デストロイ・ザ・ショーギ・バスタード #4
痛烈!マタドールの視界が奪われ脳震盪が襲う!ニンジャスレイヤーは残されたカラテを振り絞ると、手首を目にも止まらぬ速さでスナップさせ、己の血から必殺のスリケンを生み出した!そして迫り来る魔牛の額めがけ、全力投擲!「イイイヤアアアアアーッ!」「バモオオオオオオオーッ!?」命中! 46
2014-10-06 00:23:09目の焦点を失いながらも、魔牛は勢いを止めずギャロップで迫る!もはや主の見分けもつかぬ!「おのれ!ニンジャスレイヤー=サン!」マタドールはその場でたたらを踏んだ!相手を片手で掴み、もう片手では刺したサーベルを抉るように動かし、少しでもダメージを与えんともがく!道連れだ! 47
2014-10-06 00:27:37「イカサマ師の血が奴の好物だったな……」ニンジャスレイヤーは途切れがちな意識に喝を入れ、最後のチョップを振り下ろした!「イヤーッ!」「グワーッ!」その一撃は過たず敵の腕を、刃を折り、彼を拘束から脱させる!「そのまま死ね!」死神は垂直跳躍!そのワンインチ下を猛牛が駆け抜けた! 48
2014-10-06 00:32:35「バモオオオオオオーッ!」「グワーッ!」魔牛の大角が、マタドールの心臓を貫く!主を串刺しにしたまま、暴走列車めいた勢いで走り続ける!SMASH!SMASH!SMAAASH!「グワーッ!」猛牛は壁を突き破りながら暴走!ついには「危険な」と書かれた壁を破り、ジェネレータへ突撃! 49
2014-10-06 00:39:19SMAAAASH!地獄の暴走特急と化した魔牛は、隔壁を破壊!「グワーッ!サ……サヨナラ!」インガオホー!マタドールは猛牛とともに一瞬で焼け焦げ、爆発四散!だがその直後!ツクツクの小型ジェネレータが臨界点に達し、爆発!KA-DOOOOOOOM!爆風が迫る!死神の視界が揺らぐ! 50
2014-10-06 00:45:13ナンシーと傷顔ヤクザは、間もなく賭博場から脱出せんとしていた。だが廊下の彼方から爆風!目の前にはロックされた非常出口!ナムサン!「……開いたわ!」ナンシーが生体LAN直結を解除!しかしニューロン酷使で足がふらつく!「ウオオオオオーッ!」傷顔は彼女を抱え、非常出口へダイブ! 51
2014-10-06 00:49:43KA-DOOOOOOOM!危機一髪!2人はアビ・インフェルノ・ジゴクと化した賭博場ツクツクから脱出成功し、重金属酸性雨が降りしきるネオサイタマの路地裏に仰向けで身を投げた。だが、ニンジャスレイヤーは……?復讐者はマタドールとともに、賭博場で焼死体と化してしまったのか!? 52
2014-10-06 00:54:23「Wasshoi!」爆風を背負い、赤黒い影がツクツクの防弾ガラスを内側から突き破った!そしてマツザカとマタドールの断末魔の攻撃めいた赤い炎の手を……振り切ったのだ!「ニンジャスレイヤー……」ナンシーが衰弱し切った顔で微笑んだ。傷顔ヤクザはまだ何も喋れる状態ではなかった。 53
2014-10-06 00:58:29「イヤーッ!」直後、彼は壁を蹴って跳躍。ナンシーを抱え上げると、そのまま忽然と夜の闇に消えた。後には、仰向けで天を仰ぐ傷顔ヤクザだけが残された。「…ニンジャスレイヤー」路地裏の影に停まっていたヤクザビークルの中で、テング・オメーンの男がその名を復唱し、密かに車を発進させた。 54
2014-10-06 01:02:41彼は一人残された。「……ハァーッ……ハァーッ……ハァーッ……」そのまま何分間も、傷顔ヤクザは天を仰ぎ続けていた。まるで、夢でも見ていたかのように。誰も、彼に声をかける者は無かった。緊急車両のサイレンが近づいてくると、厄介事に巻き込まれる前に、彼は立ち上がった。全身が軋んだ。 55
2014-10-06 01:06:18傷顔は壁にもたれながら歩いた。彼は空っぽの両手を見た。賭博場とともに彼の1億は消え去った。「儚い勝利だったぜ…」もはや記憶は混濁し、現実と幻覚の境目も覚束ない。あれも幻覚か?クローンヤクザとの命を賭けたバクチも?だが握手を交わした右手には確かに残っていた。あの狂熱の燻りが。 56
2014-10-06 01:14:35相棒は、とうの昔に賭博場から逃げ出した事だろう。あいつは用心深い奴だ。いつものバーで奴と落ち合おう。そして奴に、この麻薬中毒者の幻覚めいた出来事を話してみるか?「……いや、絶対に話さなくちゃならねえ。この夜の事を。そしてあいつのバクチを、ソンケイを、語り継がなきゃならねえ」 57
2014-10-06 01:21:48「なあ、いい勝負だったぜ…」そのまま傷顔ヤクザは、割れた唇ににやりと笑みを浮かべ、過酷なネオサイタマの重金属酸性雨の中へと消えていった。彼の1億円は、そして神懸かり的なツキは、儚い夢の如く、この夜を境に消え去った。だが彼はもはや、牙を抜かれ去勢された負け犬の顔ではなかった。 58
2014-10-06 01:28:11NRSにより、傷顔はニンジャ存在を忘却した。だがいつか……彼はまた思い出すだろう。この夜の狂熱を。気高くも血塗られた戦いを。いつかまた、あの禍々しくも力強い「忍」「殺」の文字を見れば……その右手に燻る狂熱も甦るだろう。……彼がこのネオサイタマでそれまで生き延びられれば、だが。59
2014-10-06 01:34:31