掛けてきた敵に対する砲火は、深夜になっても止むことはなかった。「空母棲鬼、更に接近!」『接近戦に持ち込む気か!?赤城、なんとしても止めろ!』進路上の佐世保11地区大将が、麾下の艦娘に命を下した。 1

2014-08-27 20:34:08
劉度 @arther456

「了解!」夜間戦闘仕様の赤城が艦載機を射出。黒い烈風改が、夜空を駆ける白い深海の艦載機を迎え撃つ。その空戦の下をくぐり抜けて、空母棲鬼が猛烈な勢いで突撃してくる。「提督、空母棲鬼はミッドウェー島へ上陸するつもりです!」『通すな!中間棲姫はもうすぐ封印できる!』 2

2014-08-27 20:35:53
劉度 @arther456

「分かっていま……きゃあっ!」赤城に砲撃が着弾!空母棲鬼からの直接砲撃である!「誘爆を防いで!」慌てふためく赤城の横を、空母棲鬼は通過!ミッドウェーは目前、だが。「……ッ!」突如、空母棲鬼が方向転換!そして目の前の水面に副砲を撃ち込む。KBAM!何もないはずの水中で爆発! 3

2014-08-27 20:39:18
劉度 @arther456

「気付かれましたか」背後から声。空母棲鬼が振り返ると、闇の中で青い目が光っていた。「機雷か」「ええ」空母棲鬼は誘い込まれていた。赤城を突破し勢いづいた彼女は、半円状にばら撒かれた機雷群に入りかけていた。そして後ろから現れたのは、三隻の艦娘。 4

2014-08-27 20:42:33
劉度 @arther456

「島を取り返しにくることは分かってたよ」呉12地区所属、軽巡・川内。「だから、昨日のうちから罠を張らせていただきました」佐世保2地区所属、駆逐艦・綾波。「後はこの場で仕留めるだけです」そして横須賀33地区所属、駆逐艦・不知火。夜戦特化した艦娘たちであった。 5

2014-08-27 20:45:48
劉度 @arther456

「仕留める、だと?」空母棲鬼の周りに、白い球状艦載機が集まってくる。「思い上がるな、雑役艦どもが。私は機動部隊の中核だ。夜闇に紛れて怯えるネズミ風情が、我が最強の航空部隊を止められると思うなっ!」空母棲鬼が腕を振るうと、艦載機たちが一斉に襲いかかった! 6

2014-08-27 20:49:02
劉度 @arther456

不知火たちはすぐに散開!川内と綾波が空母棲鬼を挟み込みつつ砲撃する!「効かん!」だが空母棲鬼の装甲が、砲弾を弾く。二人もそれは分かっていた。故に砲を撃ちつつ肉薄し、雷撃戦の距離に潜り込もうとしている。 7

2014-08-27 20:52:22
劉度 @arther456

「おおっとっ!」もう少し、と思った所で川内に爆撃機が襲いかかった。方向転換し、爆撃を回避。代わりに空母棲鬼が遠くなった。航空部隊の壁は厚く、川内も綾波も攻めあぐねている。その間隙を縫って、不知火が肉薄!空母棲鬼が砲を向けるが、砲塔の上に飛び乗る! 8

2014-08-27 20:54:53
劉度 @arther456

「沈め」不知火が砲を撃ち込んだ。「ぐぅっ……ガァァッ!」胸部に砲弾が直撃したが、空母棲鬼は歯を食いしばり不知火を振り払う。砲塔から飛び降りた不知火は太腿からナイフを抜き、空母棲鬼に斬りかかる!空母棲鬼は自身の艤装の滑走路を一本引き抜き、大剣のように振り回してこれを受ける! 9

2014-08-27 20:59:17
劉度 @arther456

ギィン!闇夜に、赤い火花が散る。ナイフと大剣の鍔迫り合い。「中間棲姫の封印はもう終わる。観念しなさい」「こんなことで……勝ったと思っているのか?可愛いなあ」「何?」「ミッドウェーに全力で出撃して、得るのは島一つ。変わらない。お前たちは何一つ変わっていない」 10

2014-08-27 21:02:30
劉度 @arther456

「索敵の失敗、慢心、司令官の不調、僅かな天候の変化、筒抜けの暗号……お前たちがどれだけ頑張ろうと、運命の糸はお前たちを敗北へと手繰り寄せる」ギリ、と空母棲鬼の大剣が不知火に迫る。「何よりもここには、最強の私がいる。勝ち目はない。無駄なのよ、貴方たちの試みは」 11

