「形式」に支配される思考の危険性について 《山崎雅弘》

表題に関連するツイートをまとめてみました。国内の政治における「形式」と「実質」の乖離が進む中、その乖離すら問題視されずに「形式」というフィクションだけが先へ先へと進んでいく。かつてこの国を滅亡の淵へと導いた時と同じ構図が、亡霊のように立ち上っているように思います。
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

終戦直前に鈴木貫太郎首相がポツダム宣言を「黙殺」したのを「無視(Ignore)」と訳されたのは誤訳だ、と主張する人もいるが、海外メディアは「黙殺」の二文字ではなく「日本は降伏せずに戦争を続ける」という声明全体の趣旨から判断して「無視」と訳した。形式ではなく「実質」でそう判断した。

2014-08-14 15:36:25
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦争中も現在も、実質ではなく「形式」にこだわりすぎて問題の核心を読み誤る、という事例は少なくないと思う。慰安婦問題にしても、国連人権委員会や人権問題に敏感な第三国は実質としての「人権侵害」に焦点を当てているのに対し、日本政府とその支持者は「公文書の有無」という形式だけで思考する。

2014-08-14 15:37:44
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

実質ではなく「形式」にこだわりすぎるというのは、悪気があってそうしているのではなく、教育制度も就職採用でも「形式」が絶大な威力を持つ社会への「適応力の高さ」という側面があるのかもしれない。役所の窓口もメディアの記者も、相手が「形式」を整えていれば、「実質」には一歩も踏み込まない。

2014-08-14 15:38:50
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

人種差別撤廃条約の順守状況を点検する国連の人種差別撤廃委員会の対日審査会合が20日、ジュネーブで開催(時事)bit.ly/1nanyex「人種や国籍などによる差別を街宣活動で煽るヘイトスピーチについて『暴力的だ』として、日本政府に早期の法規制を求める声が相次いだ」

2014-08-21 12:50:33
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)ケマル委員(パキスタン)「(人種差別的なデモに対し、日本)政府は具体的にどのような対策を取ったのか」 バズケス委員(米)「暴力的な威嚇で言論表現ではない。(規制は)表現の自由に抵触しない」 日本政府「憲法で保障している表現の自由を考慮し、慎重に(対応を)検討している」

2014-08-21 12:51:37
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「実質的に暴力と同じ」と、問題の「実質」を問われているのに、相変わらず「形式」を整えて逃げることしかできない。実質で「表現の自由」に抵触しないと指摘されても、形式的な「表現の自由」に逃げる。「実質」に「実質」で反論していないので説得力がなく、卑怯な逃げ口上で話をはぐらかしている。

2014-08-21 12:52:52
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

元防衛大臣の森本敏拓殖大学特任教授など、法案を肯定する人は「行政が恣意的に悪用する心配はありません」などと断言するが、その断言には何の「実質」の裏付けも存在しない。震災の復興予算25兆円が、「実質」としてどんな事業に流用されたか。参考:bit.ly/1vygNsB

2014-08-24 13:31:39
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

何の「実質」の裏付けも存在しない「することはありません」という断言は、首相も集団的自衛権行使容認問題などで多用するが、裏付けが無いという事実を記者が質問で指摘するのを見たことがない。実質でなく「形式」で物事を処理する世界では、「実質」の裏付けがあるのか無いのかすら問題にされない。

2014-08-24 13:33:11
SDGsカードゲーム研修福岡@オンライン研修・講演も開催中 @sdgsgame

川内原発避難計画に関する原子力規制委珍回答 Q. 避難計画内容や実効性は誰が確認? 規制庁 喜多充氏・野田太一氏:国は防災基本計画に沿っているかを確認するだけ。 実効性・合理性は確認しない goo.gl/It3eBz pic.twitter.com/mTfYeVUwAc

2014-08-25 12:01:04
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SDGsカードゲーム研修福岡@オンライン研修・講演も開催中 @sdgsgame

川内原発避難計画政府交渉での珍回答 Q.要援護者の避難は最優先では? 喜多「要援護者の病状は日々変わるから計画は必要ない。事故が起きた時に対応する」 規制庁:高野明・喜多充・関口澄夫 経産省:和田啓之  (2014/8/21) pic.twitter.com/E5IcDwlWKJ

2014-08-26 06:53:19
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

政治家を含む公人が、政治的に問題のある発言や行動をした時「あれは私人としての個人的な行動・発言です」という形式だけの弁解が、日本では当たり前のように通用しているが、他の国で同じような言い逃れをしていた例はちょっと記憶にない。ジャーナリズムが機能する国では、たぶん通用しないと思う。

2014-08-28 12:25:06
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

例えばドイツの首相や大統領が、第二次大戦後に戦犯として処刑された親衛隊(SS)指導者を「戦争殉難者」として追悼する式典に賛同書簡を送って「あれは私人としての行動なので首相や大統領の職務とは無関係」と説明しても許されない。公人の行動の責任は、私人という仮面を付け替えても変化しない。

