「キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー」 #7
「アッ!アッ!アッ!アッアッ!」それを追いかけるように連射されるタタミ針!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはカンタロの死体オブジェを蹴り、逆方向に跳んだ!
2010-11-08 22:20:52「アッ!アッ!アッ!アッアッ!」それを追いかけるように連射されるタタミ針!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはリバースモヒカン・パンクスの死体オブジェを蹴り、逆方向に跳んだ!
2010-11-08 22:21:53「アッ!?」 タタミ針が無くなった。リロードが必要だ。その隙を逃すニンジャスレイヤーではない。ニンジャスレイヤーはスキンズ・ゲイシャ・パンクスの死体オブジェを蹴り、ブリッジするアゴニィへ跳んだ!「イヤーッ!」回転して勢いをつけた踵落としである。ALAS!なんたる見事なアクロ空手!
2010-11-08 22:26:22アゴニィはブリッジ姿勢の腹部へ踵攻撃をまともに受け、地面に叩きつけられた。そしてその反動で、空中へバウンドした。
2010-11-08 22:27:43「イ、イイイーッ!」ゆっくりと空中へ浮き上がったアゴニィが不気味に手足をばたつかせる。ニンジャスレイヤーの肩の筋肉が縄のように盛り上がった。そしてアフリカ投げ槍戦士のごとく、上体をねじってスリケンを持つ手に力を込める。ジュー・ジツの大技、ツヨイ=スリケンの構えだ!
2010-11-08 22:34:15「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。スリケンはアゴニィの左足首を貫通した。「イイーッ!」
2010-11-08 22:34:42「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。スリケンはアゴニィの左手首を貫通した。「イイーッ!」
2010-11-08 22:34:58「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。スリケンはアゴニィの右足首を貫通した。「イイーッ!」
2010-11-08 22:35:16「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。スリケンはアゴニィの右手首を貫通した。「イイーッ!」
2010-11-08 22:35:54スリケンが四肢を貫通し、衝撃で体を大の字に開いた空中のアゴニィに狙いを定め、ニンジャスレイヤーは体を限りなく低く沈める。跳躍の準備動作である。
2010-11-08 22:39:24「イヤーッ!」跳び蹴りがアゴニィの腹部を直撃した。アゴニィは大の字の姿勢で壁面に叩きつけられた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはそこへスリケンを再び投げつける。投げるスリケンは四枚。狙いは四肢に既に刺さったスリケンである。
2010-11-08 22:42:45「イイーッ!?」追加スリケンは釘を打つがごとく、アゴニィに既に刺さった両手足首のスリケンを深々と壁にめり込ませた。ナムアミダブツ!瞬く間に、アゴニィは壁面に大の字になってハリツケにされていた!
2010-11-08 22:44:39「アーッ!動けません」アゴニィがぜいぜいと息を吐いた。逃れようともがくが、スリケンはアゴニィをがっちりとヨタモノの壁に縫いつけていた。「……苦痛がオヌシの力の源か」ニンジャスレイヤーはアゴニィのもとへ、ゆっくりと近づいて行く。その声はそれまでとうって変わり、奇妙にしわがれている。
2010-11-08 23:09:16「あなた……何ですか……?」荒い息を吐くアゴニィは、ニンジャスレイヤーの奇妙な変化に気づいたようだった。一歩一歩、ニンジャスレイヤーが近づく。「苦痛がオヌシの力の源か」ニンジャスレイヤーは繰り返した。「では、どうすればオヌシを殺せるか、少し考えてみるとしような」
2010-11-08 23:14:17アゴニィはニンジャスレイヤーの「忍」「殺」のメンポを見、それからその目を見た。その瞳を、瞳の奥の暗い輝きを覗き込んだ時、彼はニンジャらしからぬ情けない悲鳴を、初めて知る怖れの感情を、喉をからして搾り出したのだった。「アイエエエエエエエエエエエ!」
2010-11-08 23:17:47トミモト・ストリートを駆け戻ったギンイチは、ようやく「ヨタモノ」の通りへ辿り着いた。そして、周囲の路上で恐怖と苦痛に打ちひしがれるパンクスの群れを見い出したのであった。何人かは身体の刺し傷から血を流していた。失禁したり嘔吐するパンクスもいた。誰もが肉体か精神に重い傷を負っていた。
2010-11-09 00:26:23ギンイチは訝った。なにが起きているのか!?さっきの男と、なにか関連が?パンクスの中にイチジクを探すが、見当たらない。では、まだヨタモノの中だ。ギンイチはためらわなかった。「やめろ!中は…」「ニンジャ…」何人かが、階段を駆け下りるギンイチの背中に警告の言葉を投げる。
2010-11-09 00:36:16ノレンを潜り抜け、フロアへ飛び込む。LEDボンボリが不気味に照らすのは、サボテンのように針を生やした棒立ちの死体の数々である。それはまるで居並ぶハカイシのようであった。イチジクは? この死体の中にイチジクがいるのか? そんな!
2010-11-09 00:48:41ギンイチは絶望しかけた。だがその時、暗い床の上で身じろぎした者があった。「イチジク=サン!」駆け寄ったギンイチは屈み込み、倒れた少女の上体を起こした。「ギンイチ=サン?……」弱々しい声が漏れた。生きている!イチジクの脚と脇腹にむごく刺さったタタミ針にギンイチは思わず涙した。
2010-11-09 00:55:20「みんな……」イチジクは呟き、そのあとの言葉を飲み込んだ。みんな死んでしまった。硬直し棒立ち姿勢のまま横倒しになっているのはカンタロの死体だった。その近くにエビジとチキコのオブジェ死体が直立している。そして、それを殺したのは、あのアゴニィというニンジャ、「ニ…ニンジャは!」
2010-11-09 01:26:51ギンイチとイチジクは同時に気づいた。オブジェ死体が立ち並ぶフロアの奥、あの悪魔のような残虐ニンジャが、壁面に大の字になってハリツケにされている事に。
2010-11-09 01:28:18そのハリツケへゆっくり近づく人影。LEDボンボリで照らされる、赤黒のニンジャ装束を着た存在……それはギンイチがムコウミズ・ストリートで助けを求めたあの男であろうか、あの、網膜に焼きついた色と同じ装束を着た、ニンジャ……ニンジャを殺すニンジャ……。
2010-11-09 01:32:19「ニンジャ……スレイヤー……」ギンイチの口から自然に漏れたその言葉は、まさにその赤黒のニンジャが自ら名乗る名前に他ならなかった。
2010-11-09 01:35:32(キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー#7 おわり。次回#8でこのエピソードは終了です)
2010-11-09 01:37:57