塔10月号「十代・二十代特集」を中の人約一名が好き勝手に読む2014[第2回]

「塔」2014年10月号掲載の特集「十代・二十代特集」を、濱松哲朗が一人で勝手に読み込む企画です。 第2回で取り上げたのは、宮崎可奈子、真田菜摘、阿波野巧也の三名です。
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濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-024]夏の花、ぼくら許して許されてそしたら見にいこう、冬の花 /阿波野巧也「スペシャルサンクス」#塔1020

2014-10-15 00:03:13
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-025]読点を繰り返すことによって時系列の連続性が生まれるのがわかりますね。ただ、「ぼくら許して許されて」というフレーズ感のありすぎる文句は、浪曲的になってしまっていて、些か気になります。#塔1020

2014-10-15 00:05:51
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-026]ただし、こう読むこともできます。この連作の「私」と「あなた」はなにも、花を見にいくつもりではないのではないか。そう思うと、「見にいく」という動詞から、二人の関係性が濃くなっていくのを感じます。花は象徴的ですが、育みやすいので少し安直かもしれません。#塔1020

2014-10-15 00:09:59
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-027]見てきたことを話してほしい生まれ育った町でのイオンモールのことを /阿波野巧也「スペシャルサンクス」#塔1020

2014-10-15 00:10:42
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-028]「イオンモール」という、標準化の象徴のような建造物が目を引きます。どこのイオンモールだって同じようなものかもしれませんが、生まれ育った町のイオンモールなら、それが「あなた」の基準であるわけです。意外と深いことを訊いているのがわかりますね。#塔1020

2014-10-15 00:14:25
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-029]あと、気になるのは「町での」という表現でしょうか。単なる音数合わせなのかもしれませんが、「町の」にしなかったことで、イオンモールが単なる建物ではなく、その人の経験や生き様を示すものとして立ち現れてきます。今は別の経験をしていることも。#塔1020

2014-10-15 00:20:14
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[02-030]今回の阿波野作品からは、「いる」「いく」「くる」という動詞の使い方についても考えさせられます。状態の示し方ひとつで、歌はガラッと姿を変える。ただし、状態の提示が多いと、作者が「見過ぎている」ようにも読めてしまいます。なかなか難しいですが。#塔1020

2014-10-15 00:27:16
濱松哲朗@『翅ある人の音楽』 @symphonycogito

[01-031]というわけで、第二回はこれにて終了です。ああよかった、前回の半分の時間でできた。#塔1020

2014-10-15 00:28:37