不知火に落ち度はない その17

yamoto @yamoto

「逆探知とか、かけられたらいいんだがな。お前番号知らないのか？」 「何故私が、陸奥の男と連絡用の電話番号まで知っておかなきゃいけないんだ」 「知ってそうだと思っただけだっつの」 「そういうのは踏み込まないのがマナーだろうに」 メスゴリラの機嫌ダウン。 #不知火に落ち度はない

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「あー……陸奥なら一応ほら。前科ありまくりだし」 『それでプライバシーを侵害する理由になるのですか？』 「そうだな。必要かも知れないが感心しない。ごく当たり前の様に言うことではない」 『司令はまるで当然の様に言いましたからね』 おい、おまえら。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「さて……ん？ 司令。まずいぞ」 「何がだよ」 「陸奥から連絡帰ってこなくなった」 「うっそ。早くね？！」 これ以上スピードでねえぞ。 どうすんだおい。 #不知火に落ち度はない

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「何か思い当たる節とかねえか？」 「そうポンポン言わないでくれ。何でもわかるわけじゃない」 「しかたねえ、気はのらねえが先に詐欺人確保しとくか？」 「鷺沼の住所か。特定できたのか？」 『特定済です。司令のスマホに地図を転送します』 「頼む」 #不知火に落ち度はない

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「ほい。ナビよろしく」 「どれ。ふむ？ 何か別件で気になるメールがあるな」 「は？ なんだよ急に」 「連絡回数がやけに多いアドレスがある。浜風……？」 あかん。 それを開いてはいかんぞ、長門。 「見て良いか、司令？」 『許可します』 おま。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「たいしたことじゃねっつの。それより、地図」 「ふむ。不知火との連絡回数と比較したいな」 やめて。ちっこいドーベルマンが何か見たがりそうだから。 『許可します。どうぞ続行を』 「陸奥の事が最優先だろが」 「ではまた今度で」 二度とねーよ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「三番町についたら指示する。司令、急いでくれ。嫌な予感がする」 「とっくにしっぱなしだよ、こちとら。どっからかトレーラー調達とかしてねえだろな」 「さすがに陸奥はそこまで器用じゃないはずだ。せいぜいレンタカーだろう」 「デスハイエースとかマジ勘弁な」 #不知火に落ち度はない

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そうして三番町に向けて俺は高速を下りる。 向かった先でトレーラーが突っ込んでこないことを祈るぞ。マジで。 あいつ大型の免許持ってるからな。 運転は恐ろしく下手だけどな。 鬼が出るか蛇が出るか。 そんな気分になりながら、鷺沼宅へと向かうのであった。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ここからは歩きだな。あとそろそろ返せ、俺のスマホ」 「路駐で大丈夫か？司令。レッカーされたら笑えないぞ」 「とっくに不知火が連絡済だ」 長門からスマホをひったくり、俺は地図を再度確認する。 ここから歩いて数分。奥まった場所に、奴の自宅はあるらしい。 #不知火に落ち度はない

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陸奥の姿は、今のところ確認できてない。 自宅はというと……おい、フツーに一軒家だぞこれ。 マンションかと思ったら、なんだこの儲けっぷり。 「これでマンションとか買ってたら笑うしかないな」 「そこまで節穴だとは思いたくないが──ん？」 なんだよ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

俺は庭付き一軒家というブルジョワジーに対して一発二発はくれてやる気満点なんだが。 「インターホンを押すのはちょっと待った方がいいぞ」 「なんでだよ」 「庭に圧力釜が置いてある」 ──は？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

言われてみると。 確かに一つ、二つ、三つ、四つ。 まるで庭でパーティやった後みたいに、圧力釜が不自然に置かれている。 それだけならいいんだが。 なんかガムテープ巻かれてんぞ。この圧力釜。 #不知火に落ち度はない

