掌小説語り~自作つぃのべる集15~

自作つぃのべるまとめです。2013年9月分。
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リュカ @ryuka511

捻れた歌声で捻れた竪琴を奏で捻れた物語を歌う吟遊詩人がおりました。街から街へ流れる彼は初対面でも「やぁ」と気軽挨拶し誰も聞いてなくとも気にせず歌います。 #twnovel 微笑む彼は世界の捻れを歌います。彼の歌が止んだ時、捻れきった世界は滅びるのです。 #世界もう滅ぼしたい協会

2013-09-03 23:43:16
リュカ @ryuka511

世界を魔王から救った勇者は騎士隊長として王宮に迎えられた。それから幾年の時が過ぎ、勇者の子孫の青年は溜め息をつく。やりたくなくてもやんなきゃいけないこともある。代々騎士隊長を勤める勇者の家系。だが自分に戦闘など向いていない。彼には剣も勇者の家系も重いだけだった。 #twnovel

2013-09-04 22:33:30
リュカ @ryuka511

人工の羊水に浸る胎児達を男は眺める。世界滅亡の噂が蔓延し、自分の子孫を残そうと人々が施設へ殺到したのだがそんな事に何の意味があるのか彼には理解出来ない。滅亡後の世界で自分の子を創世主にでもするつもりか?バカげてる。滅亡しなかったら親は子を引き取りに来るだろうか? #twnovel

2013-09-06 23:37:49
リュカ @ryuka511

ただの知り合いから大事な人に変わるまでそれ程時間はかからなかった。優しくされて舞い上がってた。だけど彼は私だけに優しいんじゃなかった。彼には他に大事な人がいると知った。彼女といる彼は幸せそうで、その空気の温度に敵わないと感じた。それでも、彼は私の大事な人なんだ。 #twnovel

2013-09-07 21:55:55
リュカ @ryuka511

オリンポスの神々は祭典が決まった地を見下ろす。「ここですか。」「賑やかだな。」「汚き所。」「確かに。」「神聖な祭典の地に相応しくないのでは。」「滅せねばならぬもので溢れておる。」「では。」「うむ。」 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-09-08 21:00:42
リュカ @ryuka511

まるでスープを掬うようにビーカーから取り出された僕達は、戦う事を運命づけられたクローン兵。戦いしか知らない僕達は全ての感情を戦いで示すようになった。嬉しい時には全力で斬りつけ、悲しい時には渾身の力で刺す。そんな僕達に人間は同士討ちを始めたと慌てる。どうして? #twnovel

2013-09-09 21:48:46
リュカ @ryuka511

未練を残し生者にとり憑く死者を引き離すのが男の仕事でした。その日見付けたのは翡翠色の瞳を曇らせる少女。私をここから連れ出してと泣く彼女は、自分を喪った恋人の嘆きが強すぎて彼も死んでしまいそうだと言います。自分よりも恋人を想う少女に、男は初めて人の死に泣きました。 #twnovel

2013-09-10 22:11:16
リュカ @ryuka511

僕は最愛の君を裏切る。君は追放されるだろう。これも全て君のため。悪夢みたいな世界で君を守る唯一の方法。君に戦いは似合わない、血で穢れた僕と一緒にいちゃいけない。今からでも遅くない、君は光の射す世界で生きてくれ。傍で守りたかったけど、僕は戦う事でしか生きられない。 #twnovel

2013-09-11 22:57:03
リュカ @ryuka511

魔王がさらったのは美しく聡明な姫、ではなく賢人と謳われる王だった。 狼狽えるばかりの王子と姫を尻目に、継母である王妃と大臣達は権力を欲しいままにした。逆らう者は排除し、王の救出を大義名分に掲げ民に重税を化し、隣国から兵や武具を奪った。国は荒廃し、やがて滅びた。 #三連ツイノベ

2013-09-12 22:04:55
リュカ @ryuka511

国は無くなり父はさらわれたまま、途方に暮れた王子と姫は何も出来なかった自分達の幼さを嘆いた。父の救出を誓い2人は旅をしたが、何の情報も得られないまま時だけが過ぎていく。彼らの国は統制の取れた世界の中枢だった。バランスを崩した世界に荒廃が広がり、世界は滅びへ向かう。 #三連ツイノべ

2013-09-12 22:07:40
リュカ @ryuka511

滅びゆく世界をただ悠然と眺める魔王に、さらわれた王は問う。「貴方の望みは何なのです?」「我の望みは人間世界の滅び。」「ならば攻めればいいのでは? 何故私をさらったのです?」「あの世界は貴殿1人に支えられていた。次に世界を統べる者として、色々と学ばせてもらった。」 #三連ツイノベf

2013-09-12 22:08:14
リュカ @ryuka511

少年は忘れ物が無いか確認すると夜明けの街を見渡す。魔王討伐の旅に出ると言ったらとんでもないと猛反対された。そんな事は選ばれた人間に任せておけばいいと。そんな人間が現れるのを待っていたら世界は魔王の手に落ちる。運命が勇者を選ぶんじゃない、運命に自分を選ばせるんだ。 #twnovel

