【ニンジャの二次創作】メランコリック・ウォーター・イズ・フローイング #1

ニンジャスレイヤー二次創作小説です。 いろんなニンジャが出て苦悩して戦う! 拙作二次小説【フラッシュ・ダガー、バニシング・ソウル】からの続編となりますが、未見の方もごあんしんください。 続きを読む
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篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

高僧三人の佇む黄金ブッダ座像の前、賽銭箱の真下。地下宝物殿。古物商から巻き上げた刀剣、来歴不明の古文書、平安時代に作られた陶器の皿、アシナガ・ストリートの極彩色にも劣らぬ絢爛豪華な宝石、唸るような量の金塊が所狭しと納められている。 20

2014-09-25 22:00:27
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

地上の密談はおろか、周囲の喧騒、雷鳴すら聞こえぬ密室。下水の流れる音が延々と流れるのみ。時おり壁の隙間からバイオネズミがおっかなびっくり迷い込む事もあるが、あまりの眩しさにすぐさま逃げ帰る。リュキ住職ら高僧と巡回する警備マシン以外にここを訪れるものはいない。今までは。 21

2014-09-25 22:04:01
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「イヤーッ!」「ヂューッ!」バイオネズミをケリ・キックで撥ね飛ばしながら、ニンジャが迷路のような下水道を進んでいく。右左右上上下左左上右右左。急激な都市開発と戦争、ろくにメンテナンスも成されずにただただ欲望と暮らしを満たすために作られたネオサイタマの暗黒部。 23

2014-09-25 22:09:25
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「気に食わねぇ。まとわりつく泥にヘドロ、クソッ…ここはどこだ……道を…間違えた…」フィンや酸素ボンベを装備したニンジャ…ウォーターボードが呻きながら、時に下水流を猛スピードで突き進み、時にボロボロの通路を疾走する。迷いこんだ浮浪者の成れの果てであろう頭蓋骨を蹴散らしていく。 24

2014-09-25 22:14:05
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

ウォーターボードも闇雲に進んでいる訳ではない。IRC通信の阻害される地下、水流に混じる微かな物音…足音をトレースしながら進む。左右左上上上上…。やがて…、長い疾走の果てに、突然重々しい鉄の扉と階段が姿を現した。そしてそれを警護する雷神マークの試作ロボが巡回する姿も。 25

2014-09-25 22:18:17
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

油断なくジュー・ジツを構え、周りを見回し、様子を窺う。「あのロボットめ、オムラのものか。ツジギリしたらペナルティものだな。どうにかしてあの扉の向こうに入れる経路は……」目を細め、ウォーターボードはやがてメンポの奥で口角をわずかに綻ばせる。 26

2014-09-25 22:23:57
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

ウォーターボードは密やかに下水に身を躍らせ、横穴へ潜り込む。数メートル進んだ所で横穴は上方へカーブを成している。「イヤーッ!」ウォーターボードは足に装備したフィンからジェット水流を吹き出し、一気に上昇!右手で穴のへりにぶら下がる。 27

2014-09-25 22:27:40
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

((誰もいないようだな……なんだこの金塊は!?何事だ?!))排水口の鉄格子蓋を慎重に開き、ウォーターボードは身を乗り出す。そこは金塊、書物、刀剣、ブッダ像など、これまでの人生で目にした事がない品物が堆く積まれている。((…寄贈品……ダイモジ寺……。そうか…街の中心は近い)) 28

2014-09-25 22:32:24
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

背中に背負ったボンベを1つ取り出し、ウォーターボードは頭上に掲げる。そして、ボンベの口に金具を取り付け、中身を全身にかける。((これで、泥水でのデータと洗浄液のデータも取れただろう。臭いのはもう懲り懲りだ))やがてウォーターボードが立ち上がったその時! 29

2014-09-25 22:35:54
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

おもむろにウォーターボードはブリッジ!その上を何かが通りすぎる風圧!すかさずウォーターボードはバック転をうち後方へ逃れる。眼前には人影。煌びやかで明るい室内が、一瞬にして不穏な物になる。「ドーモ、ウォーターボードです」「ドーモ、ウォーターボード=サン、レイザーエッジです」 30

