「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」 #4

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー#4」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ドンブブンブボンドンブボンボボン、ドンブブンボンボボンボバブボバン。
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狭い階段を下りた先に「ヨタモノ」のフロアはあった。
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階段にはボンボリの照明すらなく、まるで胎内回帰のようであった。昨年流行った電子ダンジョンのようでもあった。ギンイチの到達レベルは53、もちろん反射神経ストームのトップランキングである……。
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ズバンドボボボンボンブバンボボ、バボンババーボバンボボボバブバ。
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「この音楽、なんですか?」入り口のノレンをくぐろうとするイチジクに、ギンイチはたまらず問いかける。激烈すぎるビートが胃痙攣を誘発するようだ。
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「モクギョコア」イチジクは耳打ちした。ノレンをくぐると、その爆音のビートはまともに会話できないほどの音量である。「大衆を沈静するツールであるモクギョをコラージュして、体制にアンタイしてるってわけ。戦闘的皮肉ってやつよ」
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わかったような、わからないような気分になりながら、ギンイチはヨタモノの闇ホールへ足を踏み入れた。そこはエネルギッシュな猥雑と衝動の吹き溜まりだった。
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電子ゲーム音楽のBEEP音にしか興味を示してこなかったギンイチに、ブッダヘアーDJがスピンするモクギョコアはあまりに先鋭的だ。そのビートにあわせ、ブッダヘアーパンクスやスキンヘッドに「明日も働かない」とタトゥーを入れたパンクス、シシマル・スタイルのパンクスが、てんでに跳ね回る。
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イチジクはギンイチの手を取りカウンターまで連れて行く。「よう、イチジク=サン。そっちのニボシはなんだい……」サングラスを埋め込んだバーテンが欠けた前歯でギンイチに笑いかける。「この子は、ギンイチ=サン。同じ学校なんだ。サイオー・グーゼンだよ」イチジクはギンイチに飲み物を差し出す。
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舐めてみて、腰が抜けそうになる。なんて強いアルコール度数だ! ショーガツのシチゴサン・オトソしか飲んだ事の無いギークには強すぎる。しかも、素手でグラスを持っていられないほどに熱い。しかし、ギンイチは意を決した。退いてはダメだ。この夜はいつもと違うのだから。
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「おい、このニボシ、見た目はニボシなのに、すっげえな! イッキかよ!」一息で飲み干したグラスをカウンターに叩きつけるように置いたギンイチを、バーテンが賞賛する。イチジクは手を叩いて笑った。「アベ一休Tシャツを選ぶ奴は、やっぱりちがうよね!」
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「まあ、もう、やめとけ、死ぬからな……イチジク=サンも煽るんじゃない、」「アベ一休!」「アベ一休!」「アベ一休!」モクギョコアが唐突にフェードアウトし、パンクスがてんでに騒ぎ出した。奥のステージにLEDボンボリ照明が灯る。「アベ一休!」「アベ一休!」「アベ一休!」
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電子的に拡大されたシシオドシの音が繰り返される中、やせ細った裸の上半身をさらした四人のマチヤッコ・パンクスがステージによじ登った。一番背が高く、一番やせている男がスタンドマイクをわしづかみにした。そして叫んだ。「アンタイセイ!」
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ポエット! なんたる機知! このヴォーカリストは「アンタイ」と「体制」をハイブリッドし、叫んだのだ。灼熱サケに脳みそを殴られたようになりながら、ギンイチはそのヴォーカリストの危険な知性に舌を巻いた。「アンタイセイ!」「あ…アンタイセイ!」客もそれを繰り返す。「アンタイセイ!」
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それを合図に、後方に控えるドラマーとタイキスト(訳註:太鼓を叩くパートか)が重戦車のようなリズムを乱打し始めると、オコトもそれに続く。狂ったように巨大ピックを叩きつけるたび、ディストートされたオコト轟音が<無垢>とレタリングされたアンプリファイアーから飛び出し、空気を掻き乱す。
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「回転スシが皿に無い!おれのところに回ってこない!昨日おれは理由を知った!イタマエの近くの奴が!スシを食べ過ぎる!」「マワッテコナイ!スシガコナイ!」「コナイ!コナイ!スシガコナイ!」「スシを食べすぎるな!」「スシを食べすぎるな!」「スシを、食べすぎるな!」
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「スシを、食べ過ぎるな!」「スシを、食べ過ぎるな!」気づけば、ギンイチは夢中になって周囲のパンクスとともに拳を天に突き上げ、声を枯らして叫んでいた。隣のイチジクと目が合った。笑いあった。
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ステージ近くで、興奮したブディズム・パンクスとキンタロ・パンクスが殴り合いの乱闘を始めた。「アンタイセイ同士でモメゴトしてんじゃねえー!」ヴォーカリストは叫び、そこへ向けてステージ上からダイブした。大変な騒ぎになった。残る三人はまったく意に介する事無く、演奏を続けている。
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やがて、ドラマーとタイキストが一糸乱れぬブレイクを刻み、オコティストはオコトを頭上高く持ち上げると、モッシュピットに力任せに投げつけた。アンプリファイアーからはニューロンを焼き尽くさんばかりの轟音。わずか1曲・2分半の演奏で、この日のアベ一休のライブは終了した。
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「すっごい、すっごいね」知らないうちにステージ前のモッシュピットへ突入していたイチジクが汗だくで帰ってきた。ギンイチも水をかぶったようにびしょ濡れだ。「はい、本当にすごかったです……あれ、その人たちは?」イチジクはパンクスを三人、連れてきていた。男二人、女一人。「友達!」
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「ドーモ、カンタロです」「ドーモ、エビジです」「ドーモ、チキコです」友人パンクスたちはギンイチに向かって順々にオジギをした。「ドーモ、ギンイチです」ギンイチはオジギを返した。三人とも、ギンイチとおそらくほぼ同じ年齢であろう。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「さっき会ったんだ。いつも『ヨタモノ』で遊んでるんだ、こいつらと」イチジクはにこやかに紹介した。エビジとチキコはその間、互いにべたべたと触れ合いながら、ネンゴロなさまを周囲に隠そうともしなかった。汗であっという間に酒気が抜けたギンイチは、妙な胸騒ぎをおぼえていた。
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「アベ一休、本当すげえな」賞賛しつつ、カンタロがイチジクの肩に腕を回したとき、その胸騒ぎの理由がはっきりわかった。「メンバー、まだいますかね」エビジがフロアを見渡す。「もう帰ったみたいですよ」とチキコ。イチジクが何か言ったが、ギンイチはほとんどうわのそらだった。
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(「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」#4、おわり。#5へつづく。)

