マニューバ・バトル・オフ・サイレントヒル　前編

劉度 @arther456

「残りの二隻は！？」陸奥が問い、利根が探す。反対側から挟み撃ちにしてくるかと思ったが、そちらには見当たらない。大回りして後ろに回り込む気かと、そちらにも偵察機を放つが、やはり見つからない。なら、どこに。考える利根の目に、前方の島が写った。「……いかん、前じゃ！散開せよっ！」 23

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島の林の中から、砲弾が飛び出した！「どええっ！？」隼鷹が慌てて避ける。中口径砲弾は、横須賀艦隊の中央を割るように着水した。「流石佐世保のエース、艦娘の戦い方を使いこなしてるじゃない」陸奥がニヤリと笑う。確かに彼女たちは艦娘であり、船ではない。島を走って横断してもよいのだ。 24

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『神通と妙高だ。火力がヤバいぞ』陸奥の頭の中に声が響き、もう一つの視界が二人の艦娘の詳細データを写す。ドリフト・システムで五感を繋げた提督のものだ。「オッケー。利根！ヴェールヌイ！あの二人を抑えこんで！」「任せろ！」「了解」水柱の向こう側にいた二人は、島に向かって突進する。 25

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林の中にいた佐世保の二人は、利根とヴェールヌイが近づいてくることに気づくと、陣地を飛び出し海の上を走ってきた。「むうっ！？」その姿を見て、利根が呻く。桜並木をバックに走ってくる神通は、頭の鉢巻には探照灯を二本挟みこんで、真っ直ぐこちらを睨みつけている。 26

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手に持つのは日本刀と、オート５ショットガンを模して作られた15.2cm連装砲。艦娘というより、どこぞの大量殺人犯と言ったほうがしっくりくる、異様な風体であった。隣にいる妙高は普通の格好なのが、また余計に狂気を煽る。神通が睨み据えるのは利根ではなく、ヴェールヌイ！ 27

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「鶴子はどこじゃあああ！」意味不明な雄叫びを上げながら、神通がショットガンを発砲！ヴェールヌイはそれを側転で避け、高角砲を構える！「ゲタウトヒア、スタルカー！」発砲！だが神通は獣じみた動きで跳躍し、これを回避！日本刀で斬りかかる！ヴェールヌイはこれを前転回避！ 28

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「ちょっと待てえ！これ演習じゃろ！？」「大丈夫です！逆刃刀ですから！」「鉄の棒で全力で子供に殴りかかる奴があるかっ！」サムズアップする妙高に、砲撃のツッコミを入れる。ペイント弾が炸裂し、妙高の艤装の一部を染めるものの、小破判定にも至らない。ただの重巡の装甲の厚さではない。 29

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「主砲斉射、始めて下さい！」５基１０門の２号連装砲が利根を襲う！「どおおっ！」利根の４基８門とは威力が違う。避けるが、一際大きい水柱に肝を冷やす。最新最強、重厚にして高火力の戦闘艤装、それが妙高改二。利根とて第二改装を受けているが、砲戦特化の妙高には後れを取ってしまう。 30

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「じゃがの、我輩も素人ではない」妙高に砲撃力で負けているのは事実。だが、利根にも妙高にはできないことがある。「戦闘力の差が勝敗に繋がるわけではないということを教えてやろう！」「望むところです！妙高、参ります！」互いに砲弾は装填し終えた。機関全速、第二の交錯が始まる！ 31

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【マニューバ・バトル・オフ・サイレントヒル】前編おわり　後編へ続く