- konomikiichi
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起きると目の前にその人形の顔がありました。思わず驚きの声を上げながらも、兄の悪戯だと決めつけ、私は身体を起しました。学校があるんです。その時はまだ学生だったので。眠い身体に鞭打って私は学校へと足を運びました。
2014-11-12 00:52:15クラスメイトに挨拶しながら、私は自分の席に着きました。するといつも大人しい女生徒が私に話しかけてきたのです。「ねぇ、どうして、私の人形持っているの?」と。彼女は…そうですね、仮に…S、とでもしておきましょうか。シスターのS、彼女はいつも首にロザリオをぶら下げてましたからね。
2014-11-12 00:57:47彼女の言葉に疑問符を頭の上に浮かべながら、話しかけた彼女の視線を追うと、そこには私のバッグにぶら下がった、あの人形の姿がありました。どうして付いて来ているのか、気になるところは多くありましたが、寝ぼけてつけたのだろうと結論付けて、彼女に言いました「これ、君の?」
2014-11-12 01:00:15「ええ」彼女は小さく頷きました。「どうして捨てたはずの人形を、貴方が持っているの?」私は素直に拾ったと答えました。すると彼女は「早く捨てて」と詰め寄ってきました。そりゃあ捨てた人形を他の男が大事に持っていたら気持ち悪いですよね、気持ちはわかります。
2014-11-12 01:03:59「その人形には悪霊が取り憑いているの、持っていたら良くないことが起こるわ、だから、早く捨てて…!」彼女はそう続けました。悪霊が取り憑いている?なんだそれは、と興味を持った私は、そのまま彼女の話の続きを待ちました。
2014-11-12 01:06:33「私とその人形は、昔から仲良しだったの…でも、学校に入ってから私は…その、人形遊びとか子供っぽいとか、そういう理由で軽い嫌がらせをされたの…そんな些細なことから始まった悪戯は、私が人形を家に置いていくようになっても続いたわ。嫌がらせの理由なんてどうでも良くて、嫌がらせをする相手が
2014-11-12 01:09:08欲しかっただけなのよ、あいつら…!そして私はどんどん気が滅入っていったわ。そしてそのどうにもできない怒りを、私は人形にぶつけるようになってしまったの、人形なんかがいたから、私が苛められるんだって、そう思って」
2014-11-12 01:10:29「それで?」「だんだん人形が可哀想になっちゃって、私はなんて酷いことをしているんだろうって思った。そして今度は怒りをぶつけられた人形は、私を恨んでいるんじゃあないかって、そう思ったの…そう思うと、人形が悪意を持っているように見えたわ、人形が倒れた先にカッターナイフがあったり、
2014-11-12 01:12:59そんな偶然ですら、恐怖を感じたわ。人形が私を殺そうとしているって。だから怖くなって捨てたの。その人形には私の悪意が、悪意の生霊がいるの、悪霊が…取り憑いた人形なのよ!だから!捨てなくちゃいけないの!!」「へえ、なるほど」彼女の言葉に嘘はありませんでした。ええ、スタンドのおかげで、
2014-11-12 01:15:27私はそれがわかったのです。そしてもっと面白い現象が起きていたんですよ。彼女の話に合わせて、人形の方からも、見えたのです。彼女が「人形が私を殺そうとしている」そう言った時に、人形からも「YES」の言葉が、見えたのです。これは本物だ、と私は楽しくなりました。
2014-11-12 01:17:18「君の話はよくわかった。けど、これは私が昨日ゴミ捨て場で見つけて、ボロボロの姿を哀れに思い、一生懸命に直したのです。それをはいそうですかと簡単に捨てるわけにはいきません」私がそう言うと彼女は警戒するように私を睨み付けました。彼女に微笑みながら、私は続けました。
2014-11-12 01:21:15「ゲームをしましょう。S、貴女の魂を賭けてください。私は、この人形の、貴女の悪意を賭けましょう。勝ったら、貴女はこの人形を処分するなり好きにすればいい」「貴方が勝ったら?」「その時は、この人形は私のものです」
2014-11-12 01:22:59ゲームがどうなったか、ですって?言ったでしょう、最初に…私のコレクションには、私が作ったものではない人形が混ざっている、と…ふふふ。彼女は今も、あの人形の中で、自分の悪意と戦い続けています。助けてダービーとすがる悲鳴がたまらないんですよ!今度見せて差し上げますね。
2014-11-12 01:25:28貴方も人形には気をつけてくださいね。人の形をしているが故に、彼らは自分を人間だと勘違いをする。感情が、意識が芽生え始める、愛には愛を返し、悪意には悪意を返してくるでしょう。ふふふ…これで、私の話は終わりです。さて、次は誰が話しますか…?
2014-11-12 01:27:33もう俺は逃げた。それはもう無我夢中に!思ったね、こんなところで殺されるくらいならなんでもするって!男とベロチューしたって構わないとすら……おい、何変な目で見てやがる!言っておくけど、たとえだからな!?俺はそういう趣味ないからな!その目をやめろ!
2014-11-15 02:44:19…は?殺されるか、お前とベロチューするかだったらって?そりゃあお前とベロチューに決まってんだろ。…だーかーら!なんだよその目は!そういう状況じゃあねえかぎりお前とベロチューなんてしねーよ!…っはあ…どこまで話したっけ?ああ、そうだ、仮面を付けた殺人鬼が追ってきたところだったな。
2014-11-15 02:45:40「イカサマでも、なんでもいい!俺に、勝ってくれ!」変なことを言う奴だ、と私は思ったよ。ギャンブルで対戦相手に買ってくれ、なんて言われたのは初めてだったからね。どういうことかと事情を聞くことにしたんだ。彼が物言わぬコインになる前にね。
2014-11-15 02:50:46私?私が話すの?…わかりました。私にとっては今の状況以上に怖いことなんてないと思うんですが…、それでも、話せというなら、話しますわ。…ねぇ、本当に、誰もこの状況をおかしいとは思わないんですか…?ここにいては、いけない人がいると…感じませんか?おかしいのは、私ですか…?
2014-11-15 03:00:11ああ、俺か。怖い話だったな。俺は、前の奴らが話したような、心霊体験も、異常者に襲われたことはないが…、少し前に、夢を見たんだ。夢が怖かったなんて子供染みた話だが、それしか話せないんだから、それを話すことにしよう。
2014-11-15 03:04:18