ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/11/22

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
0
みんなのくにこ @qbllldp

私は死んだ。車にひかれて即死。高校の入学式当日に、しかも校門の前で。こんな最悪なことあってたまるか。頑張って受験勉強したのに、まだ15歳なのに。どんどん体が宙に浮いていく。町が小さくなっていく。大気圏を通り過ぎていく。地球って案外綺麗じゃん。そして私は消えていく #twnovel

2010-11-22 00:11:10
グモグモ @_muuuu_

#twnovel 一鳴きする声がする。蛇のように身体を器用にくねらせながらこちらへやってくる。私はそれを抱き上げてやるのだが、それがまた可愛らしい姿をしている。もう一鳴きして、関節から下の無い前脚を動かしている。それがまた可愛らしい猫である。

2010-11-22 05:01:01
たくわん @takuwan_takusan

コンビニの中華まんは外で食べるからこそうまいんだよ、と力説する彼の自転車に乗せられて深夜のコンビニへ向かった。ところが中華まんのほとんどは準備中で、私たちはひとつだけ残っていた肉まんをはんぶんこして食べた。彼の顔を眺めながら、これはこれでありかなと私は思った。 #twnovel

2010-11-22 06:27:16
@uo_uo_uo

#twnovel ぱたぱたと降り注ぐ雨の音が聞こえた。雨、きっとあの子は今朝も機嫌が悪いのだろう。私は身支度を素早く終わらせて電話をしてみた。案の定、あの子は不機嫌である。「お願い機嫌直してよ。雨、嫌でしょ?」そう言うとあの子は少し笑って、分かったと機嫌を直した。雨はやんだ。

2010-11-22 06:39:19
もち @kochi_192

「何で冬ってあるんだろう。寒いし風は強いし最悪だ。鍋とおでんと肉まんが美味しくて空が澄みわたってて、炬燵にミカンとアイスが堪らなくて雪が降る夜と明け方の一面の銀世界が美しくなけりゃ、冬なんていらないよな?」「お前が冬が大好きって事はよく分かったよ」 #twnovel

2010-11-22 08:46:02
hua @hua_shancha

「丸の内線のダイヤの乱れは私の心の乱れなの」毎日寡黙に働く彼女が洩らした本音だった。「いつになったらあなたと一緒になれるのかな」都営三田線である僕は彼女といつになっても一緒になれない互いの家柄を憎んだ。目の前に敷かれたレールが少し冷たかった。 #twnovel

2010-11-22 10:59:43
みゃあ @myahuu

「ここで限界か」奥とは言えないが床下の土に身を横たえた。死ぬ姿を見られたくない。それが最後の望みだった。皆、探しているか、それだけ気がかり。探さぬがよい。泣かぬがよい。だが、そのための方法など知らぬし、知っていたにせよ、一介の老描になす術はなかった。眼を閉じた。 #twnovel

2010-11-22 11:18:54
中村ヘボピー @hebop_

個室に入りポケットを探る。取り出したのはマッチ箱。何年ぶりか。そういやトイレの臭いを消すなんて使用法もあったな。擦ってみると懐かしい匂いがした。個室から出ると外が騒がしい。中学生がトイレから異臭がすると通報したらしい。そうか、今の子はマッチの匂いを知らんのか。 #twnovel

2010-11-22 12:10:01
@yuki_doke

#twnovel 妻と母校を訪ねた。授業風景を見学しようと、お互いが過ごした教室に向かう。当然だが私が座っていた席には知らない少年が、妻が座っていた席には知らない少女がいた。少しだけ寂しい。ふと2人が先生に隠れて手紙のやり取りをし始めた。昔を思い出し、隣にいる妻と微笑んだ。

2010-11-22 14:02:33
くすき るか @yellow2_happy

数カ月分のお小遣いを握り締め、箱にある情報だけを頼りに中古ソフトを探ってた。中に入っている知らない誰かのセーブデータでさえ楽しみの1つだった。クソゲーでも数カ月分のお小遣いで買っただけに何度も諦めては再開してた。あの頃のドキドキは、今ではもう取り戻せない。 #twnovel

2010-11-22 14:03:47
みずしま @aya_mizushima

短歌が趣味なので、題材を求めてついあれこれ観察してしまうんだ。以前にそう言っていたけれど、それにしても彼の視線は私の手足に集中しすぎていやしないか。これではまるで──いや、意識しすぎている私の方がおかしいのだ。変な態度、略して変態だ。彼を疑うなんて馬鹿げている。 #twnovel

