統計に騙されない用心が暴走するとき
- cucamber_milk
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.@yhlee というのも、表層的なルールに関する知識だけ中途半端に普及して、より本質的なリテラシーがないがしろになっているのではないかと危惧しているからです。
2014-10-24 21:18:44.@yhlee 「棒グラフをカットしてはいけない」というのは、格差を誇張するのが不誠実だということで、統計のウソを解説するテキストや、グラフ作成の初級テキストによく載っていることではあるのですが、その種のテキストが、格差の意味を評価する知識に言及していることはまれです。
2014-10-24 21:19:23.@yhlee 端的にいって、格差の意味さえ計量的に示されていれば、グラフなんていくらだってカットしてもかまわないのです。あの手のグラフはしょせんプレゼンの道具にすぎないのですから。それより、格差の意味を評価するには、分布の情報が重要なのですね。
2014-10-24 21:19:49.@yhlee その点、今回のグラフは数値とともに分布が明瞭に示されていましたし、そのうえで、(1)多様な福祉制度を持つ国々で回答に差があること、(2)そのいずれの制度を持つ国と比べても日本の回答は外れ値と言っていいほど突出して否定的であることの2点がわかりました。
2014-10-24 21:20:26.@yhlee あのデータから、「日本では肯定的な回答がほとんどゼロだ」みたいな誤読を誘っていたのなら話は別ですよ。でも、そんな主張はなされていませんでしたよね。
2014-10-24 21:20:50.@yhlee 統計・確率については、基礎的な教育がおろそかになっているのにしばしば用いられるため、ネットにはたくさんの誤解があふれています。「電話調査は信用できない。メディアのやる世論操作だ。ネット世論のほうが信用できる」とか。でもそれって、「ネットで真実」の一つなんですよね。
2014-10-24 21:22:44.@yhlee 情報の質を疑ってかかるのはとても重要なことです。でも、過剰に警戒して陰謀論にはまってしまうのもつまらないことです。統計は時として危険な道具になりうるものであるからこそ、正当にそれを評価する知識とスキルを身につけることは重要だと思います。
2014-10-24 21:26:31.@yhlee 以上で終わりなのですが、ここから補足を一つ。昼も書いたように、あの図には冗長部分をカットしたことなんかよりも、もっと大きな問題が一つあります。
2014-10-24 21:29:14.@yhlee それは、「1政府の責任である」「2どちらかといえば政府の責任である」「3どちらかといえば政府の責任でない」「4政府の責任ではない」という4段階の順序尺度で測定ししているのに、わざわざ分布の情報を削ってしまって、1と2の合計値だけを使っていることです。
2014-10-24 21:31:18.@yhlee それでもある種の傾向を判断することはできますが、脱落した分布情報があれば、また違った印象を受ける可能性は十分にあります。例えば、「政府の責任ではない」とはっきり否定する回答は他国よりも日本のほうが少ないかもしれません。
2014-10-24 21:33:44.@yhlee 棒グラフをカットしてもすぐに元に戻せますが(戻すまでもなく全体像を想像できますし)、この種の操作は不可逆的な情報量の削除なので、ぼくは好きではありません。
2014-10-24 21:35:36.@yhlee でも、あの図の作成者は、データのソースだけでなく、そういう手続きまで図の中に明記していました。ソースに当たれば誰もが追試できるし、手続きを読むだけで情報量が減っていることがわかるからです。だまそうとしているどころか、逆に正確に伝えようという誠実な意思が見えます。
2014-10-24 21:40:13「何倍」みたいな見方そのものが間違っているという話をいまツイートしていたところです。 RT @yoshikusa: @han_org @yhlee ただ、何度も言うように73%が57%の3倍か4倍に見えるグラフだけ悪いと思います。学力問題で文科省が出したグラフにもありました
2014-10-24 21:44:11@han_org みょんすさん、くわしい説明をありがとう。補足もとても参考になりました。わたしはプレゼンとして、つまり現在の受け手のレベルを考えて表現するべきだと思っているし、みょんすさんは、受け手の側も統計リテラシーを高めるべきだと考えているし、その違いですかねぇ。
2014-10-25 10:07:50@han_org 言いたいことはこれだと思うんですけど、もう少し質問していいですか?(アカンと言われるのは考えてないです(笑) お暇な時で。)初歩的な統計の本以外に知識とスキルを身につける方法って、具体的にどういうものを考えてます? 数学はぜんぜんわかりませんが(笑)
2014-10-25 10:11:14@yhlee ですです。加えて、そのどちらを採用すべきかは目的によって異なっているのではないかということです。
2014-10-25 11:27:39@han_org なるほど、そのとおりですね。今回の場合だと、わたしも含めて、批判した人たちは、もうちょっと統計リテラシー持ってていい立場じゃないの? っていう感じかしら。
2014-10-25 11:30:18.@yhlee 大学教育の中では、その種のリテラシーを習得するのは「実習」ですね。習得した知識を実際に使いながらスキルを身体で覚えるわけです。でも市民教育として体系的にやるのはなかなか難しいですね。一応ぼくの中では、ツイッターでのこうした対話もその作業の一つではありますが。
2014-10-25 12:20:36@han_org 社会人に対する教育で、実習を伴うものは、「体系的に」っていうのは、ほんと難しいですよね。でも、経験と学んだ知をすぐにリンクできる良さもあるし。ほかの人の役にも立つよう、生徒役上手にできるといいな(笑)
2014-10-25 12:28:12.@yhlee そうですね。より正確に言えば、ぼくが気になったのは、批判していた方々の知識がアンバランスであること、そしてその結果、不適切な批判を招いたことです。(続)
2014-10-25 12:33:42.@yhlee 専門知って《相場観》を含めた細かい知識の体系ですよね。でも専門外の方はそれらを持たないので、知性ある慎重な方々の場合、必然的に「騙されていないかどうか」だけを評価する知識を身につけることになります。
2014-10-25 12:36:33.@yhlee ところが、結局のところ、「騙されていないかどうか」だけを評価する知識というのは一定の専門知があって初めて発揮できるものなので、それだけを絶対視してしまうと、専門家にとっては適切な言動の範疇にあることでも厳しく指弾してしまうような不合理が生じます。
2014-10-25 12:40:34.@yhlee (不動産は大きな買い物なのでやむをえなかったとも自分を正当化していますが)でも、統計の場合、非常に身近に用いられていることもあって、専門知があまり適切には尊重されていません。結果、「騙されていないかどうか」だけを評価する知識が暴走していても、それが自覚されにくい。
2014-10-25 12:46:29.@yhlee ということで、専門外の方が「騙されていないかどうか」を評価することは非常に重要だけど、その評価が適切かどうかの確定的な判断についてはまた専門家による評価が必要だということも知っておきたい、ということです。
2014-10-25 12:50:46