ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100245:メニイ・オア・ワン #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「甘い甘い、甘い!」マージナルは壁に叩きつけられたデッドエンドを指さした。「マッポごときが我々に勝てるなら、そもそもハイデッカーは存在せぬ」「テメェー」デッドエンドは咳き込み、身を起こす。やや離れたところではタフガイが続々湧いてくるクローンマッポに追い詰められようとしている。18

2014-09-30 23:20:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「時間がかかるぜ畜生」タフガイは地面に赤い唾を吐いた。一人倒せば二人現れる。一体何人のクローンマッポを叩きのめしただろう?ヒュイイイイ……上空では更なる異音。新たなハイタカの機影だ。「さて、どこまで逃げたか、どう逃げるか」マージナルは身を翻す。「そう遠くまでは行かれまいよ」19

2014-09-30 23:26:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

実際、マージナルの想定は無慈悲な現実そのものであった。廃スーパーマーケット「をべなや」の商品搬入通路を、ノボセ老はよろめき進んだ。前方に佇む人影があった。「ヌウーッ」つまずきかけた老人を、走り寄った影が支えた。「久しぶり」ナンシーは冗談めかして言った。 20

2014-09-30 23:33:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「逃げようとしたけど、ちょっとばかり遅かった」「……」ノボセは悟った。「包囲網が既にか」「ええ」ナンシーは搬入通路の陰から外を指し示した。夜明け前の空の下、後ろで腕を組み整列するクローンマッポ。ナンシーは肩を竦めた。クローンマッポ達の後ろに、黒い検問壁がゆっくりと落下した。21

2014-09-30 23:40:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴方が来たってことは、後ろもダメって事ね」「部下が戦っている」ノボセは沈痛に言った。「戻る事はできん。退く事は」「でしょうね」「万事休す」ノボセは呟いた。そしてナンシーの目を見た。「……策があるか」「いいえ、今はない」彼女は首を振った。淡々としている。ノボセは怪訝に思った。22

2014-09-30 23:46:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カツ、カツ、カツ……ノボセが来た闇から、足音が聴こえてきた。「ナムサン」ノボセは呟いた。「追ってきているのはハイデッカーの……ニンジャだ」「その通り」闇から現れたのはマージナルである。「いたずらに時間を引き延ばしただけだったろう?ドーモ、ナンシー・リー=サン。マージナルです」23

2014-09-30 23:49:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マージナルはおどけたように両手を上げてみせた。「さあ。待ってやるから、そのまま行くがいい。自由への逃走だ」外のハイデッカー検問所へ顎をしゃくり、「さあ、やってみるがいい。歩きなさい。自由を噛み締めろ」ナンシーは最後の抵抗にマージナルを銃撃する事すらできない。丸腰なのだ。24

2014-09-30 23:53:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーはノボセを見、頷いた。一歩。そして止まる。ノボセも続く。マージナルは嘲った。「なるほど!そうやって遊ぶのもいい……私が飽きるまではな」「ええ。しばらく、自由への別れを惜しませてもらうわ」二人はもう一歩踏み出す。検問ゲートを背に、クローンマッポは鎮圧銃を一斉に構える。 25

2014-10-01 00:02:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ンンッ!」マージナルは咳払いした。二人はもう一歩進んだ。「そうだ。テンポ感は必要だ。前進への意志というのが必要だぞ」ババラババラ……ババラババラ……薄明の空をオナタカミのヘリが旋回する。検問ゲートには「10100520」「笑ってシートベルト」「隣人愛」の液晶表示。26

2014-10-01 00:11:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「御用御用」「通過できません」「御用!御用!」ゲートの向こうから警告音が聴こえてきた。ナンシーとノボセはもう一歩進んだ。マージナルは腕を組み、それを見つめている。やがて言った。「もう、よかろう」KRAAAAASH!その瞬間、検問ゲートが破砕し、巨大な影がこちら側へ飛び出した。27

2014-10-01 00:14:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」「アババババーッ!?」「アバーッ!」「アババーッ!」検問ゲートを破壊しながら突入してきた鋼鉄の質量は、怒れる象が如くクローンマッポを轢き殺し、撥ね飛ばし、ギュルギュルと音を立ててドリフトした。「イヤーッ!」マージナルは回転ジャンプで距離を取り、カラテを構えた。28

