空想の街～灯りの樹の夜～【色売り】

黎沓 @Re_TnoiSa

ジロさんと別れた後、焼き芋を頬張っていると 大きな帽子の女性がこちらを見ていた。慌てて飲み込んで声をかけてみる。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売 「……っごくん。すみません、何かご所望ですか？」

萌葱［moegi］ @hmoegi

見惚れていると気付かれてしまった。「ああ、すみません」焼き芋から顔を上げた青年が、眼を丸くしてこちらを見ている。@Re_TnoiSa 色とりどりのものに惹かれてしまうのはたぶん仕事柄だ。「綺麗だなと思って、つい。飴ですか」#空想の街 #飴売 #色売り

黎沓 @Re_TnoiSa

「えぇそうです。今はこうやって飴細工でオーナメントも作っているんです。球の中はここに並んでいるものでもいいですし、ご注文があればお作りいたしますよ。」屋台に並べられた飴を眺めるお客様に答える。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売

萌葱［moegi］ @hmoegi

そうですね、としばし考える。希望を伝えることができるというのは嬉しいものだ、と思った。普段はそれに応える側であるだけに。@Re_TnoiSa 「昨日の流星群を見損ねてしまって。良ければイメージしてひとつお作りいただけませんか」 #空想の街 #色売り #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

「承りました」昨日の流星群は明るい広場からでも見えるくらい見事なものだった。きっと暗いところならばもっと沢山見えただろう。透き通った青の飴を取り出し引き伸ばして空気を含ませる。できるだけ小さな気泡をたくさん。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売

黎沓 @Re_TnoiSa

それを透明な球の内側にすぅーっと延ばしてゆく。球全体が夜空になるように。中は見えないよなぁとは思いつつ金平糖を幾つか入れた。振るとカラカラと音がする。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売 「こんな感じで如何でしょう？」

萌葱［moegi］ @hmoegi

作品に、もそうだがその手つきにも見惚れていた。飴が形を変えていく様子が途中から手品かなにかに見えた。差し出された小さな夜空から、甘い香り。「……綺麗。ありがとうございます」@Re_TnoiSa #空想の街 #飴売 #色売り「もし良ければ私からも、色を贈らせていただけませんか」

黎沓 @Re_TnoiSa

「"色"……ですか？」不思議そうな顔をした飴売りに彼女は自分が #色売り なのだということを説明してくれた。 @hmoegi #空想の街 #飴売 「ぜひ、お願いします……!」なにか自分の飴が綺麗になる色はあるだろうかと考えながら彼女を見つめる。

萌葱［moegi］ @hmoegi

「小瓶に詰めて、お譲りしているのですよ」籠の中に並ぶ小瓶を彼に示す。「仄かに光るものも多いですからそのまま灯りにしても良いですし、もちろん飴を染めるのに使っていただいても」@Re_TnoiSa #空想の街 #飴売 #色売り

黎沓 @Re_TnoiSa

並んだ小さな瓶を端から順番に眺めてゆく。どれも見たことのないような深みを帯びた色だった。「どれも綺麗なんですが……特にこれ、素敵ですね」一番端の瓶を指差す。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売

萌葱［moegi］ @hmoegi

彼が指したのは、一際深い #海昴 （うみすばる）の青色だった。深い海の底にひそりと輝く星の色。彼の手にそっと渡すと、青色の底で蒼い星がちかりと光った。覗きこむ彼の眼差しもまた深い。「お気に召しましたか」 @Re_TnoiSa #空想の街 #飴売 #色売り

黎沓 @Re_TnoiSa

「#海昴 ……」手に乗せた瓶を覗き込むと、それは底が見えない程深い青。そこに小さな光が一瞬光った気がした。吸い込まれるように瓶を見つめたまま答える。「えぇ、とっても……！！」 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売

萌葱［moegi］ @hmoegi

「では、どうぞ」にっこりと笑うと、彼は両手で大切そうに小瓶を包みこんでくれた。「吸いこまれないように、気をつけてくださいね。何時間でも眺めていられてしまいますから」悪戯心で付け加えると、彼は笑いながら頷いた。@Re_TnoiSa #空想の街 #飴売 #色売り

黎沓 @Re_TnoiSa

本当に吸い込まれてしまったら、と想像してみる。この深い青の世界はどんなのだろう。怖いけど見てみたいとも思う。 @hmoegi #空想の街 #色売り #飴売 「ありがとうございました！」手が振れないのでゆっくりお辞儀をした。きっと自分は今、とてもいい顔をしている。

萌葱［moegi］ @hmoegi

お辞儀をくれた彼に、こちらも帽子を傾けて挨拶をする。良い笑顔だ。昴のような。@Re_TnoiSa 作ってもらった飴を眺めながら歩き出す。歩みに合わせて金平糖の音がする。夜空色をした飴の中で、流星群が流れた気がした。#空想の街 #飴売 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

冬の夜のコーヒーを、一口。きりりと澄んだ冬の夜が香る。誰も居ないカフェに一人、コーヒーを味わう贅沢。#空想の街 #さるカフェ #色売り しばしの休憩を終え、コインを箱へ。その隣にひとつ、#天蜜（てんみつ）の小瓶を添えた。@sarukotonagara いつも太陽のような店主へ。

萌葱［moegi］ @hmoegi

樹が、光っている。ただ先日と違うのは、ふわりと優しい灯りがオーナメントをも包みこんでいるということ。――綺麗だ。ただ一言それきりで、言葉を失う。辛うじて思い出したのは、譲り受けた灯りの実と、飴細工の存在だった。手近な枝に吊り下げてみると、青い灯りが二つ灯った。#空想の街 #色売り

萌葱［moegi］ @hmoegi

カフェでお話しするイメージが巧く作れなくて、でもさるカフェに行きたくて、遅ればせながらこっそりセルフサービスにお邪魔したことにさせていただきました……。次こそイメージ練ってちゃんとお邪魔したいです！#空想覚書

萌葱［moegi］ @hmoegi

（ #色売り はどこへともなく現れます。色小瓶をご所望の方、お気軽にお声掛けくださいませ）#空想の街

萌葱［moegi］ @hmoegi

今回も #色売り で参加させていただきました。キャラクター柄というのか、あまり積極的に動いて物語を作るタイプではないのですが、今回たくさんお声掛けいただいて、色の名前に頭を捻るのが楽しかったです。アクティブなキャラクターも作りたいな。ありがとうございました！#空想の街後書き