2010-11-22 15:33:56
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel 彼女は中学の時から20年近く食パンを買っていく。たまに調理パンを勧めても「これがいいんです」と言う。ある日、いつもと違う道を歩くと十字路の影から人が飛び出た。驚く私が見たのは昨日買った食パンを口に挟んだ彼女。20年続けても運命の衝突はないようだ。

2010-11-22 15:46:30
ジュン @jun50r

#twnovel ゆとり世代が壮年期になった頃。「先輩、仕事で失敗しちゃいました…」「大丈夫。その位、俺がカバーしてやるよ。俺はゆとり世代だからな」そう。ゆとり世代はバカにされた悔しさを糧に、他の世代よりずっと努力をした。「ゆとり=気持ちに余裕のある頼れる存在」を勝ち得たのだ。

2010-11-22 18:03:49
layback @laybacks

昼間の喧騒が嘘のように町は静まり返っている。冷たい月に照らされた目抜き通りにひとけはまるでなくただ道端に1匹の黒猫だけがしなやかな影を伸ばしていた。泥棒のポンテは黒猫にぼやく。「どの家に忍び込んでも目ぼしいものは見つからなかったよ」また勇者に先を越されたようだ。 #twnovel

2010-11-22 18:28:02
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 寝たきりだった夫が、ようやく床を離れた。だが今度は徘徊が始まる。目を離すとどこへ行くか分からない。押さえると泣きわめき暴れる。疲れ果て、私は母にすがった。「夫婦だから自分で、などと意地を張って」母はころころと笑って諭す。「婿どのはまだ2歳。仕方ありませんよ、姫」

2010-11-22 18:38:56
ジュン @jun50r

#twnovel 有名な猫屋敷を覗いてみた。確かにスゴイ数の猫を飼っている。壁紙から調度品、装飾品にいたるまで、あらゆるものが猫をモチーフにしていた。住人も猫耳をつけ語尾にニャ~までつけている。さすがだ。と、宅配便業者が荷物を受け取りにきた。佐川急便だった。惜しい!

2010-11-22 18:43:15
Shimada Yuichi @chimada

パソコンで物を書いているとき、しばしば猫がキーボードの上に寝転がってきた。非常に邪魔だったので、彼女とキーボードをくっつけて、「キーボード猫」にした。それから私は物を書くとき、まずは彼女を捕まえることから始めなくてはならなくなった。マウスに釣られてくれるかな。 #twnovel

2010-11-22 19:09:57
小高まあな◎11/11文フリさ-03〜04 @kmaana

「私メリーさん、今貴方の家にいるの」「私メリーさん、今貴方の隣にいるの」そして羊のぬいぐるみが頬に押し付けられる。「私メリーさん」「メリーさん羊じゃなくね?」小さく呟く。無視された。「今貴方にしてほしいことがあるの」彼女が微笑む。私メリーさん、今貴方との距離は0 #twnovel

2010-11-22 20:26:35
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 「綺麗な満月だよ。花鳥風月といって、昔は花と同じ様に月を愛でたのに現代の日本人は風流ってものを忘れてしまったね。こんなに人がいるのに誰も月を見ていない」「当たり前よ。あなただけよ、そんな事を言っているの。みんなクリスマスのイルミネーションを見に来てるんだから」

2010-11-22 21:03:53
德薙零己 @rtokunagi

#twnovel 「え? セーター300円、ワイシャツが200円!」「な、言ったろ。スーツだって1000円しないんだぜこの店。デフレもここまできたってことだ。」「そうだな、ここで買っていくか?」「だな。」 そう言うと二人はクリーニング店に入っていった。

2010-11-22 21:20:49
藍 真史 @shin1960

#twnovel 大学に合格して上京した。ひとり暮らしを始めてしばらくすると精神を病んだ。もともとそうした病に興味があったが、自分が当事者になるとは想像もしなかった。帰省したおりに親父に打ち明けた。真剣な面持ちで聞いていた親父は湯のみの酒を飲み干して言った。遺書は書いておけよ。

2010-11-22 22:59:42
@yuki_doke

#twnovel 明日は結婚して1年目。妻を連れて旅行に行く。「ねえ、あなた。大事な話があるの」深刻な顔をした妻が言う。「明日のお弁当、おにぎりにするわ」なんだそりゃ、と思いお茶を飲む。「それと、どうでもいい話しなんだけれど」なんだよ言ってごらん。「子供が出来ました」むせた。

2010-11-22 23:56:20
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel 担任の教師が児童たちに話す。「明日の遠足、おやつは500円以内ですよ」。児童が手を挙げて聞く「バナナはおやつに入りますか?」「入ります」。もう一人の児童が手を挙げる「プチトマトはおやつに入りますか?」。この児童が後のプチトマト刑事になることを、まだ誰も知らない。

2010-11-22 23:58:02