ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100245:メニイ・オア・ワン #4
(これまでのあらすじ:ニンジャスレイヤーはネオサイタマを支配するニンジャ組織アマクダリ・セクト「12人」のうち、マジェスティ、ブラックロータス、メフィストフェレスを殺害した。だが彼らはネオサイタマ表社会における名士でもある。ニンジャスレイヤーとナンシー・リーは実名指名手配された)
2014-09-21 22:07:31(ネオサイタマ全域で検問体制が敷かれ、市警の新設秘密警察部隊ハイデッカーが全面展開。社会秩序に悪影響を及ぼすと決めつけられた者達がこれを口実に大量検挙される事態となった。最終的に、ナンシー・リーも身柄を確保されてしまう。逮捕したのはしかし、ハイデッカーではなく「49課」だった)
2014-09-21 22:18:21(ニンジャスレイヤーは「12人」を殺害するたび、黒い「忍殺」の旗を掲げてゆく。アマクダリ・セクトは彼の狙いが「12人」全員の殺害であると断定。「12人」の一人でハイデッカーを束ねるジャスティスのみならず、最強の古代ローマカラテ使いにして「12人」の一人、スパルタカスもまた動く)
2014-09-21 22:23:04(ニンジャスレイヤーはスパルタカスを待ち伏せて返り討ちにする為、襲ってきた古代ローマ三闘士を次々に殺害。その痕跡・死体をおびき出す餌とし、ツヨイ・スリケンでアンブッシュした。だがスパルタカスは殺意のパルスを感知し、これを躱し、なおかつニンジャスレイヤーに一撃を叩き込んだのだ!)
2014-09-21 22:27:57(【メニイ・オア・ワン】 #1 まとめ:togetter.com/li/713623 #2 まとめ:togetter.com/li/717046 #3 まとめ:togetter.com/li/720241 未読者は古代ローマカラテTシャツをチェックしつつ、急いで追う!)
2014-09-21 22:30:31「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは吹き飛び、背中から冷たいコンクリートに叩きつけられた。スパルタカスの無慈悲な眼光はカラテをみなぎらせ、その輝きを増す。「イヤーッ!」「グワーッ!」雷鳴が轟く!おお、ナムアミダブツ!ニンジャスレイヤーよ……! 1
2014-09-21 22:34:45プロコココ……プロコココ……移動式治安維持拠点「セイギオオキイタテ」の船橋司令室は張り詰めた沈黙の中、UNIX駆動音だけを冷たく響かせる。ジャスティスは無慈悲な戦女神めいて仁王立ち姿勢を取り、全方位に張り巡らされた報告モニタ群やCCTVのザッピング映像を確認し続けていた。 3
2014-09-21 22:44:01「検挙者数目標達成率:92%」とミンチョ文字が左右を流れ、折れ線グラフがリアルタイム変動を続ける。「平和」「安全」「イレギュラー性の排除」「声かけ」「鎮圧」「スパイの検挙」「静的」「火の用心」「非行少年」といった文字、それらに付随するデータ群。 4
2014-09-21 22:49:19もはやジャスティスに対し「順調です」と声を発する者はない。彼女がエマージェント状態にあり、その手の愚にも付かぬ報告こそが彼女を怒らせる事を身にしみてわかっている者達の集まりである。ハイデッカー司令室はアマクダリ・セクトを知り、ニンジャを知り、ニンジャスレイヤーを知る。 5
2014-09-21 22:53:50ニンジャスレイヤーは今回の厳戒態勢の発端に過ぎない。全てはより適切なネオサイタマ社会システム構築の一環である。ニンジャスレイヤーがどうなろうと大局に影響は無い。「12人」が欠けようとも。ジャスティスが死ねば別のニンジャ、ないしモータルが、つつがなく地位を引き継ぐ筈だ。 6
2014-09-21 23:01:14しかし、「アイエッ」感受性の強い事務官の一人が失禁を堪える。ジャスティスの無言の怒気に打たれたのだ。ナンシー・リーは49課が確保している。だが引き渡しに応じようとしない。実際、明文化されたシステム上で、ハイデッカーにそこまでの権限は与えられていない。痛いところを突いて来ている。7
