【ヒエキヤマ】 2話 時雨の贈り物

2話 時雨の贈り物まとめ 山城の進水日に時雨がプレゼントを渡しに行くも... こちらのまとめを修正した最終決定版がpixivに上がっています 続きを読む
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桔山 海 @as_keito

僕は山城へのプレゼントと提督に渡された封筒を持ちながら扶桑と山城の部屋に向かう。執務室に呼ばれて話しているうち随分と時間が経ってしまったみたいだ。#時雨の贈り物

2014-11-08 19:52:12
桔山 海 @as_keito

提督は僕を呼ぶなり 「時雨、俺は明日山城に思いを伝える」なんて言い出すからびっくりしたよ。僕と提督の関係は恋敵でもあるから提督は僕に誠意を持って宣言したんだろうね。#時雨の贈り物

2014-11-08 19:57:06
桔山 海 @as_keito

でも、お互いにその思いが実らないことを理解している。恋敵であると同時に僕たちは同じ立場で、会話できる良き話し相手だった。 僕と提督で山城を好きな理由が一致している。僕たちは山城の心の強さに惹かれている。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:02:20
桔山 海 @as_keito

山城と出撃すると絶対に生き残ってやると言わんばかりの意志の強さを感じるんだ。絶対に生き残って扶桑に会いに舞い戻る。その思いの強さが山城の原動力であり魅力なんだ。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:08:05
桔山 海 @as_keito

僕たちは一般人には見えない。だから昔みたいにみんなに賞賛されることは無い。その代わりに僕たちが見える提督に心の拠り所を求める艦娘もいるし、山城のように姉妹艦や仲の良い艦娘に心の拠り所を求める艦娘もいる。 僕はどっちなんだろう。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:13:29
桔山 海 @as_keito

そんなことを考えていたら扶桑と山城の部屋の前に着いていた。 夜も更け辺りは静かで聞こえるのは川内の声が聞こえるくらい。ああ、聞こえなくなった。神通に連れていかれたのかな。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:18:36
桔山 海 @as_keito

僕はコンコンとドアをたたいた。 「時雨だよ、入ってもいいかい?」 「はい」と扶桑が答える。 「提督とお話してたら長くなっちゃって、あ、これ山城に。扶桑と二人で使ってね」と言って、二つの湯呑を山城に渡す。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:23:49
桔山 海 @as_keito

「あんた、随分と渋いもの渡してくれるわね、 でも、ありがとう。姉さまこれ時雨からです。どうぞ」 「まあ、良くある魚の名前が入った湯呑かと思ったら 雨の名前なのね初めて見たわ」 「特注品だからね。その湯呑を持っているのは世界で二人だけだよ」#時雨の贈り物

2014-11-08 20:28:50
桔山 海 @as_keito

よかった。二人とも満面の笑みだ。 「世界で二人」って言った瞬間の二人の見つめあって微笑む様子を見ると実感してしまう。やっぱり、山城には扶桑しかいない。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:41:45
桔山 海 @as_keito

ああ、忘れていた提督から渡された封筒も渡しておかないと。 「山城ちょっと来てくれるかい」と言って扶桑に背を向けた。 近づいてきた山城に耳打ちして、提督からもらった封筒の中身を扶桑に見えない様に広げる。覗きこむ山城の頬から涙が伝うのが見えた。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:47:04
桔山 海 @as_keito

「山城、今度みんなでお祝いしよう。今日はもう二人きりがいいよね」 「...ありがとう」と言って頷き山城は僕を優しく抱きしめてくれた。 山城は時々ああいう風に抱きしめてくれる。お互いに嬉しいとき、辛いとき。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:52:19
桔山 海 @as_keito

僕と扶桑以外を抱きしめているところを見たことがないのが少し嬉しいところかな。でも辛そうな娘を見つけると抱きしめたりしないまでも不器用に励ましてあげているよね。こうやって抱きしめられるとそんな優しさも体で感じられる。#時雨の贈り物

2014-11-08 20:57:33
桔山 海 @as_keito

「じゃあ、僕はもう行くね」 「おやすみ、時雨」と扶桑は微笑む。 僕は手を振り部屋を出た。 扶桑の喜ぶ顔も見たかったけど、ここからは二人の世界、僕は邪魔をしてはいけない。#時雨の贈り物

2014-11-08 21:03:20
桔山 海 @as_keito

まだ、山城の温もりが残っているような気がして僕はまだ部屋の外に立ち止っていた。歩いたら山城の温もりが消えてしまう気がして。#時雨の贈り物

2014-11-08 21:09:20
桔山 海 @as_keito

僕もいつか山城に思いを伝えなきゃ、とは思う。提督だって伝える覚悟をしたんだ。でも周りに流されて決断するようなことではだめだと思う。 自分の中で悔いの残らないようにしないと僕は壊れてしまう、そんな気がするんだ。 #時雨の贈り物

2014-11-08 21:14:57