連作・「長いハロウィン」

連作したいねーって呟きあってただけなんですよ。ほんと。堪忍してつかぁさい。
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鹿目久憲(しか) @0sika0

@ERIGO30 「さて、お次は囮か…骨が折れる…な!」遺跡に走っていく少女を見送ると、男は再び細い路地を戻り、途中で見つけておいたマネキンを拝借して後ろに乗せる。「行きとは違うが、ま、変装したと思えば…」ワンピース姿のマネキンを乗せた男は騒ぎが聴こえる場所へとカブを走らせた。

2014-10-27 15:07:24
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@0sika0 「いたぞ!」「追え!ただし娘は生け捕りにしろ」黒塗りの車たちから怒声がし、車が猛スピードで追ってくる。「俺たちの時間はゆっくりだからなあ。おい、がんばれよ」男は愛車のカブに話しかけると、遺跡とは反対の方向に走り出した。

2014-10-27 17:32:47
鹿目久憲(しか) @0sika0

@ERIGO30 囮として逃げる途中、男は黒塗り車に前後に挟まれかけたが、愛車ですら悲鳴を上げるほどの狭い側道へ逃げ難を逃れた。車体がガリガリと悲鳴を上げながら前進する。道を抜ける途中、後ろで盛大な爆破音が響く。「嬢ちゃん大丈夫かい?」男はマネキンを労いながら楽しそうに笑った。

2014-10-27 20:04:59
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@0sika0 「さて、あっちのお嬢さんは無事かな」男はスマホを開く。地図上にはない遺跡の位置に赤く点滅しながら動いている。「よし、か」路地の向こうの道路では旧式の国旗を掲げた無表情の老人たちが行進し、警察の車が寄り添うように走る。「まったく、俺向けの調査じゃないな」

2014-10-27 20:33:37
鹿目久憲(しか) @0sika0

@ERIGO30 「早く戻って貰わないと…」先程の感覚を思い出して身震いする。今の状態は確かに何か行動を起こすには勝手が良いが、慎重に行動する事を強いられるこの仕事には不釣り合いだ。むしろ致命的と言ってもいい。「さて、本命を叩きますか」男は少女のいた学校へとカブを走らせた。

2014-10-27 21:47:00

少女は進む。

天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「あれが厄介事の出口だ。奴らはこの仕組みを知らずに使っているのが不幸中の幸いだな。さて勇敢なお嬢さん、この鍵であの出口を塞いできてくれないか、オレはあれを動かしてる奴らを叩いてくる」男の言葉を思い出す。「この迷路の真ん中に向かえばいいんだろうなぁ、きっと」

2014-10-27 18:24:21
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 左手で壁づたいに石造りの迷路を少女は歩き出す。分岐点にきてもこれなら迷わないはずだ。しばらく歩くと、壁は行き止まりになっていて、赤と緑、二つのスイッチが埋め込まれている。「トラップなんて、まさか、ね」

2014-10-27 19:02:30
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「どっちかは正解だよね」両手を二つのスイッチに当てて同時に押しこむ。両方に同じ手応え。足の下に違和感。飛び退いた一瞬後、床と行き止まりの壁が同時に下へと落ち込む。恐る恐る断崖を覗きこむと、その深さ3m程度。「落ちても死なないね、上がれないけど」助走をつけて跳躍!

2014-10-27 19:36:54
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 左手を壁に沿わせて、さらに歩く。だんだんと暗くなっていく。外はどうなっているのだろう。あのバイクの人は無事だろうか。突然、後ろから何か獣の足音が迫ってくる。壁に背中をつけ構えをとると、獣は少女に飛び付いてくる。「ケダマ!?」

2014-10-27 19:51:14
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 家で飼っている白いもふもふの肉食獣、通称ケダマ。「脱走してきたの?!」ケダマはがしがしと少女の手を甘咬みする。「痛い痛い。あの崖を飛び越えてきたの? やるなぁ、野生の勘? よし、来たからには私を護って貰うっ、行け!」獣は機敏に暗闇へと駆け出す。「ま、待って!」

2014-10-27 20:28:42
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 愛犬のケダマの後を追って少女は遺跡の迷路の中を走る。壁に沿わせた左手がひりひりする。ケダマがやっと奥の行き止まりで立ち止まり、低くうなり声を上げている。行き止まりの壁は堅い金属。カードキーを差し入れるのによさそうな溝を少女は見つける。

2014-10-27 20:52:10
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「よおやく、よおやく辿り着いたぜぇえっ! ここかあッ!」少女はヤケクソ気味に笑いながら溝にカードを突っ込む。カチリと嵌った感触と共に、鈍い振動が辺りを揺るがす。「く、崩れ落ちて来ないよね?」後退ったその時、金属壁がせり上がり、霧と共に生臭い獣臭が噴き出した!

