【第三部-弐.伍】誰かを見つめる大鯨と新婚三択 #見つめる時雨

大鯨(龍鳳)×時雨
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大鯨(龍鳳)視点

とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「第一艦隊が帰投しました」 今日の秘書艦である山城さんの綺麗な声がスピーカーを通して鎮守府内に伝わります。私は食堂でその放送を聞き、準備をしていた夕食の仕上げにかかりました。今夜の献立は中華。メインは大鯨特性麻婆豆腐です。

2014-09-17 21:01:09
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

夕食の時間はとうに過ぎていて、間宮さんも今日はもうお休みになっていたので、代わりに私が準備をしています。山城さんにはこのことを艦隊の皆さんに言って頂けるようお願いしていました。損傷された方もいらっしゃらないとのことでしたので、六名+二名分で大丈夫ですね。

2014-09-17 21:05:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

食堂にある固定電話が鳴りました。さっと手を洗い、エプロンで水分を拭ってから受話器を取ります。電話の向こうからは山城さんの声が聞こえてきました。 「今戦果報告が終わったから、皆そっち行くわよ」 「ありがとうございます。お風呂に先に行かれる方はいますか?」 「多分、皆食事が先」

2014-09-17 21:10:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「山城さんと提督もご一緒にお食事されますか?」 「え?」 「お夕飯、まだでしたよね。宜しければ。麻婆豆腐です」 「…ちょっと待ってて」 山城さんの声が遠くなりました。提督に伺っているようです。

2014-09-17 21:15:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「…もしもし?」 「はい」 「提督はいらない。今日中に処理してしまいたい仕事があるからって」 「では、後ほど軽食をお持ちしますとお伝えください。山城さんはお食事されるんですね?」 「うん、頂くわ。…貴女って本当に気が利くのね。助かるわ」 「え?いえ、そんな…」

2014-09-17 21:20:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「お待ちしてますね」 私は電話を切り、人数分の食事をテーブルに並べ始めました。そしてあらかた準備が整ったところで、食堂に誰かが入ってきました。よし、タイミングばっちり。 「あ、龍鳳。今は大鯨かな。ありがとう、食事作ってくれて」 一番乗りは時雨でした。 「どういたしまして」

2014-09-17 21:25:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「龍鳳でいいよ。…ねぇ、時雨。ご飯にする?お風呂にする?それとも…ふふ」 私がそう言うと、時雨は目を丸くさせ、そしてくすくすと笑いました。きゃー!言っちゃったー!私、一度言ってみたかったんです。…でも、やってみるとやっぱり恥ずかしいかも…。えへ…。

2014-09-17 21:30:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「じゃあ、龍鳳にするよ」 「…ふぇ!?」 単に笑ってくれることだけを考えていた私は、その返答に動揺しました。じ…冗談だよ…ね? 「ふふ、冗談だよ」 あ…あぁ…ホッとしました…。し、時雨ってば…イジワルなんだから…。 「龍鳳、顔真っ赤だよ?」 「うぅ…誰のせいですかぁ」

2014-09-17 21:35:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「新婚さん、いちゃいちゃするのは後にしてくれません?」 「わぁ!?む、村雨…」 時雨が振り向いた先には、村雨さんが立っていました。 「あ…!お疲れさま!ごごご飯の用意できます」 「ぷっ…大鯨さんったら、動揺し過ぎです」 村雨さんは笑いを堪え切れない様子で言いました。

2014-09-17 21:40:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「お腹空いたよー…。あれ、二人とも早いね。一番かと思ったのに」 更に白露さんも食堂にやってきました。いけない、早く案内してあげないと…!私は心の中で頬を叩き、気を入れ直しました。 「皆さん、こちらにどうぞ」

