ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100245:メニイ・オア・ワン #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーとマージナルの打ち合いは、互角……否。恐るべきカラテラリー・ドライブにあって、マージナルが徐々に流れを掌握しつつある。(ソウカイヤとザイバツを滅ぼした?)彼は目を細める。(そして「12人」の3人を?確かに油断ならぬワザマエ。だが、如何せん連戦が堪えておるか)40

2014-10-02 22:15:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」拳と拳がぶつかり合い、「イヤーッ!」「イヤーッ!」逆の手の肘と肘が噛み合った。ニンジャスレイヤーの眉間を汗が流れ落ちる。背中が焼けるようだ。スパルタカスの強打、ジグラット付近の挑発行動。回復行動の時間が取れぬ。身体の芯にダメージが蓄積している。 41

2014-10-02 22:21:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(一騎当千のイクサの鬼神が、群がるニンジャをひと薙ぎで葬ったならいざ知らず)マージナルはチョップ突きにフェイントを混ぜ、ニンジャスレイヤーのリズムを崩していく。(此奴の大量殺忍も、要は各個撃破の賜物。戦略の勝利に過ぎぬ。立ち合いのイクサを無条件に決する程の絶対的な力は無い!)42

2014-10-02 22:32:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーの目潰し(サミング)が繰り出される!マージナルは顔面を敢えて前に突き出し、瞬間的な頭突きを見舞った。「グワーッ!」ニンジャスレイヤーが怯んだ。マージナルが吠えた。「モラッタ!」負傷と極度の疲労がニンジャスレイヤーのカラテを焦らせ、曇らせている!43

2014-10-02 22:37:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

並みのニンジャならばサミングを頭突きで迎撃された際にその指をへし折られていただろう。ニンジャスレイヤーがすんでのところで指を戻し、破壊を免れたのはさる者。だがマージナルはこの好機を逃すまいと右手を心臓めがけ……「「イヤーッ!」」ナムサン!二者は突如その場でアグラした! 44

2014-10-02 22:39:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウン!ゴウン!ゴウン!ゴウン!武装霊柩車の瓦屋根上でアグラし睨み合う二者の頭頂部のスレスレの上を、張り出したアニメーション看板が繰り返し通過する。それらは数百枚の看板によってコマ漫画めいた効果を生み出す先進的アドバタイズなのだ。だが今はイクサの邪魔以外の何者でもない!45

2014-10-02 22:42:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……!」向かい合ったマージナルを睨みつけながら、ニンジャスレイヤーは深いチャドー呼吸を繰り出す。さながら瀕死の海棲哺乳類が水面へひととき逃れるかの如き必死の行動か!「イヤーッ!」マージナルはチョップ突き!「スウーッ!ハアーッ!」ニンジャスレイヤーは顔を逸らして躱す!46

2014-10-02 22:46:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

赤黒の炎が炭火めいてその目に光る。(何らかのリカバリー・ムーブか!)マージナルは阻止にかかる。「イヤーッ!」逆の手でチョップ突き!「スウーッ!ハアーッ!」ニンジャスレイヤーは円を描くように腕を動かし、突きを逸らす。腰の入らぬアグラ打撃は回避が容易!「チィーッ!」 47

2014-10-02 22:50:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!」「スウーッ!ハアーッ!」繰り出すアグラ打撃をニンジャスレイヤーは逸らしてゆく。(所詮は数秒……気休め程度と見た!)マージナルは殺意を膨れ上がらせる。ゴウン!アニメーション看板が途絶えた。「「イヤーッ!」」二者はアグラ姿勢で同時にバウンド! 48

2014-10-02 22:58:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」バウンドした二者は同時に低空跳び回し蹴りをぶつけあい、ネズミハヤイの瓦屋根上に同時に着地した。そして再びワン・インチ・カラテの応酬を開始した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「アイエエエ!?」対向車が操作を誤りガードレールに衝突! 49

2014-10-02 23:03:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二者の打ち合いは互角だ。マージナルは眉根を寄せる。(多少、戻してきたか。しかし手の内は知れた)「イヤーッ!」「イヤーッ!」(やはり、もう少し時間が要るようだな!)「イヤーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」(気休め程度のブーストで果たしていつまで持つか!見せてもらおう!)50

2014-10-02 23:08:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

車内!ナンシー・リーは車体に格納されたキーボードを引き出し、高速タイピングを開始していた。ノボセはショック状態から脱するべく、マッポ用ZBRアドレナリンのアンプルを注射する。伝説のデッカーといえど、老齢だ。これ以上のキックに頼ってはならぬ。「……どこへ向かう」ノボセは呻いた。51

2014-10-02 23:11:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それを……今……」ナンシーの言葉は不明瞭になってゆく。ZBR効果で意識を鋭敏化させるノボセとは対照的に。だがその指先の動きはますます加速されてゆく。「上の特等席も長引いてるようだぜ」デッドムーンが呟いた。「ヌウーッ……」ノボセは歯を食いしばった。 52

