東大・文化資源学フォーラム「らくがき—そこにかくということ—」(12/14)
- osomatu_san
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まとめ:らくがきを通して、行政によりどのような公共空間の姿が想定されていたのか、想定された公共空間における管理のありかたが見えてくる。横浜市は、真摯に取り組んできた事例といえるのではないか。
2014-12-14 13:46:47●ゲスト講演①:「都市環境視点からのらくがき」
小林「私の発表も学生と重なるところがあるかもしれません。15年間くらいらくがきについて研究してきたことをかいつまんでお話できればと思います」 テーマは(1)らくがきの拡大(2)らくがきの問題と対策(3)らくがきの魅力と可能性、だそうです。
2014-12-14 14:07:04(1)らくがきの拡大:1970年代のNYを皮切りに1980年代では全米各地で落書きが広まるようになった。1990年代には東京・大阪でもらくがきが拡大。2000年代前半が日本におけるグラフィティのピーク。
2014-12-14 14:08:16渋谷で2000年代、らくがきに関する調査をした結果わかったことは「人通りが多い」場所で描かれること。面白いのは大規模やオフィスビルにはほとんど描かれないこと。 小林「結局グラフィティが描かれるのは、若者にとって魅力的な場所なんですよね。逆説的に街の魅力を表す場の尺度になっている」
2014-12-14 14:11:08落書きの問題とは何か? 小林「1つめは景観破壊、2つめは不安感増長、3つめは治安悪化です。自分の家にらくがきが描かれた人は『自分が何かしら反感を買ってるんじゃないか』という説明できない恐怖感をいだく」
2014-12-14 14:13:44新大久保に描かれた「チョン帰れ」のらくがきがスライドに! 小林「見ている人の差別意識を助長するようならくがきもあります。らくがきは消さないと差別感情が暴露され、色々な人に与える影響が大きい」
2014-12-14 14:15:06小林「らくがきを消す活動をしている人にとっては、厄介なのがグラフィティ(アートとしてのらくがき)です」 岡山中心市街地落書き調査隊のニュースレターでは「グラフィティ」という呼称に注意せよ、という呼びかけもなされているそう。
2014-12-14 14:16:55グラフィティ行為者へのインタビューから; 「描くからには人に認められるものを」という人もいるが、大半の人は深い考えもなくやっている。強い動機や信念はほとんどの人にはなく、らくがきをされた相手がどの程度の恐怖心を持つのかへの意識は低い。
2014-12-14 14:18:20らくがきに対する取組のなかで強調されているのは「発見後即撤去」。海外では行政が責任を持っているところもたくさんあるそう。公共の建物だけではなく、周辺も含めまずは素早く消し、その後は時間をかけて全体をゆっくり消していくそう。
2014-12-14 14:19:39海外条例の紹介:カリフォルニア・ワトソンビルでは自分の建物にらくがきがなされた場合、「オーナーが48時間以内に消せ」という取り決めがなされている。責任を持って消されなかった場合は罰金が取られるそうです。
2014-12-14 14:21:08また、住民による落書き消去活動も紹介。 小林「住民が落書きを消す姿を見ると、する側には心理的抵抗を高める効果があります。最近では私有地であってもほとんどの行政がブラシや薬剤などを提供してくれるようになりました」
2014-12-14 14:22:18小林「海外では、14才になる前にアンチ・グラフィティの教育をします。一緒にグラフィティ消しをしてその大変さをわかってもらったり、『街にある教会にらくがきが描かれた。いいことか悪いことか?』とディスカッションをさせたりします」
2014-12-14 14:23:20らくがき・グラフィティの魅力と可能性について。 小林「1つはスピード感、2つめはゲリラ性・ハプニング性、3つめは場所への愛着です。いち早くらくがきが描かれなければならないというスピード感によって、らくがきのダイナミクスが生まれる」
2014-12-14 14:25:01小林「グラフィティは3~4人で描かれることが多く、いかに早く描けるかを競い合っています。競い合いのライブイベントやパフォーマンスも行われている。実際やってみたこともあるんですけど、けっこうグラフィティを描くのは難しいんですよね」
2014-12-14 14:28:12ゲリラ性・ハプニング性について; 小林「街にあるらくがきの面白さは、予定調和じゃなく誰かが描くことの面白さ・楽しさだと思うんですね。もっと有名なのがバンクシー(ロンドンを中心に活動するアーティスト)。道路にある駐禁止の黄色い線を延ばして、ビルに花を咲かせたりしている」
2014-12-14 14:29:54参加型のらくがきについて: 小林「らくがきは誰かが描くと別の人も描きたくなって、ある場所に密集し人の集合が可視化される面白さもあります。前のグラフィティよりも面白いものを、と競うとか。ただしこれも違法だとよくない。NYだと合法的にグラフィティが描かれる場もあります」
2014-12-14 14:35:44小林「オーストラリアでは、市内のサッカー場に自由にグラフィティを描いていい、という(合法的な)場所もあります。私も東京・下北沢でもリーガルウォール(合法的にらくがきが描ける場所)を導入できないかかつて提案したりしました」
2014-12-14 14:38:12小林「もともとNYでグラフィティが最初に起こったのは地下鉄なんですね。スプレーを当てるだけで勝手に電車が走って絵になる面白さがあった。バングラデシュだと、手描きの絵が入った車もあります」
2014-12-14 14:41:12場所への愛着について。 小林「尾崎豊の碑周辺の壁には、尾崎にたいする思いが細かく描かれていて、ビル管理人にも黙認されています。ここに来ると、たくさんの人の思いが伝わってくる」
2014-12-14 14:42:25小林「僕たちは建築学科なので、いかに空間で人を快適にできるかを考えるんですね。けれども場所への愛着に包まれたらくがき空間にいると、これにはかなわないと思いました」
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