劉度
@arther456
身を起こす。あれだけの高さから落ちたのに、どこにも怪我をしていない。幻覚か、それとも夢か。だけど、あの街の光景、匂い、そして怪物に掴まれた感触は、夢だとは思えなかった。粟立つ肌を抑えながら、提督は先を見る。今いるのは船の中央。その先には艦橋があり、そして、船があった。 23
2014-10-21 21:45:52
劉度
@arther456
提督の乗る船は、もう一隻の船に突き刺さっていた。後ろ半分が千切れた船の傷口に、今の船の船首が突き刺さっている。先の船が後ろの船よりも一回り大きいので、船が船を食べているようにも見える。そして提督は悟った。あれが、あの灰色の船の半身こそが、『不知火』だと。 24
2014-10-21 21:49:01
劉度
@arther456
後ろ半分が千切られているが、『不知火』にはまだ艦橋が残っている。そこに不知火がいる。迎えにいかなければ。「……よし」走り回って乱れた衣服を直し、提督は気合を入れなおした。衝突部はめちゃくちゃで、こちらの甲板から『不知火』には直接乗り移れない。どこから登るべきか。 25
2014-10-21 21:52:16
劉度
@arther456
よく見てみると、『不知火』の倒れたアンテナがこちらの船の艦橋に倒れかかっていた。あれを伝えば、向こう側にいけるかもしれない。さっきの金網を思い出し、提督の背中がぞくりと粟立つ。やめとこうかと思ったが、この高さなら落ちても大丈夫だ。多分、そのはずだ。 26
2014-10-21 21:55:27