140字SS

もらったお題でSS書いて140字で切るやつ。
0
綺月 桜 @kiduki39ra

【形見】 折れそうな心を支えてくれた。もう二度と返らない、優しい懐かしい泣きたい記憶とともに。だから私は戦えた。憎しみも恨みも全てを共に。 物語が終わって。恨みも憎しみも何処かに行って。空っぽになるはずだった心にはまた沢山のものが詰まった。かつての家族の形見は今の家族の思い出に。

2014-11-19 01:34:49
綺月 桜 @kiduki39ra

【犠牲】 彼の笑顔が好きでした。楽しそうに微笑む顔が好きでした。嬉しいときに細くなる目が好きでした。 だから、そのために。 彼の敵を。障害を。鎖を。檻を。全て破壊しました。 彼の味方を。仲間を。力を。願いを。全てを犠牲にし。 そして初めて見た彼の泣き顔は、とてもとても綺麗でした。

2014-11-19 01:45:26
綺月 桜 @kiduki39ra

【舞台裏時空】 泣いて終わって舞台は閉じる。笑って転んで幕は降りる。 死体は起きて動き出し。敵も仲間も肩組み笑い出す。 お姫様は王子様と結ばれて。正直者は幸福に。いつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。 そんなハッピーエンドより、その舞台裏はきっともっと幸せな終わり。

2014-11-19 01:50:32
綺月 桜 @kiduki39ra

【約束】 指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。 子供っぽい、とあなたは笑うけれど。 そうやって他愛もなく交わせる約束が、とても幸せですから。それも間違ってはいない、でも建前で。 本音は、あなたと手が触れ合えるから、だなんて言えないです。

2014-11-19 01:57:24
綺月 桜 @kiduki39ra

【桜】 宵闇に踊る花片。薄桃なんて淡い色合いではなく、深紅に近い花々が舞い落ちる。 「だって、毎晩生贄捧げてるもの」 そう彼女は笑っていた。冗談だと笑ったけれど、今ならそれは真実だと分かる。事実だと理解する。 だって、桜に全ての紅を捧げた彼女は、こんなにも白いもの。

2014-11-19 02:03:13
綺月 桜 @kiduki39ra

【殺人鬼】 「彼女の好きなとこ?料理上手に優しくて気遣いのできるところ。あと、大きな目に柔らかい身体。突き立てたナイフがあっさり入りそう。そしたら、きっとあの目から宝石みたいな涙が溢れるよね。それは、最後のお楽しみ。だから、まだ殺らないよ?」

2014-11-19 02:08:53
綺月 桜 @kiduki39ra

【鍋】 1人暮らしだと、小さいお鍋で十分です。あんまり大きいと食べきれないですし。勿体無い。小さい土鍋が一つ。それで十分事足ります。 それが、いつか二人分を通り越して大人数分の鍋が必要になって。材料もいっぱい必要だし、時間もかかります。 でもね、そんな些細なことが幸せなんですよ?

2014-11-19 02:14:56