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狭間】この影の裏側に、如月ハイジが依頼して、自分につけてくれた護衛の探偵がいる。穂科星子。ハイジがいないときには基本的に、その人物が自分を危機から守ってくれる契約になっている…が、そのことは、自分自身はまだ知らない。
2014-12-13 10:25:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
狭間】左手片方のみに、慣れた杖を、一本だけついて歩く。本当はもう、これも要らないほどに筋力も回復している。…けれどこの杖は、あの青年が作ってくれた特別製だ。いざというときには、あったほうが心強い。 「……、」 約束の時間。指定した喫茶店の扉を、空いている右手で押しあける。
2014-12-13 10:26:17![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
狭間】背後にはいないことは、確認している。あれに背後を渡すほどのつもりはない。ぐる、と店内を見渡す。相手がいるかどうかを探し…もしもまだその相手が来ていないようであれば、待ち合わせだと店員に告げて適当な席に座っておこうか。
2014-12-13 10:28:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玉兎】人の足音、車のエンジン音、どこかの店のCMソングそして、春の香り。それらを避けるように、道の脇にできている建物の影に体の半分がかかるようにして人ごみを縫い歩いている。
2014-12-13 10:19:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玉兎】先日、片方のバイト先の雇用主からある連絡を受け、断るわけにもなんとなく、する気になれなくて指定された場所へと足を向けた。
2014-12-13 10:20:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玉兎】服の下に隠して持っているのは"彼女"のネックレス。警察は行方不明なんて言っているが、自分は"彼女"がどこに行ってしまったのかはわかっている。
2014-12-13 10:26:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玉兎】瞳の奥の真紅が揺れるがそれには気がつかない。目の前には待ち合わせ場所に指定された喫茶店。指で右目だけ拭うような素振りをした後、扉を開けて店内へと入った。店員には待ち合わせだと伝え中を見渡せば、白髪の少年の姿が目に入った。迷わずそちらの方へと足音をたてずに歩きだす。
2014-12-13 10:30:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Togiya_0822 狭間】先に注文した珈琲を前にして、扉が開くのに目を向ける。 「……、」 新しく入ってきた客が、件の相手だった。カップに触れるでもなく。そちらにじっと目をむけたまま、相手がこの席に来るのを待つ。
2014-12-13 10:33:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n 玉兎】相手の近くまで歩けば、相手を見下ろす。威圧する気などなく身長差として、見下ろした。「……、」何を言うでもなくひとまず椅子に腰かけよう。
2014-12-13 10:49:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n 玉兎】腰掛ければ少年の顔全体を見るように顔を向ける。そのあと視線を下に落として、薄い雲のように立ち上る白い湯気を見るように珈琲の水面を見た。
2014-12-13 10:55:13![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Togiya_0822 狭間】「…彼女は、」ぽつ、と口火を切る。じっと相手の表情と、動作全体を視界に入れるように眺める。「どうなった?」
2014-12-13 10:56:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n 玉兎】珈琲の苦みともいえるような独特の良い香りが広がっている。微動だにもせずに相手の言葉を聞いて、すっと少年の瞳を見た。「…死んだよ」。目をそらさずに、答える。
2014-12-13 10:59:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
玉兎】瞳の奥が震えてくるような感覚がする。潮っぽさと水気がこみあげてきそうになるが、この少年の前でそんな痴態を晒すわけにもいかない。珈琲の湯気のほうをまた見る。
2014-12-13 11:01:08![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Togiya_0822 狭間】それから、「…これ、俺の分の珈琲代、」テーブルに硬貨を置いて、立ち上がる。杖を左手に携える。立ち上がって、先ほど相手がしたように、一度ただ、何の意図もなく相手を見おろす。
2014-12-13 11:03:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Togiya_0822 狭間】「帰る、」訊かれた内容には、なぜ、と問い返すような必要も感じない。自分はただ確かめにきただけだ。踵を返そうとして、「…でも、そうだな、」迷っていることがひとつ。そのためにだけ、わずかに逡巡して足を留める。
2014-12-13 11:07:09