竹熊健太郎さん「Web雑誌の恐ろしさはは無料経済だということ」

確かにそうですね。面白くなりそうです。
11
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

竹熊健太郎(Aタイプ)です。無料Web漫画雑誌「電脳マヴォ」編集長。 宣伝RT多いです。【メルカリ始めました】noteに「竹熊健太郎のメルカリ解説文集」をアップしております。note.com/matenro1960/m/…

mavo.takekuma.jp

竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

村上隆さんに限らず、幾人かの現代美術家に浴びせられる批判に「自分で描かずに弟子に描かせている」というのがあるが、これはさいとう・たかを先生はゴルゴの目しか描いてない、という批判に通じるものがある。さいとう先生は漫画で最も重要な工程「ネーム」をやられている。映画で言うなら監督。

2014-12-01 07:37:26
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

ネームはアニメなら絵コンテに相当する。作品演出の9割がこれで決まる。それからさいとう先生は、ゴルゴの目だけでなくマジックの書き文字(擬音)も担当されている。文字ばかりは筆跡が狂うので他人には任せられない。

2014-12-01 07:41:22
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

初期にプロダクション制を導入した漫画家は、作画の大部分をアシスタントに任せて自分は「ネーム監督」に徹しているケースが多い。白土三平先生も、もう半世紀近くご自分では絵を描かれてない筈。漫画家が最後まで手放さない工程がネーム。演出の中枢で、ネームを担当した人がその漫画の監督なのだ。

2014-12-01 07:47:17
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

漫画家のプロダクション制は、週刊連載の必要から生まれた。60〜70年代は、アシスタントを10人以上雇って雑誌を掛け持ちする作家が珍しくなかった。メジャー作家の必要条件が「量産」だった。30年以上前にデビューして、量産せずにメジャー作家になった人は少ない。大友克洋氏くらいだろうか。

2014-12-01 08:09:05
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

アシスタントを10人も20人も雇って作品を量産する作家はせいぜい70年代までで、80年代以降は様相が変わってくる。アシは5人以下の少数精鋭で、ひとつの雑誌で長期連載する作家が増えたのである。漫画家の主要な収入が、雑誌の原稿料から単行本の印税に変わってきたことが大きな原因だ。

2014-12-01 08:20:05
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

月刊誌や貸本漫画の時代から週刊誌の時代に切り替わった時には、週刊ペースに適応できない多くの漫画家が脱落し、消えた漫画家になった。現在、紙雑誌+単行本の時代から、無料Web雑誌の時代に切り替わろうとしている。何から何まで、旧来のマネタイズ常識が通用しない、恐ろしい時代である。

2014-12-01 08:37:36
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

Web雑誌のどこが恐ろしいかというと、ネットは「無料経済」だというところである。コンテンツはなるべく無料にして、ページビューを稼ぎ、コンテンツ販売とは別の回路で収益を得る、というのが無料経済だ。コンテンツ販売で商売をしてきた出版社にとっては、過去の経験を捨てろと言うに等しい。

2014-12-01 08:46:46
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

「Webは出版ではなく放送に近い」と私は主張しているが、マネタイズという観点から見ても、無料経済は出版社よりも放送局の方が馴染みがいいと思う。民放テレビは原則タダで何十年も商売してきたからだ。ただ、どうしたわけか、放送界も、ネット時代にうまく適応しきれてないと私の目には映る。

2014-12-01 08:51:24
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

もしかするとインターネットは「資本と経験」が邪魔をする世界なのかもしれないと思う。これは言葉を換えるなら、「資本のない素人」でも容易に参入できるということである。これからが面白くなると、私は感じている。

2014-12-01 08:54:18