「ジ・アフターマス」 #1

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ナゼ?」ガントレットと呼ばれた異形ニンジャは小首を傾げた。センチピードはガントレットに向き直り、「こいつは運が回ってきたってもんだろうが!考えろガントレット=サン。あのいけすかない野郎に手柄をくれてやる必要は無い」

2010-11-12 18:39:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フウム」ガントレットは顎を掻きながらしばし沈思黙考した。その手に装着された無骨な特殊ニンジャ小手が、コードネームの由来であろう。ガスマスクに似た特殊メンポが禍々しい。「一理アル」

2010-11-12 18:50:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「だろおがぁ!」センチピードはのけぞるようにして言った。「ちょっとタコに乗るのがうまいからって、うまうまとシックスゲイツの六人に収まりやがって!若造が!」「……ヤツノ実力ハ実際タイシタモノダゾ、センチピード=サン」「俺は認めねえ!」「嫉妬ハ判断ヲ鈍ラセル」

2010-11-12 19:13:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「とにかく!ニンジャスレイヤーと、ドラゴン・ゲンドーソーがセットだ。アブハチトラズ!しかも奴ら、あのバンザイ・ニュークで死ななかったのが不思議なくらいなんだ。実際死にかけなんじゃねえか?」「一理アル」

2010-11-12 19:16:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いいか!手柄はヤマワケだ!ヘルカイトの奴にはビタイチモンやらん!これでニンジャスレイヤーとドラゴン・ゲンドーソーを殺して、俺達がアースクエイクとヒュージシュリケンの後釜をゲット!わかるな!」「ワカル、ワカル」ガントレットは無感情に頷いた。「よおおし!」センチピードがのけぞった。

2010-11-12 19:36:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ひととおり感情を吐き出したのち、センチピードは驚くほど平静になった。スイッチのオン・オフがハッキリした性格であるらしい。「じゃ、行ってくるぜ。……わかっちゃいると思うが、IRC端末は使うなよ。ツツヌケだからな。ノロシを使う」「ノロシ。大丈夫カ?」

2010-11-12 19:58:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ああ大丈夫だ。厄介なヘルカイトはどのみち別の仕事だ。あいつさえ出し抜けば、他に気づく奴はいない。問題無い」「ヨカロウ。行クガイイ」「オタッシャデー!」センチピードが断崖からダイブした。

2010-11-12 20:07:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キヨミズ!センチピードは垂直落下の勢いで、荒地の地表を打ち割り、地中へ突入した。そう、ニンジャスレイヤーがバンザイ・ニュークを、避けたのと同様のムーブメント、すなわちドトン=ジツである。

2010-11-12 20:18:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

相棒の落下を見届けるとガントレットは再びイラクサの茂みに身を潜めた。片膝立ちになり、立てた左膝に、異様なニンジャ小手を装着した左腕を乗せる。小手は左右とも無骨だが、それぞれ役割が違うのか、別形状である。そして、スコープを特殊メンポに装着・固定。タクミ!手で支える必要が無いのだ。

2010-11-12 20:23:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガントレットのスコープ視界が、はるか遠方のニンジャスレイヤーを捉える。ドラゴン・ゲンドーソーを担ぎ、真っ直ぐにネオサイタマを目指して、着実な歩みを進めている。

2010-11-12 20:34:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オテナミ…ハイケン…」ガントレットは膝に乗せた左腕に、右腕を繰り返しこすりつけるようにした。両腕のニンジャ小手についているホイールが、火打石のような火花を上げて回転を始める。ジャッ、ジャッと音を立て、こすり合わせるほどに、その回転速度は増して行く。

2010-11-12 20:36:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーからある程度離れた荒野上で、最初のノロシが上がった。センチピードが地中から一度浮上し、接近の合図を出したのだ。弱々しい蒸気の筋は、知らない者には陽炎か何かとしか映るまい。

2010-11-12 20:39:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マウスピース型トリガースイッチを噛み、スコープの倍率を目まぐるしく変更しながら、ノロシと標的とを注視する。「3…2…」ガントレットがもぐもぐと呟く。「1…!」カウントダウンときっちり同時に、ニンジャスレイヤーの足元の大地が割れ、砂利と土埃が吹き上がった。

2010-11-12 20:43:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ!」気絶していたドラゴン・ゲンドーソーがいきなり大声を上げた。「センセイ!?」その瞬間、ニンジャスレイヤーのすぐそばの地面が裂け、砂利と埃を噴出した。何かがそこから飛び出した!「イヤーッ!」

2010-11-12 20:46:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはとっさに右腕を上げ、首筋への攻撃を小手でガードした。アブナイ!ドラゴン・ゲンドーソーによる一瞬早い警告がなければ、ニンジャスレイヤーの首から上は体とサヨナラしていたかも知れぬ!

2010-11-12 20:50:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

地中から飛び上がってのアンブッシュをしかけた敵は、クルクルと後方へ回転しながら着地した。ニンジャスレイヤーはその枯れ草色のニンジャへ向けてカラテの構えを取りかけたが……「ならぬ!まだだ!」担がれたゲンドーソーが叫んだ。「!……イヤーッ!」

2010-11-12 20:52:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チュン、と甲高い金属音、そして火花!アブナイ!ニンジャスレイヤーが咄嗟の水平チョップで弾き飛ばしたもの、それはネオサイタマの方角に聳える断崖から恐るべき速度で飛びきたったスリケンであった!

2010-11-12 20:55:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なぁにィー!?こいつ、初撃を防ぎ切りやがっただと!」枯れ草色のニンジャが毒づいた。ニンジャが両手を振ると、両拳の先から危険な爪状武器が飛び出した。「ドーモ!はじめましてニンジャスレイヤー=サン。センチピードです」襲撃者は慌ただしくオジギした。

2010-11-12 21:02:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはアイサツを返そうとしかかったが、断崖から射出された二発目のスリケンを弾き飛ばすのが先だった。そしてあらためてアイサツした。「ドーモ、はじめましてセンチピード=サン。ニンジャスレイヤーです。こちらはドラゴン・ゲンドーソー=センセイです」

2010-11-12 21:05:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」センチピードがジャンプした。両手の爪状武器が襲いくる!ニンジャスレイヤーはドラゴン・ゲンドーソーを片手で担いだ姿勢のまま、それを迎え撃たねばならない。加えて、遠方からの狙撃スリケン!

2010-11-12 21:07:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

果たしてニンジャスレイヤーはこのあまりにも部の悪い襲撃を破ることができるのか!?ドラゴン・フォレストへの長く苦しい旅路が今、幕を開けた!

2010-11-12 21:11:34