2013-09-13 22:34:05
リュカ @ryuka511

魔王軍の猛攻に勇者達は全滅した、はずだった。だが勇者が目を開けるとそこは宿屋の一室で、仲間達が心配そうに見下ろしている。「凄くうなされてたけど、大丈夫?」「魔王はどうなった? 俺達はどうしてここに?」「寝惚けてるな。」「昨日砂漠を越えてこの街に着いたんじゃない。」 #三連ツイノベ

2013-09-14 23:11:05
リュカ @ryuka511

魔王城の中枢、魔王と腹心の部下は勇者達と対峙する。戦いは魔王軍が勇者達を圧倒していた。「口ほどにもない。」魔王が倒れた勇者に留めを刺そうとした瞬間、勇者達の姿は忽然と消えた。「何だ? 何が起きたのだ?」「解りません。」「勇者はどこへ消えたのだ! 探せ!」 #三連ツイノベ

2013-09-14 23:13:58
リュカ @ryuka511

最後の戦い、魔王軍の強さは圧倒的だった。仲間が次々倒れ、勇者の体力も尽きようとしていた。魔王のターン、次の一撃を喰らったら負ける。即座に彼は決断した。「やっぱ無理か。レベル上げしてリベンジだな。」リセットして最後のセーブデータをリロードする。 #三連ツイノベf #twnvday

2013-09-14 23:15:59
リュカ @ryuka511

過酷な剣戟の痕を残し世界は終末を迎えた。英雄も王も民衆も、誰も世界が終わるとは考えもしなかった。戦乱の世を乗り越えれば穏やかで平和な世界が訪れると誰もが思っていた。戦に疲れた末に見た夢だったのだろうか。滅びた世界に、ただ静かに砂が舞う。 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-09-15 23:05:13
リュカ @ryuka511

誰かが言う。ここは偽りで支配された世界だと。そんな世界で満足かと問い詰める。そんな事も知らないと思われてるとは驚きだ。全て偽り、私がそう作ったのだから当然。残酷な真実より優しい嘘を求めた。泣いてなんかいない。けど満足かなんて問い詰めるならこの世界を壊してくれよ。 #twnovel

2013-09-16 22:39:06
リュカ @ryuka511

どこまでも限りなく続く鳥居とどこからともなく聞こえる祭囃子。揺らめく松明が鳥居の奥へと誘う。まるでつくられたように完璧な夏の夜の光景。僕を追い抜いて走る子供達の笑い声が響く。露店の狐の面が笑う。一緒に来たはずの君はどこにいるの? それ以前にここはどこなんだろう? #twnovel

2013-09-18 00:23:07
リュカ @ryuka511

不可能は無いと言われる大魔女にはただ一つ、惚れ薬の精製が出来なかった。恋は魔力を失うと最大の禁忌とされていた時代に育った彼女は恋を知らない。恋を知らない彼女に惚れ薬なんて作れない。弟子が恋をして惚れ薬の精製に悩む姿を彼女は少しの羨望を込めた眼差しで見守っている。 #twnovel

2013-09-18 22:50:35
リュカ @ryuka511

天国への手紙が届くポストがあるという。それはさりげなく現れいつの間にか消えているらしい。そのポストが今私の目の前にある。手紙なんて用意してないけど、今逃したらもう二度と遭遇出来ないかもしれない。だからポストにありったけの想いを語った。ちゃんとあの人に届くかな。 #twnovel

2013-09-19 22:37:45
リュカ @ryuka511

遂に人類は地球を捨て月への移住を開始した。しかし、地球より小さな月に全人類が移住できるはずもなく。 #twnovel 一部の選ばれた者のみ−主に裕福層の人間や政府高官−が月へ移住する。大多数の人々は、地球上に作られた巨大な箱の人工の世界を、月の世界だと信じ込まされて生きていく。

2013-09-20 23:09:45
リュカ @ryuka511

「追いかけっこは終わりだ悪党め!」探偵達に怪盗は優雅に笑う。「私が逃げられないとでもお思いで?」怪盗は後ろ手に窓を開けた。「愛しい探偵殿。暫くお会いできませんが、私めを忘れないで下さいね。」黒い外套を翻し怪盗は外へ消える。「バカな! ここは5階だぞ!」「追え!」 #twnovel

2013-09-21 21:24:49
リュカ @ryuka511

信頼、友情、その好意の中身は何でもいい。僕の想い人からの好意。僕の好意へのあなたからの反応。喜んでくれたなら。信じてくれたなら。あなたの僅かな好意でどこまでも行ける。喜んでもらえる事が、信じてもらえる事が、こんなに嬉しいと教えてくれたあなたに100倍の恩返しを。 #twnovel

2013-09-22 23:02:30
リュカ @ryuka511

これは古の罰なのか運命なのか。幾度も輪廻転生を繰り返しその度に君と恋をする。でも結ばれる事は無い。君との未来を選べない運命を断ち切るため、僕は天寿を終える前に次の輪廻へ身を投げる。何も変わらないかもしれないし悪くなるかもしれない。それでも僕は君との未来が欲しい。 #twnovel

2013-09-23 23:09:03
リュカ @ryuka511

真新しい制服で、意気揚々と勤務に就く新人警官を見送った部長の表情は翳る。罪も悪も潰える事は無く、救い難い悪が存在する。正義感に満ちて輝く彼の目は、自分のようにくすむのだろうか。だが君はまだ知らなくていい。いずれ嫌でも現実を目にする。その時君は何を思うのだろう。 #twnovel

2013-09-25 00:20:51