【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-2)【パロ】

万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

変えたっていうよりは戻ったっていう方が正確ね。エルサは「ぅ？」と小首を傾げてから話始めた。 「えと、ん～……アナにさらわれました？」 「ぶっ！」 思わず吹き出すあたし。いや、確かにそれが事実だから間違ってないんだけどさ！

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エルサは続ける。チーズが伸びて食べるの大変だったピザのこととか、タバスコが辛かったとか、ハンバーグおいしかったとか、ピヨピヨなるサンダルが面白かったとか、アイスがおいしかったとか。なんかほぼ食レポ。でもたどたどしい言葉で紡いでるその顔が楽しそうだったから、あたしも自然に笑ってた。

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エルサにとってあたしといたこの何日間は苦痛じゃなかったんだって思ったら、すごく嬉しくなった。 （たったの数日だけど、結構色んなことあったなぁ～） 研究所に潜伏していた１ヶ月間よりも、この数日間の方が長かった気がする。たぶん文字にしたら１０万文字くらいになっちゃうような、

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そんな濃密な時間だった。 あたしは「そうだね、おいしかったね」とか「また食べようね」って相槌を打ちながらエルサの話を聞く。けれど、アイスを食べた後からは言葉がなくなって、エルサの耳がしゅんっと垂れてしまった。 アイスを食べた後は少し買い物して、そしてエルサはいなくなって、

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あの黒いドロドロの塊に遭遇したのを思い出して、あたしもほんのちょっぴり表情を曇らせる。それはあの黒い塊が恐かったからじゃなくて、傷付いたエルサの姿を思い出したから。エルサがいなくなった時の恐怖を思い出したから。 「……もう勝手にどっか行っちゃダメだからね」

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あたしは呟くように言ってエルサの頭を撫でる。エルサは頷くわけでも首を振る訳でもなくて、だた黙ってあたしに撫でられていた。 「でも、あぶないから……」 「あのねぇ……まぁ、確かに昨日はカッコいいトコ見せられなかったけどさ。あたしって実は相当強いんだからね？」 「……」

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信じられないっていう瞳じゃなくて、ただただ心配そうな瞳。薄氷色の瞳は深い不安がこびり付いてた。この子は今までどんな目に遭って来たんだろうか。そう思うけれど、それを聞くのはまだ憚れるし、きっとエルサは話してくれないんだろうってなんとなく分かった。

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「あたしはエルサと一緒にいたい。エルサは？」 「……わかんない」 弱い声、頼りない、迷いの言葉。でもあたしはポジティブシンキング選手権２２連続無敗のチャンピオンだから、「わかんない」ってことはまだまだ全然希望があるって捉えて、両手でエルサの頭をくしゃくしゃに撫でた。

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「ぁぅぅ……ん、アナ？」 「ふふっ。大丈夫よ、エルサ」 「ぅ？」 なにが大丈夫なの？っていう顔。そんなのあたしだって明確には分からない。ただ大丈夫って思いたいだけ。大丈夫だって思ってやっていかなきゃってそう思ってるだけ。ほら『絶対大丈夫だよ！」っていう魔法の言葉もあるくらいだし。

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「エルサお嬢様。包帯を取り替えましょうか」 タイミングを見計らったかのようにゲルダが言う。あ、いや、一瞬ゲルダがいるの忘れてたなんて思ってないから。思ってないったら。 「エルサ、取り替えてもらっておいで」 「ぁ、ぅ」 恥ずかしいのか、不安なのか。んー、たぶん前者かな。

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「昨日エルサの手当てもゲルダがやってくれたんだよ？」 「え？」 ほっぺがかぁーっと紅くなる。その綺麗な桃色は目許にまで滲んでとってもキュート。なのに恥ずかし屋なキツネさんは顔の方に垂れてきた耳を引っ張るように両手で顔を隠してしちゃう。いやいや、可愛過ぎだからね、その仕草と反応！

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あたしは思わずぎゅっと抱き締めて「まいえんじぇーる♪」なんて陽気に歌った。ぶっちゃけ何の歌か分からない。作詞作曲あたし。タイトルは「エルサちゃんはキツネさんなのに天使過ぎて辛い」にしようと思うわ！ って、バカなの事やってる場合じゃない。

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忙しいのにあたし達の面倒を見る為に時間を割いてくれてるメイド長様が後ろで待機してる。あたしはそのままエルサを抱き上げてベッドの端っこに座らせた。 「大人しくしててね」 「ぅぅ」 小さく唸ってあたしの服の裾をちょこんと掴んでくる。ダメよ、エルサちゃん。ほっぺが緩み過ぎて辛いわ！