2014-09-25 22:40:02
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「貴様は!あの時の!」ウォーターボードは前回のツジギリ案件の顛末を思い出す。コケシマートを襲い、立ちはだかったソウカイヤの手練れ・アースクエイクと側にいたモージョーを唱えてばかりの狂った男。その狂った男がなぜ?いや、この男はニンジャだ。 31

2014-09-25 22:43:59
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「そうだ。忘れ物を取りに来た」レイザーエッジがちらと視線を部屋の片隅に置かれた刀剣へ向ける。「そして侵入者がいた」「…まさか貴様もニンジャとはな」 タタミ2枚分の距離を隔て、ニンジャ二人は不穏な火花をかち合わせる。「…何故応援を呼ばない?」ウォーターボードがにやりとする。 32

2014-09-25 22:47:55
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「貴様も侵入者なんだろう、レイザーエッジ=サン」「そうとも言えるし、そうでないとも言える」レイザーエッジは先程ウォーターボードを狙った右腕の仕込み刃を不吉に構える。その右腕にはクロスカタナのエンブレム。「ソウカイヤだと…?」「その通りだ、オムラのツジギリスト」 33

2014-09-25 22:51:53
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「貴様…、何が目的だ」自然とウォーターボードもカラテをみなぎらせる。静寂が部屋に満ちる。「「イヤーッ!」」レイザーエッジが踏み込み、危険な斬撃を振るう!一方ウォーターボードは…意外にも、外へ通じる扉へステップしていた!「だが貴様に付き合うつもりは無い!」 34

2014-09-25 22:55:39
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「イヤーッ!」ゴゴゴ…。ウォーターボードの渾身のタックルを受け、重々しい音を立て扉が僅かに開く!レイザーエッジはウォーターボードへ追撃を…行わずに踏みとどまる。ドッシドッシドッシ…。扉の外から荒々しい足音が聞こえてきた!扉の外から黒く大きな影が広がる。 35

2014-09-25 22:59:06
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「イヤーッ!」不意にカラテシャウトが響き渡る!「ピガ…ピガガーッ!」ドガァン!音程の外れたビープ音と爆発音!警備ロボの残骸が飛び込んでくる!「ネズミが二匹。この神聖な場を汚すとは誠に不届きな。…レイザーエッジ=サン?貴様はこの場には立入禁止の筈」新たな人影がエントリーする。 36

2014-09-25 23:03:58
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

漆黒の僧衣姿に白の頭巾めいたメンポを被った…ニンジャだ!メンポの隙間からは僧衣より黒い目が見え隠れする。「ドーモ、アヴィディヤです。貴様ら…罪深いぞ…」「ドーモ、レイザーエッジです」「ドーモ、ウォーターボードです」奇妙な取り合わせのアイサツが交わされる。 37

2014-09-25 23:08:27
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

((クソッ、またしてもニンジャ…!何が楽なツジギリだ…!))ウォーターボードが半歩下がる。その後方、無機質な表情で両肘の仕込み刃を展開させるレイザーエッジ。そして、重々しい足取りでゆっくりと扉からエントリーするアヴィディヤ。三者三様の殺意とカラテが宝物殿の輝きを覆っていく。 38

2014-09-25 23:11:31
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「レイザーエッジ=サン、如何な貴様と言えど、ここは立入禁止の筈だ。盗みでも働くつもりか」漆黒の巨躯から発せられる威圧的オーラに思わずウォーターボードが更に一歩下がる。「俺は刀だ。刀が自分の刃を欲して何が悪い」レイザーエッジが寄贈品の山から刀を無造作に掴み上げる。 39

2014-09-25 23:16:41
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

「貴様ァッ…!」アヴィディヤの眼が憤怒に赤く血走る。「たかが信徒風情が…リュキ住職にうまく取り入りおってからにィッ!」「イヤーッ!」ウォーターボードがフィンから水をジェット噴射させレイザーエッジへ跳躍! 40

2014-09-25 23:21:09
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

【メランコリック・ウォーター・イズ・フローイング】 #1後半

2014-09-29 20:33:08
篠@やさすい愛好家マグロ @simanezumi88_n

(これまでのあらすじ:日に当たらないネオサイタマの地下で行われる戦模様。ツジギリストのウォーターボード、ソウカイヤ所属のレイザーエッジ、そして巨漢僧兵ニンジャのアヴィディヤ!3者3様の思惑!危険なコンフリクトを生み出す!)(#1前半 togetter.com/li/723818

2014-09-29 20:35:39