2014-09-17 21:45:26
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

そのうち、由良さん、夕張さん、夕立さんも入ってきました。これで今日出撃した方々は揃いましたね。 「あれ、ひとつ多いけど、大鯨さんも食べるんですか?」 7人分並んだ食器を見て夕張さんが言いました。 「いえ、山城さんの分ですよ。一緒に食べるとのことだったので」

2014-09-17 21:50:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

山城さんが来ることを言うと、夕立さんと村雨さんが同時に時雨を見ました。白露さんはそんな二人と時雨を見比べています。 「…何かな?二人とも…」 「何々、時雨がどうかしたの?」 「だって、ねー」 「ねー」 そんなこのコ達の様子を見て、私は思わず苦笑しちゃいました。

2014-09-17 21:55:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「あら、まだ食べ始めてなかったの。もしかして私待ってた…?」 「あ、山城さん。いえ、丁度今出撃艦隊の皆さんが揃ったところですよ。こちらへどうぞ」 私は山城さんを空いている席に案内しました。そこは丁度時雨の隣でした。…あれ、さっきここは村雨さんが座っていたような…。

2014-09-17 22:01:21
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

少し目線を伏せながら座っている時雨のことを、山城さんはまじまじと見ていました。そして人差し指でつんと時雨の頭を小突きました。 「あはは…」 苦笑いをする時雨。…いいなぁ。山城さんが羨ましい。…私も、時雨にあんな風に意識してもらいたいな…。

2014-09-17 22:05:20
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「じゃあ、頂きましょう。龍鳳さん、いただきます」 由良さんがそう言い、皆さんそれに続いて「いただきます」の言葉をくれました。 「はい、召し上がれ」 …振舞った料理が皆さんの口に運ばれていきます。皆さんのお口には合ったでしょうか。

2014-09-17 22:10:24
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

「龍鳳」 「何?時雨」 「とっても美味しいよ。ありがとう」 時雨が私の目を真っ直ぐに見ながら言いました。…その言葉を聞いて、私の頬が少しずつ熱くなっていくのが感じられました。…私って、単純よね。 「うん、よかった」

2014-09-17 22:15:23
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

私は厨房に戻り、提督のところへ持っていく食事の準備にかかりました。片手間に食べられるものがいいわよね。何にしようかしら。考えていると、食堂の方からは楽しそうな声が聞こえてきました。私の料理で皆さんの楽しい時間を作ることができたのなら、こんなに嬉しいことはありませんね。

2014-09-17 22:20:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

食堂を覗くと、時雨の背中が目に止まりました。…時雨はどんな表情で食べてるのかな。あぁ…そんなことばかり気になってしまう辺り、私は本当に時雨に心を奪われてしまっているのだと思います。…どうしましょう。

2014-09-17 22:25:22
とある舞鎮の艦娘たち @S_side_story

時雨、貴女はさっき新婚三択で、私を選んでくれたよね。本当に冗談で言ったんだと思うけど…時雨さえよかったら、私はいいからね?全部、あげられちゃうから…。…もらってほしいな。 「…いけない。準備をしないと…」 私は悶々とした気持ちを抑え、調理の準備に入った…――

2014-09-17 22:30:25
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

時雨「龍鳳、今日はありがとう。夕食、美味しかったよ」 龍鳳「ふふ、そう言ってもらえると、嬉しい」 時雨「龍鳳の料理、もっと食べたいな。また作ってよ」 龍鳳「もう、そんなに言われると張り切っちゃうからね」 時雨「楽しみだよ。ふふ」

2014-09-18 00:00:23
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

龍鳳「…ねぇ、時雨。ご飯にする?お風呂にする?それとも…」 時雨「え?…どうしようかな」 龍鳳「…私ね、時雨さえよかったら…その…」 時雨「…うん?」 龍鳳「わ…私…あの…」 時雨「……」

2014-09-18 00:05:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

龍鳳「あの…おやすみなさい…」 時雨「…え?」 龍鳳「……」 時雨「…うん、おやすみ、龍鳳…」

2014-09-18 00:10:12

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