コメント

オスツ🍣 @alohakun 2010年11月29日
「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」 #1 http://togetter.com/li/73081 「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」 #5 http://togetter.com/li/73121
ちーふ@ルンファ水着合同出します @m_chief 2012年1月24日
RT @NJSLYR: 「回転スシが皿に無い!おれのところに回ってこない!昨日おれは理由を知った!イタマエの近くの奴が!スシを食べ過ぎる!」「マワッテコナイ!スシガコナイ!」「コナイ!コナイ!スシガコナイ!」「スシを食べすぎるな!」「スシを食べすぎるな!」「スシを、食べすぎるな!」
クォート @quo_te 2012年2月27日
RT @NJSLYR: 「回転スシが皿に無い!おれのところに回ってこない!昨日おれは理由を知った!イタマエの近くの奴が!スシを食べ過ぎる!」「マワッテコナイ!スシガコナイ!」「コナイ!コナイ!スシガコナイ!」「スシを食べすぎるな!」「スシを食べすぎるな!」「スシを、食べすぎるな!」
まなが @sacrifice_why 2012年3月14日
RT @NJSLYR: 「回転スシが皿に無い!おれのところに回ってこない!昨日おれは理由を知った!イタマエの近くの奴が!スシを食べ過ぎる!」「マワッテコナイ!スシガコナイ!」「コナイ!コナイ!スシガコナイ!」「スシを食べすぎるな!」「スシを食べすぎるな!」「スシを、食べすぎるな!」