#トラ泊神戸支部~進水祝い編

トラック泊地サーバー所属で神戸に支部を構える提督と、そこに所属する艦娘たちを描いたお話。 今回は青葉の進水日を祝うお話で、トラ泊神戸支部の提督、古鷹、青葉の三人の関係を書いてます。今後書く予定の物のエピローグ的な話だと思っていただければと思います。
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ですか @desuka_desuyo

トラ泊神戸支部~2nd season~ ……開始予定。 先行特別編。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 22:50:21
ですか @desuka_desuyo

「古鷹、ちょっといいか」 そう言って彼女を呼び止めたのは数日前のこと。理由は至極簡単。今日の準備を手伝ってもらうためだ。話を持ちかけると予想通り、彼女は二つ返事で了承してくれた。これでこちら側はなんとかなった。後はその場でどうなるかだけだ。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 22:54:51
ですか @desuka_desuyo

日々の業務を早めに切り上げたため、司令部室のある鎮守府庁舎の上階は、静まり返っていた。そんな中、二人の人物が行動を起こす。 「古鷹、準備できたか?」 「はい。提督の方はどうですか?」 「こっちもOKだ」 俺と古鷹は人気のなくなった司令部室である準備をしていた。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:00:32
ですか @desuka_desuyo

今日は9月25日。祝日でもなんでもないが、ここにいる二人にとっては重要な日であった。 1926年の同日。ある一隻の重巡洋艦が進水した。そして大戦も何もかもが過去の物となった現在。その艦霊を宿し未知なる存在と戦うこととなった少女がいた。 その名は”青葉” #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:06:48
ですか @desuka_desuyo

二人にとって青葉は大切な存在であった。一方は過去の大戦時代からの縁を持つ少女。もう一方は多くの作戦を支え合った青年。共に彼女のことを大切に思い、だからこそその隣にいるべきは相手だと信じきっている者同士であった。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:11:07
ですか @desuka_desuyo

「よし、じゃあ青葉を呼んでくるか」 「私が呼んできますよ」 俺の提案に古鷹が答える。そのまま指令室を出ていこうとする腕を掴んで引きとめる。 「そう言っていらぬ気を利かせたつもりで青葉だけ来させるつもりだろう。ここは俺が呼んでくるよ」 「いやいや、提督こそ……」 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:13:27
ですか @desuka_desuyo

記念日に想い人と二人きり、というシチュエーションを互いに譲り合う。いや、押し付け合う。数分間の押し問答の末、電話で青葉を呼ぶことに落ち着いた。備え付けの電話で指令室に呼ぶと、二人でクラッカーを構える。少しの間の沈黙。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:16:26
ですか @desuka_desuyo

「失礼します。何の御用ですか?」 ノックの後にそう言って扉を開ける青葉。こちらが見えるか見えないかというところでクラッカーの紐を引いた。 パーンという音と共に舞う紙吹雪。その真っ只中に立つ青葉は何事かと呆然としていた。 「「進水おめでとう」」 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:20:08
ですか @desuka_desuyo

二人の言葉でようやく理解したのか、青葉は照れ笑いを浮かべた。 「あ、ありがとうございます。確かに祝ってくださいとは言いましたけど、ホントにしてくれるだなんて」 「約束は守らなきゃいけないからな」 青葉が喜んでいるのを見て、こちらも嬉しくなる。古鷹も満足気だ。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:25:52
ですか @desuka_desuyo

2月25日のあの日。ふと思い出して祝った古鷹の進水日のこと。青葉も祝ってくださいとお願いされたのだった。その約束だけでなく、その後のことも良く覚えている。あの時は青葉と俺だけを指令室に残して、ひっそりと帰っていたのだった。今回は逃がすまい。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:29:17
ですか @desuka_desuyo

「古鷹、飲み物注いで注いで」 「提督もケーキにろうそく」 「あぁ、そんな。青葉自分でしますから」 お互いに逃がさないように仕事を任せていく。一年以上共に過ごしてきた関係であるので、相手の考えなんてお見通しであった。 どうやって自分が抜け、二人きりにさせるかだ。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:33:09
ですか @desuka_desuyo

結局お互い牽制し合ったので、最後まで三人でのお祝い会となった。まぁ古鷹に二人きりで青葉を祝わせることが出来なかったのは残念だが、青葉に喜んでもらえたのでよしとしよう。片付けをするからと青葉一人先に帰し、古鷹と二人きりとなる。 先に口を開いたのは古鷹だった。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:36:07
ですか @desuka_desuyo

「どうして提督は青葉と二人きりにならないんですか!」 「そういう古鷹こそ、二人きりで青葉のお祝いをしてやれば良いじゃないか」 「私は良いんです! 提督は青葉のことが……」 「そっくりそのまま返すよ」 そのまま古鷹との睨み合いとなる。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:41:57
ですか @desuka_desuyo

沈黙を破ったのは古鷹だった。諦めたようにため息を吐いてから言い放つ。 「もういいです。いい加減青葉との関係から逃げるのを止めて向き合ったらどうなんですか」 「逃げているのは古鷹の方じゃないのか?」 俺の言葉に古鷹は、驚いた顔でこちらを向いた。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:45:04
ですか @desuka_desuyo

「それは提督の方で……」 「何を恐れているんだ。青葉はお前のことを信頼しきっているのに、お前の方はときたらどこかあいつとの関係に怯えているように見える。それは逃げじゃないのか?」 じっと目を見つめて言うと、古鷹はたじろいで目を逸らした。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:48:51
ですか @desuka_desuyo

「私は……」 「逃げるなと言ったのはお前の方だろう、古鷹!」 鋭い口調でそう言うと、古鷹はビクリと肩を震わせた。そして俯いてから一言。 「恐いんです。これ以上青葉と関わることが……」 古鷹はそれだけ言って、顔を伏せたまま指令室から飛び出していった。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:53:08
ですか @desuka_desuyo

後に残された俺は、彼女の言葉に衝撃を受けていた。 恐い? 青葉と関わることが? 二人の関係は過去との因縁を断ち切ってから向上しているはずだった。それなのに恐いとはどういうことだろうか。 だが、いくら考えても答えが出てくることはなかった。 #トラ泊神戸支部

2014-09-25 23:56:41
ですか @desuka_desuyo

もしかして、これまで起こったことが関係しているのだろうか。ふとそんなことが頭に浮かんだ。正しいかどうかは分からないが、その可能性を確かめるためにも、俺はここ半年の提督日誌を読むことにした。 #トラ泊神戸支部

2014-09-26 00:00:17
ですか @desuka_desuyo

トラ泊神戸支部~2nd season~ 14年春~夏編。 この秋開始予定。ただし予定は未定! #トラ泊神戸支部

2014-09-26 00:02:39