【ついったんぺん】住民登録と粗大ごみ

Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL いつもメモ書いては投げっぱなしなので、この時間を利用して消化したいと思います twitter.com/Nicola_nn/stat…

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@sousakuTL 【メモ】お風呂場創作メモ。 牙を向け、今こそ。人として生きる力を、今こそ。 っていう。ある日突然最下層地区に市民掌握係と名乗る人間が現れた。そして彼らは銃を振りかざして言う。 「人間となるか物となるか、運命の選択をしろ」

2014-06-27 22:10:52

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】昔考えて案だけで放置していたネタ。思いつくがままに書くので変な部分あっても気にしない☆ ｰｰ 牙を向け、今こそ。人として生きる力を、今こそ。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】① それはある日突然の出来事だった。増えすぎた住民に世界がパンクしそうになったまさにその時。法案が可決された。 「第3753条、住民は全て等しく人権をを行使するこたが認められ、秩序と正義をもってして世界へ貢献を果たさなければならない」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】② 「ただし、住民とは世界に価値があり貢献の余地があるものとする」 最下層の人間が集まる地区に突如として現れた男は、俺たちのざわめきを無視してそう言い放った。テレビもラジオをもたない俺たちはこの男のおかげで第3753条をいち早く知った。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】③ 第3753条。通称ミナゴミ条。この最下層の俺たちを排除すべく生まれた新たなる世界のルール。 そんな条だの項だのつらつら述べた男は、腰にぶらさがっていた電気銃を抜いて空を打ち抜いた。ざわめきがやんで幾つもの視線が男を貫く。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】④ 住民登録。価値ある人間の選抜。 「住民登録の期限は一月後。それまでに登録をしないものは住民になる権利を放棄したとみなす」 しんと静まる中、男の声が乱雑な違法ビルに反射していく。 「最下層地区の人間に求められる価値条件はただひとつ」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑤ 「各自指定額以上の税金を納めること。住民登録を放棄した者は、現段階で認められている旧住民権は剥奪される」 俺は男の言葉を一字一句聞き逃すまいと耳を澄ます。男がほくそ笑んだのが見え、胸くそが悪くなる。 「人間となるかモノとなるのか」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑥ 「運命の選択をしろ。ーー何か質問があれば我々、住民掌握係りまで！」 男の蔑んだ目が偶然か俺をみた。ああ、こいつは俺たちが住民になれるとは思ってもいないのだ。 「それでは。一月後、全員が住民となることを祈る」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑦ ｰｰｰｰ 「ふうん、そんなことがあったの」 彼女は魔女と呼ばれる存在だった。住民価値が高く、本来ならばこんな最下層地区でくすぶっていていい存在ではない。 「とうとうこの世界は足キリしなければならなくなってきたのね」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑧ 「魔女はすぐにでも住民登録出来るんじゃないのか」 「ええ、ええ、出来るでしょうとも。希少価値の高いこの魔女は」 くすくすと妖艶に笑った魔女は、真っ赤なマニキュアが塗られた長い爪を愛でるように自身で眺めている。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑨ 「だけれど、その住民登録によって得られる価値とわたくしの価値は同等と言えるのかしら」 魔女の細く長い指が、爪が、俺を突き刺すようにまっすぐ俺に向いた。 「もちろん、わたくしだけでなく貴方も」 俺の価値、と言葉をかみしめる。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑩ 俺は価値の生産性がないからこの最下層地区まで転がり落ちてきた。そんな俺になんの価値があるのか。 魔女は考え混んでいる俺に微笑んだ。真っ赤なルージュが弧を描き、それはまるで赤い三日月が浮かんでいるようだった。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑪ 魔女は自身の指同士を絡ませながら、たいしたことない頭を働かせる俺の目を覗き込む。 「わからないのなら、わからせてやりましょう。貴方にも住民掌握係りとやらの彼らにも」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑫ 魔女は立ち上がる。さらりとした黒に染められたら絹が静かな音をたてて流ていく。 「わたくしは住民登録なんてしませんわ」 魔女の微笑みが深く刻まれる。 「そんな法なんてものにわたくしたちは収まりきらない何かを持っているもの」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑬ ｰｰｰｰ ひと月というのはあっという間だった。なんとか金を都合して住民登録をした人間はこの最下層から這い上がり、下層地区の国営の安いボロアパートに移動させられた。あんなボロに金を払って住むなんて信じられない。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑭ 俺を含む大概の最下層の人間は、住民掌握係りが提示する税金の額には手が届かない。そもそも届くように設定されていないのだと魔女はくすくすと楽しそうに笑っていた。 ミナゴミ法。 住民権を持たないものを人間とは認識しない法。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑮ 今まで誰にでも平等に与えられたら旧住民権はなくなり、俺らはヒトではなくなった。俺らは動くモノだ。 「ああ、ああ。とうとうわたくしを縛る法がなくなりましたわ」 ヒトでなく価値のない俺らは粗大ゴミとされる。ゴミには権利も法も何もない。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑯ 粗大ゴミの集まりになったこの最下層地区は、いわばゴミ処理場だ。処理場の入り口には住民掌握係りが電気銃を手にして待ち構えている。 これからゴミの処理がはじまる。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑰ 魔女はさらさらと黒の滑らかな絹を滑らせながら、女神の微笑みをたたえて前へ出た。黒に添えられる白い肌に赤い口紅と爪。さながら悪魔のような女神に、住民掌握係りがざわめく。価値ある魔女がゴミに紛れているとは思わなかったのだろう。

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑱ ゴミには時々間違って捨てられた、お宝が眠る。それがこの魔女、俺らの希望。 魔女の漆黒の瞳がにんまりと笑んだ。 「あらあら、人間サマが何のご用かしら。それ以上お進みになられるなら、わたくしのエリアを汚したものとして容赦致しませんわ」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑲ 血の気の多い馬鹿な住民掌握係りの一人が前へ怒鳴りながら前へ出た。その瞬間、俺はスコープから見えていたその男の頭をボロアパートの屋上から撃ち抜いた。 魔女が笑う。 「わたくしたちは、貴方たちに容易く処理されるつもりはありませんの」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】⑳ 粗大ゴミたちが武器を手に魔女の後ろに集まる。捨てられ錆かけていた武器も今は俺らの手で輝く。 魔女はふわりとほうきに腰掛け少しだけ浮いた。 「さあ、人間サマと粗大ゴミの戦争ですわ。ーー楽しみ踊りなさい。全力でわたくしがお相手致します」

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@sousakuTL 【住民登録と粗大ゴミ】（終劇） とゆことで、土曜からチマチマ書いてたのはこれで終わりです。規模の大きな（人数の多い）戦争ものを書きたくてメモしていたものを使いました。