2014-08-27 21:05:43
劉度 @arther456

「それが?」迫る大剣が、止まった。「何?」「それはあなたの推測です。我々は、勝つためにここに来たのですから」「聞いていなかったのか?お前たちが負けるのは、運命だと言ったんだ」「その運命は誰が決めたのですか?」「それは」空母棲鬼が口ごもる。その綻びに、不知火は斬り込んだ。 12

2014-08-27 21:08:58
劉度 @arther456

「我々は勝ちます。索敵に失敗しようと、手の内が知られていようと。その強さを持っていますから」ナイフを握る手に力を込める。鍔迫りを、押し返す。「運をねじ伏せる力などあるものか!私たちだって、正面からやりあえば勝っていた!ただ、偶然が……」叫びかけた言葉を、彼女は飲み込んだ。 13

2014-08-27 21:12:27
劉度 @arther456

道化の拙い芸を見るような、哀れみの視線を向けられていた。「何だ、その目は」少しでも遠くに追いやろうと、更に腕に力を込める。だけど動かない。「何を言い出すかと思えば、言い訳ばかり」溜息に続いて、不知火は言った。「あなた、弱いのね」 14

2014-08-27 21:15:56
劉度 @arther456

その瞬間、不知火は腕から力を抜き大剣を受け流した。感情的に押しまくっていた空母棲鬼は、前につんのめる。その無防備な首筋に、不知火は一遍の慈悲もなく刃を突き立てた。「あぐッ!?」喉から刃が飛び出る激痛に苛まれながらも、空母棲鬼はナイフを引き抜き、投げ捨てる。 15

2014-08-27 21:19:18
劉度 @arther456

「貴様……ッ!?」ドウッ!怒りに震える空母棲鬼の背中に、砲弾が命中!「やーりましたぁー!」航空機を潜り抜けてきた綾波の一撃だ!振り返ろうとした空母棲鬼の視界に、ピンク色の光が目に入った。闇夜に淡くはためくマフラー、その持ち主は綾波と共に空爆の中を駆け抜けてきた川内! 16

2014-08-27 21:22:39
劉度 @arther456

「さあ、私と夜戦しよっ!」その手に持った魚雷を投げつける!「舐めるなぁ!」空母棲鬼は魚雷を打ち払う。しかしその魚雷を追って踏み込んだ川内がサマーソルトキックを放つ!「がうっ……っ!?」空母棲鬼の体が跳ね上がる。そこに不知火の砲撃!鬼の体が海面に叩きつけられる! 17

2014-08-27 21:25:42
劉度 @arther456

やったか、と思う間もなく、空母棲鬼は立ち上がった。その体は、仄かに赤く輝き始めている。「ぐうっ……認めない……認めないぞ……!」頭から血を流しながらも、空母棲鬼の殺意は止まらない。いや、むしろ増している!「沈め、沈めェッ!」雄叫びと共に不知火たちに艦載機が迫る! 18

2014-08-27 21:28:55
劉度 @arther456

川内の直上から、敵機が急降下!「当たらないよっ!」投下された爆弾を、川内はバックステップで回避する。だが!「きゃあっ!?」頭上に衝撃、爆発!「川内さん!」「いたた……何!?」思わず見上げると、爆弾を投下した艦載機が、そのまま体当りしようとしていた。 19

2014-08-27 21:32:12
劉度 @arther456

「チィッ!」不知火が舌打ちして、特攻機に対空砲を撃ち込む。機体は爆散したが、次々と新たな機体がイナゴの如く三人に殺到する!その隙を縫って、空母棲鬼が彼女たちの横を通り過ぎた。「待てっ!」川内が追おうとするが、特攻機の群れに阻まれ届かない。空母棲鬼は機雷原を突破! 20

2014-08-27 21:35:52
劉度 @arther456

「私は!私たちは!まだ負けていない!」遂に空母棲鬼がミッドウェーの土を踏んだ。艤装が大きく傾く。元々陸上用では無い上に、さっきの一瞬で綾波に撃ち抜かれていた。長くは持たないだろう。だがそれでも、彼女は前に進む。「負けない限り、私たちの戦いは終わらない!」 21

2014-08-27 21:39:06
劉度 @arther456

助けたい人がいた。栄光の機動部隊を共に率いて、同じ海で沈んだ人がいた。それから百年の時を経て、彼女は陸に、私は海に蘇った。決して交わることの無い2つの場所から、言葉を交わすのが精一杯だったと思っていた。だけど今なら、手が届く。彼女の手を掴んで、ここから抜け出せる! 22

2014-08-27 21:42:30