黒色中国さんの香港オキュパイ所感

黒色中国 @bci_

【香港デモ、支持13％どまり　拠点の強制撤去始まる】デモの参加者の一部が暴徒化し、これまでに6人が逮捕されています 5.tvasahi.jp/000039185?a=ne…　#雨傘革命

黒色中国 @bci_

▼私が香港のオキュパイを見に行ったのは、単なる偶然だった。中国の奥地を旅して、そのついでに魚釣りに行こうと思って、香港へ来ただけで、最初は4日間ぐらいでまた大陸に戻るつもりだった。結局、滞在日程をズルズルずらして、途中、深センにも行ったけど、９日間、占拠の現場を見ることができた

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▼正直言うと、私は本当に魚釣りをしたかったので、オキュパイが気になりながらも行く気はなかった。でも、香港についてケータイを開いたら、オキュパイに関する質問などのツイートがたくさん届いてた。一種の使命感をもって、何が何でもオキュパイの現場に行かねばなるまい…と、魚釣りは諦めた。

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▼ただ、香港には日本人在住者の優秀な現地通のツイーターがたくさんいるのだから、もうオキュパイの情報は充分に出ているのではないか…どうして香港が専門外の私に、質問のツイートが届くのか…私に求められている情報は一体なんなのだろうか…というのを、香港についてからずっと考えていた。

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▼参考までにツイッターで 香港のオキュパイ情報を片っ端に読み、大体の状況はつかめた。その時に、いま私がよくRTしているJingさんのツイートも読んでいたけれど、あまりに自分の周辺の生活レベルの話が多い…というのが当時の印象で、オキュパイの全体像を理解できない…と重視していなかった

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▼それから、一番最初に向かったのが、旺角のオキュパイ地域だった。私はずっと今回の「革命」がどんなものなのかを見たかった。でも、寝っ転がってる人ばかりで、なんだか幻滅した。そうだ、今だからわかるけど、私は生まれて初めてリアルで体験する、「革命」との遭遇に、何かを期待していたのだ。

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▼それから、セントラルへ行った。ここは昔勤めていた場所だから、私の感覚では「自分の場所」だ。いつも通りのセントラルだったけど、陸橋の上からアドミラリティをのぞむと、クルマが１台も走っていないところに、バリケードが構築されている。今まで見たことのない奇妙な光景を前に、寒気を覚えた

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▼それから、のめり込むように、オキュパイの現場へ通い続けた。オキュパイ地域は華やかで、自由な開放感があって、若い人が多くて、明るくて、みんなが規律正しくて、一生懸命マジメにやってるのを見て、清々しい思いがした。こういう「革命」っていいものだなぁ…と思った。でも、ちょっと待てよ、と

黒色中国 @bci_

▼私はオキュパイ現場にずっといたわけではなくて、その間も、香港の他の地域に行っていたり、友人と会っていたけれど、そうしている内に、オキュパイのせいで仕事や生活に支障をきたしている人の窮状が、段々とわかってきた。本当のオキュパイの「現場」は、占拠区だけではなかったのだ。

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▼この時に明確に理解できたのだけれど、私はずっと「香港のオキュパイ」の「運動」なんたるかばかりを見ようとしていた。運動によって大きな悪影響を被っている香港社会を見ていなかったのだ。これを分けて論じるのは間違いだ。たぶん、私に質問を寄せてくる人々の要望は、そこにあるのではないか…

黒色中国 @bci_

▼だから、一旦頭を冷やすため、深センに前海開発区を見に行った。ここも香港の未来と非常に深い関連を持つ場所である。でもやっぱり、香港へ戻ってきてしまった。どのように視点を変えればいいのか悩んだが、答えは出ない。これは、とことん現場に居続けるしかない…と結論し、２晩占拠区で過ごした

黒色中国 @bci_

▼警官がいつやってくるかわからない中で、学生や市民と一緒に夜を過ごすのは不安で、よく眠れない。あちこちで大きな音、警戒を促す警笛の音が聞こえる。正直言って怖い。そういう中でも、毎日占拠区でがんばっている人たちを私は尊敬する。でも、それは「ここだけ」を見ていればの話だ。

黒色中国 @bci_

▼夜は路上でそのまま眠った。朝、目覚めて占拠区の外に出ると、ものすごい交通渋滞になっていて、その交通整理に警官がてんてこ舞いになっている。交通手段を失って、たくさんの人が歩いて通勤している。美しい革命は、占拠区の外の、こういう人々の献身と忍従によって成立していた。