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名残惜しいけどゲルダ先生の方が包帯を巻くのは上手いから、あたしは素直にゲルダにバトンタッチ。エルサの隣に「これ着替えね」と恐竜タイプの着ぐるみパジャマ（今度はマイク柄）を置いて、あたしは荷物とかの整理に戻る。ついでにパソコンを立ち上げて上司（お父さん）に提出する報告書の準備。

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あたしが散らかした物でごった返すソファーに座ってパソコンをパチパチしながらエルサとゲルダを見守る。エルサは視線をうろうろさせていたけれど、一応は大人しくしていた。不安そうにぴるぴると震える耳が可愛い。あ、尻尾丸まってるし。サンドイッチ作戦のお蔭でゲルダに対して警戒心は薄れたけど、

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懐くにはもうちょっとだけかかりそうね。 って見てたらエルサと目があった。微笑みかけるとさっと視線を逸らされる。あ、あたしに見られるのも恥ずかしいみたい。可愛いなー。って見てる場合じゃない。報告書やんなきゃ。あ、シャツ脱いだ。包帯とパンツ一枚ね。って、そーじゃなくて！

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お、包帯がくるくる取れてく。ゲルダほんと手際良いわね。エルサちゃんの傷の具合はどうなのかしら？あ、良かった。大分塞がってるわ。やっぱたっぷり寝ると違うのね。良かった、本当に。それしてもエルサちゃんって本当に肌白いわよね。真っ白。ゆきんこだわ。かわいい。

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あ、だからガリガリだけどふわふわしてるように見えるの？ （って、そうじゃなくてー！なにガン見してんのよ！！報告書やらなきゃでしょ！！） エルサちゃんの裸をガン見してる変態チックな自分に対して猛烈に突っ込んでから、あたしはPCの画面に向き合う。

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けどゲルダが傷の具合についてエルサと話してるのが聞こえて、やっぱり視線がそっちに行っちゃって。そうしたら、 （結構傷の具合良いんだ。じゃあ今日は一緒にお風呂入れるかな？いや、でも念の為やめといた方が……えー、でもエルサちゃんと一緒にお風呂入りたいなー。

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あの尻尾わしゃわしゃ洗ってあげたいし！あの尻尾ただでさえもふもふで気持ちいいんだから、お風呂上りはもうきっとすぅーっごく気持ち良い筈よね！あー、もふもふしたいなー。それから足の裏の肉球よ！触りたい～……けど、やっぱまた夜に傷の具合見て、エルサちゃんと相談かな～） って、おいこら！

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（作業しなさいよあたし！！） そんな感じで作業なんて全然進まないまま、ゲルダはエルサの包帯を取り替え……じゃなくて、包帯を外しただけに留めて、隣に置いておいた服を着せ始めた。 （あ～、本当に傷の具合は良いみたいね。これはもしかしなくてもお風呂ワンチャン有りじゃない！？）

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もう思考は完全にエルサちゃんと一緒にお風呂モード。ウキウキわくわく。あと久しぶりに自分の家のお風呂でゆっくり出来ると思うとすごく嬉しかった。研究所の寮ってシャワー室しかなかったから、久しぶりにゆったりバスタイムしたいのよ。 とか考えたいたら「アナ様」と声を掛けられた。

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ゲルダはエルサを抱っこしてベッドから下ろすと、手を繋いであたしの方に連れて来てくれる。うん。やっぱ恐竜着ぐるみパジャマかわいい♪ 「お着替えできたね～」 よしよしと頬を撫でると「ふふっ」とくすぐったそうに笑って手の平にほっぺをすり寄せて来て。

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それで「できたー」とはにかむエルサちゃん。やーん。かわいい～。ゲルダもくしゃって笑ってる。ね、ね！可愛いわよね！ 「サリー柄の可愛かったけどマイクのもなかなか似合うわね」 散乱している荷物をブルトーザーみたいに腕で退けて、あたしの隣にエルサちゃんを座らせる。

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エルサは案の定「まいく？」と首を傾げていた。 「そう。昨日着てたのがサリーっていうキャラクターので、今着てるのが同じ作品に出てくるマイクって言うキャラクターのよ」 「ぁ……ごめんなしゃい。きのうふく……」 沈んだ顔をするエルサ。もう、いちいち気にしなくていいのにね。