2014-10-27 20:57:54
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow ケダマは少女の前で威嚇するようにうなり声をあげている。霧の中から、巨大なヒマ が立ち上がり咆哮する。ヒグマの目は赤く光り、四肢と腹部は金属で被われている。ヒグマはケダマと少女にゆらりゆらりと近づいてくる。

2014-10-27 21:12:01
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「死んだッ、私は死んだッ! なんだこのメカクマー!」少女はじりじりと後退る。ケダマが激しく吠え立てる。「背中見せたら襲われるッ、助かるにゃ口に手ぇ突っ込んで舌引っ張るんだっけ、無理ッ! さようなら! 皆さんさようなら!」半泣きで喚きながら少女は後ろ手で壁を探る。

2014-10-27 21:21:15
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 巨大な改造されたヒグマが前足を振り上げた瞬間、ケダマが相手の喉元に食らいつく。金属的なうなり声をあげてヒグマはケダマを振りほどこうと身をよじらせる。少女は壁につきささったままのカードキーを見つける。

2014-10-27 21:36:31
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「戻っても追いつかれるっ」少女はヒグマの脇を走り抜け、カードキーを引き抜く。ゆっくりと金属壁が降りてくる。「やりぃ、ケダマ、来いッ!」ケダマがヒグマから振り払われて、壁が降り切る直前に見事滑りこむ。キャイン! 甲高い悲鳴を上げたケダマの頭を少女はがしがし撫でた。

2014-10-27 21:46:32
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 「ローラちゃん、お客様かね」室内の奥から男の声がする。「ローラちゃん、お客様を傷つけてはいけないよ。それが特に女の子ならね。くくく」奥のデスクでは旧式のブラウン管型デスクトップに向かって猫背で髪の薄くなった初老の男が座っていた。

2014-10-27 22:09:39
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 ケダマはすたすたと男に歩み寄る。「そっ、その犬は咬みます! あ、お邪魔していますっ、こんにちは! 初めまして! なんかもやもや出てるのを止めに来ました!」ひとしきり愛想笑いした後に、少女はふと真顔になる。「ローラちゃん? 爺さんあの臭いメカクマと仲良しなの?」

2014-10-27 22:15:45
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 「君の制服は、この街のものだね。エスケープなんていけないなあ。それからこの研究室に入るためには、僕のアシスタント嬢のアポイントがいるんだよ。ローラちゃんは気難しいから最近なかなか人が訪ねて来なくてね。ああ、昔はにぎやかだったものさ」

2014-10-27 22:26:03
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「いやさぁ爺さん、私以外がほぼ全員キ○ガイになっちゃってね、あ、私はちょっとしか○チガイじゃないよっ。このカードキーくれたおっさんがここから出てるもやもやしたのを止めろってさ。爺さん何か聞いてない?」少女はひらひらとカードキーを振って見せる。

2014-10-27 22:37:18
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow 「君!それ差別用語じゃないか!」老人は突然険しい顔で怒鳴りはじめる。「やはり今の学校教育はなっとらん!昔のように、正しい倫理と美しい日本語、国を愛し、年長者を敬う心を教えこまなくてはならんのだ!」老人は口角に泡を浮かべている。「その鍵もわしから盗んだな!」

2014-10-27 22:46:03
天波 八次浪 @yajirow

@ERIGO30 「うわぁ爺さんもキチ○イかっ、それともボケてるのかっ?」少女はデスクによじ登ると片足を高く上げる。「こらっ、なんてはしたないことを、やめんか!」「緊急事態につき御免!」がんっ、と老人の脳天にかかと落としを食らわせて、パソコンの画面を覗きこむ。「おや? これは?」

2014-10-27 23:47:25
佐々木江利子@固形石けん @ERIGO30

@yajirow パソコンの画面には校舎の見取り図。「これ、うちの学校?」老人にそっくりな姿の男が校庭で生徒の前で話している姿が映る。「この人、たしか今年から来た校長だっけ?」適当に老人にカーソルを合わせると「話す。歩く。座る」等のコマンドが表示された。

2014-10-28 09:25:55

男が学校にたどり着き・・・

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