黒色中国 @bci_

▼今回の雨傘革命で、警官は暴力的で邪悪なもの…ということになっている。でも、私はその暴力と邪悪を実際に目撃することがなかった。旺角で何百人が大声を上げ沸騰し、大爆発が起ろうとするその瞬間にも、警官は逃げず必死になって市民をなだめていた pic.twitter.com/q9VhTPFT8d

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黒色中国 @bci_

▼市民の大爆発を寸前で停めた警官たちはたったの１０人で丸腰だ。暴力も催涙スプレーも使わなかった。彼らは英雄なのか…そうではなかった。混乱が収まった後の彼らは全員、地獄を見てきたような顔をしていた。放っておけば１０人全員自殺しそうな凶相だ。それぐらい彼らは精神的に追い詰められていた

黒色中国 @bci_

▼メディアは、そんなことをいちいち報道したりしない。どこかで衝突が起こるのを待って、誰かが誰かを殴ったり、暴れたり、催涙スプレーをかけたりするところだけを映像に記録して世界に流す。そうでなければ儲けにはならない。ニュースというのは得てしてそういう風に世界を切り取っているものなのだ

黒色中国 @bci_

▼美しい革命の「光と影」は、報道されないところも見ないと、全体がわからない。社会秩序の崩壊で生活に困っている人、社会秩序のほころびを必死に支えようとしている人、報道もされない、声も上げられない、世界にそれを伝えることもできない、そういう人々が、今回の革命の影に、たくさんいたのだ

黒色中国 @bci_

▼私がオキュパイ現場を毎日見に行っている時に、ほぼ毎日のように友人の店に通った。ここは、オキュパイで停まった公共交通手段の影響を受けて、オキュパイが始まって以来、客がほとんど来なくなった。私が行った時はいつも客は私一人だった。お陰さまで、店主とは久しぶりに長話ができたのだが…

黒色中国 @bci_

▼店主は、まるで他人事みたいにして、口元に笑いを浮かべながらテレビでオキュパイの映像を見ている。「明日にはましになるだろう」「来週には終わるだろう」と独り言のようにつぶやいていたけれど、その目は不安で一杯だった。それはどこか、旺角の路上で地獄を見てきた１０人の警官の目にも似ていた

黒色中国 @bci_

▼私は、上海に戻ってから、香港で見た、たくさんの出来事をずっと頭の中で整理していた。幾ら考えても、整理がつかなかった。香港の何処に悪い人間がいたのか。占拠者が、警官が、反対する市民が、無関心な市民が悪いのか…誰が正義で、誰が社会の悪なのか。私には特定することができない。

黒色中国 @bci_

▼そんなことを考えている時に、ふとJingさんのツイートを読んでいると、一番最初に香港に着いたばかりの時に感じた印象とは全く違ったものに思えた。美しい革命の影で、生活を狂わされて、それでも世に向かって声を上げられない人たちの「声なき声」が、聞こえてくるような気がするツイートである

黒色中国 @bci_

▼美しい革命の理想に共感する人々の夢をぶち壊しにするつもりはない。しかし、革命の現実を理解したい人がいるのなら、マスコミが報じない、大したニュース性も流血も破壊も存在しないけれど、革命の外側で、生活に困っている人々の声を聞いてみるべきではないか…ツイッターならそれは可能なのである

Nosu （らきのす） @luckynosu

@bci_ リアルタイムの衝撃を伝えるだけではなく、時間をかけて取材したものを分析したり、いろんな立場の人の声を同一に伝えることができるのがメディアのはずですが、そういう地味な取材はすぐにお金に結びつかないのでなかなか難しいですね。記者にも生活がありますから。社員記者に期待ですね

Nosu （らきのす） @luckynosu

@bci_ どんな立場の人でもネット環境さえあれば声を上げられる、見たものや体験を伝えられるツイッターの出現は、素晴らしいと思います。発信者の意志１つで届けられるし、受け手は自分の興味のまま情報を取捨選択して自分の頭で考えられます。TVのお仕着せの情報では満足できなくなります。

黒色中国 @bci_

私はニュースよりもドキュメンタリーの方が好きなので、ニュースに対してちょっと厳しい見方をしているのかも知れない…ニュースはニュースであっていいんだろうけど、アレだけ見て知ったつもりになるのは危険ですね。特に、民主化革命のような複雑な事象を見る時は…　@luckynosu