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「司令。パチンコ玉の気配とか感じないか？」 「俺をパチンコ玉センサーにするな。だが、多分ビンゴ」 わーい。クレイモア地雷（お手製）置いてあるよー。 ご家庭にあるものとパチンコ玉で簡単に作れます。 お前民間人の家になんてことしてんだ陸奥ー！！ #不知火に落ち度はない

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「で、どうするよ？」 「センサーが仕込まれてる可能性はあるな。司令、足に自信は？」 「１００mを１０秒フラットで走れても無理だっつの」 くっそ。爆発物処理班とか呼びてー。 でも呼んだら100％大事になるー。 内密に処理する自信ありません、俺。 #不知火に落ち度はない

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「艤装でもあれば話は早かったんだけどな」 「それができねーから、俺が出てきてんだろ」 「不知火はどうなんだ？」 「下手こいて大怪我させたくねー」 「無線が通じてれば良かったのにな」 やです。 こういうの本人に聞かれたくねっつの。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「結局の所どうする？」 「どうするもこうするもな。ゴム弾で信管の誤動作狙うか？」 実弾に切り替えて撃ってもいいが、市街地でそれはまずかろう。 揉み消すのに苦労する。 「とりあえず立ち入り禁止テープ張るぞ」 「既に持ってきてある」 流石。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

こういうことやっとかないと、近所の住民がこんにちわしてくるからな。 いわゆる結界作成ってやつである。 難点は、人員を用意しないと報道が飛び込んでくるんだが。 さて、優秀な秘書艦にお電話っと。 「不知火」 「浜風さんの通信記録ですか？」 おい。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「冗談です」 「こんな状況でよせ」 「うっかり漏らしませんか」 「やましいことはなんもしてねー」 「では見せて貰えるのですね」 「プライベートだっつの」 何故そこにこだわるお前。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「で。人員配置頼めるか」 「まさか。すでに手遅れだったんですか」 「縁起でもねーこと言わないの。お手製クレイモアがお庭に置いてある」 「リアルボンバーマンですか。呆れるほどの危機的状況ですね」 言うなよ。自分でもかなーりまずいと思ってる。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「時限信管の可能性は？」 「多分ない。センサー仕込みか振動感知だろ」 「良くそんな物を用意できましたね」 「見たところ、家庭用品売り場とかで調達できるもんばっかじゃないか？」 「……」 ん？ 何を黙り込んでるんだ不知火。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「司令。庭のクレイモア範囲外にホースありませんか？」 「ホース……？ まあ、あるかもだが」 「なければバケツでも構いません。水をかけてみてください」 「……あ、なるほど。防水性能はねえよな普通に」 やっべ不知火頭いいなお前。 後で頭を撫でてやろう。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「じゃ、万一に備えて人員配置よろ」 「わかりました。司令、ご無事で」 「土産に陸奥のこってり絞ったの持って帰るわ。留守番頼む」 「了解です」 さって、準備OK。 早速作業開始するか。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「じゃ、長門。不知火提案の水ぶっかけ作戦を行うとしよう。お前のメスゴリラ腕力の出番は今回ねーわ」 「私より腕力あるくせに良く言う。平和的に済みそうで何よりだがな」 ホースホースっと。 ぱっと垣根を越えてホース確保。 あとはぶっかければほぼ無力。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

……と思ってたんですけどね。うん。 ホース持った瞬間、トスって音がしたんですよ。 そっちの方見てみると、あるんですよ。 芝生の上に、突き刺さった クロスボウの矢。 では、もう一度ご覧頂こう。 クロスボウ。殺傷力が案外高いお手軽武器である。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「邪魔はさせないわ」 飛んできた方向を見ると、そこにいらっしゃるじゃありませんか。 うっすら笑う陸奥のお姿が。 手持ちのクロスボウは再装填済、いつでもこっちを撃てますモード。 おいむっちゃん。 俺に当たったら大惨事じゃないっすかこれ。 #不知火に落ち度はない