半可通さんによる『的川泰宣先生「はやぶさ物語」講演メモ』

半可通 @hankatsuu

的川先生講演会、ＩＥＳクロス結合に関して。「國中君がその日の夜、Ａエンジンの中和器と、Ｂエンジンを組み合わせて使ったらどうかというアイデアを川口ＰＭに話した。川口『アイデアはいがダメだな（ＡとＢはつないでないから）』　國中『申し上げにくいんですが……実はつないであるんですよ』」

半可通 @hankatsuu

的川先生「國中君は２０年ずっとイオンエンジン一筋の人。『僕にとってははやぶさよりイオンエンジンの方が大事』と言うくらい。（打ち上げ前に）現場の堀内君という人のところへ行って、『つないでくんない？』　堀内君『探査機を打ち上げ直前にいじるなんてとんでもない』」

半可通 @hankatsuu

的川先生「國中君は夜中ずっと考えて、ダイオードをつければいいと気がつき、堀内君に提案。堀内君『影響ないですか？１３０億円かかっているから、はやぶさだめになったら僕ら二人で１３０億円持つんですかねえ。』」

半可通 @hankatsuu

的川先生「（國中先生のアイデアを採用することになって）川口ＰＭ『地上でテストしてみよう』　國中君は「実はもうテストしてあるんです」と言いたかったが、気が弱くて言えなかった。テストがうまくいった時、川口ＰＭは嬉しそうな顔をしていた。披露宴でもあんな嬉しそうな顔はしてなかった」

半可通 @hankatsuu

的川先生（はやぶさが最後に撮った地球の写真をプロジェクタで投影して）「川口君が『はやぶさ君に最後に地球を見せてやろう』川口君は冷静な人で、これまで『君』をつけたことは一度もなかった。この時はじめて『君』をつけた。周囲「先生、今『君』っていいました？」

半可通 @hankatsuu

的川先生（例の「あすかちゃん」の手紙に関して。手紙をプロジェクタで投影）「あすかちゃんの手紙はずっとホワイトボードに貼ってあった。でも手紙に差出人も住所も書いてないのでどこのあすかちゃんかわからない。すると、相模原で（hankastuu……ここ聞き漏らした。イベント？）」

半可通 @hankatsuu

的川先生（「あすかちゃん」の手紙に関して）「（講演会か何かが終わった後……hankatsuu注）女の子を連れた家族４人がやってきた。お母さんが娘を紹介して『この子があすかです』　僕はおもわず抱きしめちゃいました。」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演、最後のまとめ（多少漢字・ひらがな・句読点・カッコなど、表記が元と違うかもしれません……hankatsuu）「今日は明日の準備だけではない。『いのちを輝かせる最も大切なセンス』を身につける時期である可能性。　幼い共感と感動が未来を作る。　着眼大局　着手小局」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演、最後のまとめ「大人になった人に、『あなたが一番変わった時はいつか』と聞くと、平均値をとると小五。人生の基調になる考え方がしのびよってくるというかはきだされるというか。」

半可通 @hankatsuu

的川先生「クローズアップ現代ではやぶさ成功の理由をひとつだけ挙げるとすれば？と聞かれた時答えた。『適度な貧乏』　アメリカは１３０億でやれたことにびっくりしていた。５００億かかるはずだという。金がないとできるだけできるだけ自分でやるからいい。」

半可通 @hankatsuu

的川先生「できるだけ自分でやって、最後、ものを作ってくれるところに頼むしかない、というところで初めてよそに出す。すると、ピンチの時、数人の幹部が集まってアイデアを出せる。」

半可通 @hankatsuu

的川先生、最後に今の日本に苦言「バブルの頃、適度に貧乏になる知恵があったら、今ごろ世界に冠たる国になっていた。日本の歴史で初めて金余りになったので使い方が分からなかった。２０世紀は軍事だ経済だと言っていたが、２１世紀は共感がキーワード。」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演ラスト「２１世紀、お金はないけどものすごく立派な人たちがいる立派な国だよ、と言われたい」この後、質疑応答。

半可通 @hankatsuu

的川先生講演会質疑。小五の子「先生の『やんちゃな独創―糸川英夫伝』を読んで感動しました。将来宇宙開発の仕事がしたいのですが、今どんなことをしておくべきですか」的川先生「特にないです。体を鍛えてください。うんと遊んで下さい。はやぶさチームは小さい頃うんと遊んでます」

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「うんと遊んだからアイデアが出るんです。塾の勉強のように、問題が先にあって解く勉強ではなく、問題を見つけるのが遙かに大事。宇宙のことを一生懸命勉強したらマニアになってロクなことにならないですよ」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演会質疑　女性「開発運用の方は、探査機に人格や魂が宿るように感じるのはどの瞬間でしょうか」　的川先生「これだけ人格化されて扱われるのははやぶさが初めてだが、現場の人を見ると、最初に人格を感じる瞬間は、積み込んでノーズフェアリングの蓋を閉じる瞬間。」

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「ノーズフェアリングの蓋を閉じると、もう見られなくなるからお別れの瞬間にエンジニアは皆泣いてます。彼らは大体『娘』と言います。はやぶさはもう少し違う要素がある。実際仕事に関わっていない（一般の）人からこれだけ人格化して扱われたのははやぶさが初めて」

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「プロでない人とも思いを共有する瞬間をもっと大事にしたい。それがはやぶさは最大限発揮された。皆さんの税金でやっているわけですから（笑）今後も思いを共有できるミッションをしたい」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演会質疑　若い男性「技術的な知見においては、すんなりミッションを達成するのがいいのか、トラブルが多い方が得るものが多いのか、どちらでしょうか」　的川先生解答「その場その場で必死に処理しますからねえ……新聞に載らないだけで小さいトラブルはしょっちゅう起きてる。」

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「あまりにも何も起きないと不安になる。ロケット打ち上げでも、世界で安定して打ち上げしているロケットも２０機に１機は失敗している。日本のロケットも、１５機を越えたあたりからもうすぐ２０回目だなあ……と不安になる（笑）。

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「チャレンジングなものに挑んでいく気持ちを持っていないと新しいものは生まれない。安全に安全に、はだめ」

半可通 @hankatsuu

的川先生講演会質疑　女性「微粒子発見のニュースは、どこで、どのように報告を受けられ、どう感じ、どんな会話をされましたか」　的川先生解答「確か……出張先だったと思う。でも（ニュースになる）前の晩に電話がかかってきた。」

半可通 @hankatsuu

的川先生解答「『明日、はやぶさのニュースが出ますから、明日まで秘密にしといて下さい』　的川『何を秘密にするの？』　『あ、じゃあいいです』」（笑）　質疑のあと、的川先生も宣伝していたはやぶさキティグッズの販売に行く人、的川先生にサインをもらいに行く人でプチサイン会状態。

半可通 @hankatsuu

来ていたシャツに直接サインをしてもらっている少年もいて、ほほえましい光景。松本零士の講演時間が迫っているので運営スタッフはハラハラしたのかも知れないが、松本先生到着遅れでちょうどいいタイミングで次の講演会に引き継いだ。