2014-10-02 23:17:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

やがてナンシーは小刻みな痙攣を始めた。ノボセは一瞬驚愕しかかったが、それはハッカーの高速タイピング没入である事をすぐに把握する。彼女とニンジャスレイヤーはこの後何を仕掛けるつもりなのか?ノボセは考えを巡らせる。それはマッポに逮捕される以前から計画されていた何らかの行動の筈だ。53

2014-10-02 23:21:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デッドムーンはダッシュボード液晶モニタに表示された映像を横目で見る。ネオサイタマのハイウェイ図。ノイズをかきわけるように、光り輝くマーカーラインが引かれる。ナビゲーション。ノボセは後部座席モニタとナンシーを交互に見た。後部座席モニタに文字列。「LAN速度01001足りない」54

2014-10-02 23:26:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「速度だと。支障が出ているのか」「車載UNIXじゃ限度がある。データセンターに突っ込むかい……どっちにせよすぐには無理な話」「ヌウーッ……」ノボセは沈思黙考する。ナンシーとニンジャスレイヤーは何を企む?それは反社会的行動であろうか?だが少なくともそれは共通の敵に対する行動だ。55

2014-10-02 23:33:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

010100101ナンシー・リーは黄金立方体の輝きの下、黄緑色の格子線に浮上し、無機質な直方体や球体が散らばる地平を見渡している。彼女の指先からはジグザグに光の線が伸び、遠方に光る秘密を探る。光の枝葉の生育速度はあまりに遅い。地平に不穏な圧力を感じる。閉じた瞼。 56

2014-10-02 23:36:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「急がないと」ナンシーはタイピングを速める。もっと速く。ナムサン……地平の果ての瞼が開く。瞳の中からなにかがずるりと這い出し、格子上に立つ。瞳には「天下」の文字。ナンシーの網膜に「アルゴス」のカタカナが焼き付いた。その者がてんからくだるあまくだりてんからく「ナンシー=サン!」57

2014-10-02 23:40:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーは背後の窓を振り返った。ネズミハヤイ車内のノボセが窓越しに見つめている。「01001聞こえるか、ハイデッカーのネットワークを踏み台にせよ01001」彼女の頭上にカラテする二人のニンジャのワイヤフレーム・イメージが生まれた。「上のマージナルのハンドヘルドUNIX010」58

2014-10-02 23:43:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アルゴスが歩いて来る。数歩のうちにナンシーの眼前にまで迫る。信じ難いデータ密度てんからくだるあまくだりてんからくだるあまくだり逡巡する時間は無い。ナンシーはマージナルのファイアウォールをこじ開ける!その小さなハンドヘルドUNIXを起点に、広大な樹形図が展開した。マッポネット!59

2014-10-02 23:47:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アルゴスの相対距離が急激に遠ざかった。ナンシーはマッポネットの拡がりの中へ逃れたのだ。節くれだったルートのあちこちに鬼火じみた光が残っている。先程マッポネットの末端にアクセスした際に残してきた悪戯だ。ナンシーはそれを辿り、速度をつける。ニューロンの加速。凄まじい快楽。世界! 60

2014-10-02 23:54:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーはネオサイタマを見下ろした。眩しい。近い。頭上でゆっくりと自転する黄金立方体。「祝福してくれる?」ナンシーは呟いた。少し照れながら、彼女は芝居がかった指揮者仕草で両手を振り上げた。これまでに確保してきたネオサイタマ各所のゾンビーIPが一斉に覚醒した。……旗が上がった。61

2014-10-02 23:58:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

0111001「ニンジャスレイヤーだ!」ジャスティスは叫んだ。「トコシマ区かッ!」監視カメラ映像は捉えた。博物館屋上で、赤黒の忍殺旗がバネ仕掛けめいて屹立するさまを!「付近のハイデッカー部隊を向かわせろ!スパルタカス=サンと連携を……」「待ってください!カスガ区!」「何!?」62

2014-10-03 00:01:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

事務官が狼狽し、監視カメラ映像をせわしなく切り替える。「まるで正反対の、エッ!?オ……オオモリ地区にも旗です!赤黒の……」「色などどうでもいいッ!どういうことだ!」「ム、ムコウミズにも!」「ツキジの入り口!」「タノシイ・ストリート!」「ヤカタバンナ!」「マネキ・ストリート!」63

2014-10-03 00:06:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

大モニタのネオサイタマ地図に「旗」の漢字が増殖してゆく!「ご覧ください!ネオサイタマ中が混乱の只中に!旗!旗……なんと、旗!」モニタの一つから、無責任な報道番組の空撮中継!「ヤメロ!」ジャスティスが叫び、両拳を繰り返し指令席手摺に叩きつけた。手摺が歪む!「ヤメロオオーッ!」64

2014-10-03 00:10:24