2014-10-01 00:16:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは」ノボセが呆気にとられた。ナンシーはその肩を叩く。「急ぎましょう!」ギャギャギャギャ!突入してきた車両はドリフト旋回を続けている。車両はクロームシルバーのクラシックスポーツカーであり、その屋根には神秘的なシュラインが据え付けられている。霊柩車……否!武装霊柩車である!29

2014-10-01 00:19:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「「「ザッケンナコラー市民!」」」」轢殺を免れたクローンマッポ達が鎮圧銃からアサルトライフルに持ち替え、掃射を開始!車体装甲は銃弾を跳ね返す!そしてリアハッチが突如オープンした!「Wasshoi!」決断的な叫びとともに、高速回転する赤黒い風が飛び出した! 30

2014-10-01 00:22:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イィーヤヤヤヤヤ!」マージナルは瞬時に状況判断し、白いスリケンを連続投擲した。赤黒の風車と思われた影は空中で高速回転を解き、恐るべきニンジャの姿をあらわにした。そしてスリケンを凄まじい勢いで投げ返した。「イィーヤヤヤヤヤ!」二者の間で火花が散り、空気を焦がした。 31

2014-10-01 00:29:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「出来る」マージナルは呟いた。着地と同時に赤黒のニンジャは先手を打ってオジギを繰り出した。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」「ここへ来たかニンジャスレイヤー=サン」マージナルはアイサツを返した。「ドーモ。マージナルです」アイサツ終了と同時に二者は再び跳んだ!「「イヤーッ!」」32

2014-10-01 00:34:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

空中で二者は木人拳めいた接近カラテの打ち合いを開始!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」一方、武装霊柩車は銃撃クローンマッポに体当たりをかける!「「アバーッ!」」33

2014-10-01 00:37:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギャギャギャ!轢殺しながら武装霊柩車は再ドリフト!そこへ身を屈めながらナンシーとノボセが近づく!「ヘイ!」ナンシーが叫ぶと、武装霊柩車はオートで素早くドアを開いた。二人は車内へ滑り込んだ。後部座席空間に据えられたモニタに、逆モヒカンの運転者が映った。「おや、乗り合いかね……」34

2014-10-01 00:41:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オカキ・サービスの前に、UNIX接続をお願いできるかしら!」畳敷きの後部座席、ナンシーが乱れた髪を後ろでまとめながら乞うた。「これで再開できる」「そいつは立て込んだ話」運転者は表情を変えず呟いた。左目のサイバネアイが光る。「デッキのようにはいかないが」「今は充分!」35

2014-10-01 00:47:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーはLAN端子を見つけ出し、己の生体端子とケーブルを繋ぐ。ノボセは負傷直後のアドレナリンの波が去った事で、脂汗を流し震え始めた。「これは何だね」「武装霊柩車ネズミハヤイ」「DⅢ」運転者が付け加えた。「ネズミハヤイDⅢ」ナンシーは訂正した。「と、ドライバーのデッドムーン」36

2014-10-01 00:51:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドズン!ルーフの上でくぐもった音が聴こえた。(イヤーッ!)(イヤーッ!)(イヤーッ!)(イヤーッ!)そして2つのカラテ・シャウトが続く。「成る程、頭の上でおっぱじめやがったと……」「出して」ナンシーは言った。デッドムーンはアクセルを踏み込んだ。 37

2014-10-01 00:53:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」検問所付近に倒れていた負傷クローンマッポを轢き、ネズミハヤイは検問ゲートを突破すると、そのまま加速した。そのシュライン瓦屋根の上では、驚異的なニンジャバランス感覚を発揮した二人のニンジャ、ニンジャスレイヤーとマージナルがカラテ応酬を継続していた。 38

2014-10-01 00:56:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバーッ!」検問所付近に倒れていた負傷クローンマッポを轢き、ネズミハヤイは検問ゲートを突破すると、そのまま加速した。そのシュライン瓦屋根の上では、驚異的なニンジャバランス感覚を発揮した二人のニンジャ、ニンジャスレイヤーとマージナルがカラテ応酬を継続していた。 38

2014-10-02 22:00:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

追い来るハイデッカーのビークルを後方に従え、ネズミハヤイは環状ハイウェイに走りこんだ。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ショートフックを打ち合う二人のニンジャが、薄明の空の下、逆光の影となる。「アイエエエ!?」対向車が操作を誤りガードレールに衝突した。39

2014-10-02 22:05:34