2014-09-21 23:05:50『ザリザリ……突入……実際突入を』包囲部隊のマージナルがホットライン回線で請う。『すぐにでも……クズどもを……この私とハイデッカーが絶対的正義を』「まだだ」ジャスティスは否定した。くだらぬ駆け引きだが、これもアガメムノンが知事の座につけば終わる事。ハイデッカーは全てを統治する。8
2014-09-21 23:15:23彼女はネオサイタマ地形図を見やった。カスミガセキ付近。「スパルタカス」という文字マーカーが移動を開始する。IRC位置情報である。彼女はこめかみに指を当てる。近すぎるか?現在、スパルタカスはニンジャスレイヤーを追跡している。既に交戦を開始している可能性がある。カスミガセキ……。 9
2014-09-21 23:19:12スパルタカスは最強の戦士だ。しかし、アガメムノンのハナミ儀式の場であるカスミガセキ・ジグラットの目と鼻の先、東京タワー付近を戦場としているとすれば、穏やかではない。ジャスティスはIRCリクエストを検討するが、取りやめる。単なる状況確認で彼の極限のカラテを乱してはなるまい。 10
2014-09-21 23:24:02「ハァーッ……!ハァーッ……!」KRA-TOOOM!東京タワー頂点に再び雷が落ちた。雨の中、ニンジャスレイヤーは走り続ける。走りながら振り返る事はない。速度が落ちる。そんな事をせずとも、追手の強烈なカラテ存在感を痛いほどに感じ取ることができる。スパルタカスを! 12
2014-09-21 23:26:20赤黒装束の背は引き裂かれていた。鍛えあげられた剥き出しの背中、新たな傷を、雨とともに流れる血が覆っていくと、そこに再び装束が蘇った。(((なんたる惰弱!)))ニューロンの同居者、ナラク・ニンジャの叱責が響いた。(((なんたる情けなさ、弱さ!ニンジャに背を!屈辱の極み!))) 13
2014-09-21 23:32:43(黙れナラク)ニンジャスレイヤーはネオン看板「お米歌」からネオン看板「ソーラ波」へ跳びながら、ナラク・ニンジャの怒声を退けた。スパルタカスは恐るべき使い手。彼ははっきりと感じ取った。今の状態でそのカラテに真っ向から抗すれば、最悪、千日手。千日かからずとも、全てが水泡に帰する。14
2014-09-21 23:41:49(((ニンジャを殺せぬとなれば……いよいよオヌシも価値を失ったという事だ、フジキド。観念し、儂に身を委ねるがよい)))(できぬ相談だ。このイクサは続いている)「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは瓦屋根の上へ跳んだ。「イヤーッ!」後方でスパルタカスの跳躍シャウト。近さは変わらず。15
2014-09-21 23:46:28「安い、安い、実際安い」「これらツェッペリンはアド目的であり、安全な飛行を心がける」「ご安心ください」「安らかです」「あなたは安全です」前方の空に複数の光。黒塗りのマグロツェッペリンの飛空隊列。尋常の光景ではない。ニンジャスレイヤーはその下に見た。カスミガセキ・ジグラット!16
2014-09-21 23:52:04「追いかけっこもいいが」耳元で声。「そっちはいかんなァ。いかん、いかん」否、錯覚だ。スパルタカスはまだ、やや後方だ!圧倒的ニンジャ存在感がそのような錯覚をすら生み出す!「そっちには偉い奴がおるぞ……俺より偉い奴がな!」 17
2014-09-21 23:56:29「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは懐から取った品を足元に叩きつける!KBAM!蛍光色のスモッグが分厚く拡がり、更に、叩きつけた周辺に、火を噴く回転体と、溶岩めいて隆起しながら伸びる謎めいた黒い物体が解き放たれた。ケムリダマ!そしてニンジャ花火!目眩ましである! 18
2014-09-21 23:59:21「イヤーッ!」そしてニンジャスレイヤーは跳躍!大通りを飛び越える!だがスパルタカスは更にその上!彼よりもより高く跳び、追いすがってくるではないか!目眩ましを事前察知して、回避と追跡を両立させたムーブに出たのだ。「イヤーッ!」だが、ニンジャスレイヤーは空中でフックロープを投擲!19
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