2014-08-28 12:26:14
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本では閣僚の靖国神社参拝での「私人なので問題ない」という形式的な論点すり替えに記者も国民も馴染んでしまい、形式さえ整えれば公人の行動責任は消滅するという既成事実が出来てしまっている。自衛隊の幹部が制服制帽を着用して団体で旧軍司令官の墓を詣でる行事も「私人の行為」で許されている。

2014-08-28 12:27:17
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「形式と実質」は「建前と本音」の関係に似ているが、後者は建前と本音の両方を意識した上で使い分けるのに対し、思考を「形式」に支配された人間は「実質」を意識する必要性を全く感じず、形式だけで思考が完結する。原発事故のような人の命が懸かる重要局面でも、形式だけで物事に対処しようとする。

2014-08-28 12:30:25
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

表層の「形式」さえ整えれば、それで現実をコントロールできると思い込む思考は、先の戦争で日本が悲惨な敗北を喫するに至った重要な原因の一つだったと思う。戦陣訓という「形式」のために兵士に自殺的行動を強い、実質として兵力の損耗加速でより敗北に近づいても「形式」さえ整えば問題視されない。

2014-08-28 12:31:32
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本人は他国人よりも著しく優れているという「傲慢さ」と、組織や集団のエリートとされる人々に好都合な「形式」だけで完結する思考を組み合わせた結果が、この国の歴史でも特異とさえ言える、1930年代から1945年8月の日本だったと思う。外交も戦争も「実質」から目を背けて失敗を重ねた。

2014-08-28 12:34:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦争や大きな人災のような出来事が起こった時、政府指導部や行政機関の人間が「実質」に対処する必要性を考えず、表面的な「形式」さえ整えれば現実をコントロールできると思い込む思考に支配されていれば、失われる人命の数は増大する。手遅れにならないうちに思考回路の「バグ」を修正すべきだろう。

2014-08-28 12:35:56
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「実質ではなく形式を絶対的に優先する思考を子供に植え付け、形式に思考を支配された人間を大量に作り出すため」としか思えないです。一見すると「どっちでもいいじゃない」程度の問題に見えますが、実はとても危険な弊害を生む「思考の矯正」だと思います。@kenichiromogi かけ算順序

2014-09-01 12:39:04
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

数年前までなら、一発で議員や公職の地位を失っていたような言動でも、今は「形式」さえ整えれば大手メディアは批判をそこで停止してしまう。「あれは彼の個人的意見」等の「形式」を提示されて思考を止める記者を見ると、会社の中でもその種の「形式」で物事が動いているんだろうかと想像させられる。

2014-09-03 13:21:14
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「実質」では女性の権利拡大に反対の主張をしてきた女性議員ばかり閣僚に任命して「女性議員の割合増加=女性の活躍」という「形式」を整える。これほど国民の知性を愚弄する「実質と形式の乖離」は無いと思うが、国民の側での「愚弄されている」自覚も驚くほど低い。形式病はますます重症化している。

2014-09-04 12:34:55
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日清・日露戦争当時の日本の指導部が、今の価値判断基準でベストだとは思わないが、少なくとも「形式」ではなく「実質」を冷徹に見据えて内外の問題に対処する姿勢はあったと思う。「実質を見据えることに重要な意味があると認識できた」という意味で、当時の日本政府は愚かではなかったように見える。

2014-09-06 13:22:12
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

だが「当時の日本人が実質を見据えることの重要性を正しく認識できたから」ではなく「日本人は元から優秀だったから」日清・日露戦争に勝てたのだ、という勘違いが、昭和前期の日本で一般化した。そして「実質」を見る価値を認めず現実に「形式」で対処した結果、国は孤立・暴走し、戦争にも大敗した。

2014-09-06 13:23:20
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦後の日本人は、そのような戦前・戦中の「傲慢さ」が間違いだったと反省し、再び「実質」を見据えて自国が他国に劣っている面を勤勉さと誠実さで一つずつ補い、大国という地位に復帰した。そして今「日本人は元から優秀だったから」大国なのだ、他国から尊敬されるのだ、という本が書店に溢れている。

2014-09-06 13:24:25
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

既にある「形式」への順応性の度合いで「優秀さ」が評価される組織で、参加者が増えて出世競争が激化すると、より徹底して思考を「形式」に適合させた人間が競争に勝ち、思考を「形式」に支配された人間ばかりを濃縮した塊が組織の中枢部に形成される。「優秀」なはずなのに、なぜか大失敗を繰り返す。

2014-09-06 13:25:46
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「形式」思考の最大の弱点は、言葉を操作して「形式」を作り替えられると、現実認識もそれによってリロード(更新)されてしまうこと。「形式」は言葉の組み替えで簡単に操作できるが、「実質」を見ずに「形式」しか見ていないと、例えば長州のローカル神社が国家施設にすり替えられても認識できない。

2014-09-06 13:27:00